卒業生インタビューvol.18

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今回は和光幼・小・中・高等学校を経て、国立音楽大学器楽学科ヴァイオリン専攻を卒業され、現在、読売日本交響楽団のヴィオラ奏者として活躍されている松井直之さんにインタビューしました。

松井さんは幼~高までを和光学園で過ごされ、音楽の道に進まれることになったきっかけや、超難関と言われている日本屈指のオーケストラに入団し、現在に至るまでのこと、また今後の展望などをおうかがいしました。

(聞き手:和光高等学校 司書教諭 福島 英子)

「すごくおもしろい幼稚園がある…」と紹介されて鶴幼へ

聞き手:まずは3月2日のカザルス・ホールで開催された演奏会の成功、おめでとうございます。そうそうたるメンバーの中で、実に堂々とした演奏でした。バッハとブラームスというプログラムでしたが、6人の方の奏でる音楽の素晴らしさに鳥肌が立ちました。残念なことにカザルス・ホールは3月いっぱいで閉館となってしまった訳ですが、その最後を飾るにふさわしい演奏でしたね。

さて、現在、松井さんはヴィオラの演奏家として読売日本交響楽団(以下、読響)をはじめ、複数団体のアンサンブルなど幅広く活躍されていますが、和光学園を知ったのはどんなきっかけだったのですか?

松井:私は正直なところ、なかなか他の幼稚園に馴染めない子どもだったんです。そうしたら、親がどこからか「すごくおもしろい幼稚園がある…」と紹介されて、鶴幼に年長から入りました。まだ鶴小が出来ていなかったので、小学校は世田谷の和光小学校へ通いました。それからまた中高で真光寺に戻ってきました。和光学園の校風が自分には合っていたのか、高校までずっといることになったんです。 私の弟も和光で、鶴小・中・高とお世話になりました。

聞き手:もともとヴァイオリンから始めたんですよね? いつ頃からだったのですか?

松井:そうですね。幼稚園にいた5才くらいから始めました。でも、親が練習しろって言わないのを良いことに高校くらいまでは1週間に20分くらいの練習しかしませんでした。(笑)

聞き手:ヴァイオリンというと、とてもお金が掛かるって聞いたこともあるのですが…。

松井:母が昔ヴァイオリンをやっていたので、楽器は一応、家にあったんです。1/4ヴィオリンから始まって1/2、3/4、そして通常の4/4サイズという具合で。人から借りて弾いていた時期もありました。

聞き手:和光学園での学生時代はどんな少年だったんですか?

松井:休み時間はサッカーとかスポーツをやるのが好きでしたね。基本的に運動系は好きでした。高校ではとりわけバレーボールですかね。でも、好きでも上手くはなかったんです。水泳は、中1の頃は10mも泳げなかったんですよ。息継ぎが出来なかったもので…。それでも中学で館山水泳合宿があるじゃないですか。先生やら、コーチ、そして中3の指導員の人達にもお世話になって、在学中は1年で鷹3㎞、2年で沖6㎞、3年で指導員を経験しました。高校時代はコーチとして館山に参加したこともありました。

聞き手:好きだった授業や印象深い事はありますか?

松井:高校では、佐々木太郎先生のA1の研究旅行の『郷土史』にはのめり込みましたね。「塩の道」を巡るという授業だったのですが、徹夜でレポートを仕上げて、親に学校まで送ってもらった事もありました。

また、福島先生のレポート提出の課題には、私自身の得意分野の事を書いたので、良い点をもらった記憶があります。何しろ、先生を唸らせたら勝ちですからね。(笑)

数学も割と好きでした。その代わり、いまだに後悔しているのが英語! 中学の北出先生の顔を見られないです。学生時代にもっとちゃんとやっておけば良かった…。

読響では、海外から色々な指揮者が頻繁に来るんですけど、楽語と英語のニュアンスで分かる感じ。隣の人に「今のなに?」って小声で聞いたりして…。(笑) でも、今、英語を勉強している時間があったら、ずっと楽器を弾いていたいですね。今月も1日だけしか休みがなくて…。でも、とても充実していますよ。

聞き手:学校生活ではどんな風に過ごしていましたか?

松井:中学では比較的おとなしい感じに見えたそうですが、高1になると休み時間の度に友人4~5人でわいわいと図書室を訪れるようになりました。当時、図書室にもCDが導入された時代だったので、次から次へと種類の違うCDを聴くのがとても好きでした。今ではすっかりCDマニアです。例えば、ショスタコービッチならこの1枚…、とお薦め出来るくらい同じ曲のCDを複数聴き比べるんです。

“今からじゃ間に合わない” でもプラス思考で練習を続けて音大、そして読響へ

聞き手:私が松井さんを知ったのは、ちょうど高1の頃でしたね。すでにヴァイオリンを見事に弾きこなしていましたが、そもそもなぜ将来の道にヴィオリン専攻を選んだのでしょうか?

松井:そうでしたね。福島先生に文化祭(現在の和光祭)のクラシックオンステージでピアノ伴奏をして頂いたのもちょうどこの頃でした。今から思うと難曲だったのにも関わらず、先生は快く良く引き受けてくださいました。

進路を決めたのは高1の頃で、父親が青森の十和田で指揮した第九のオケに、1番後ろの奏者として舞台に乗せてもらったのが転機でした。自分で決めたからにはきちんと練習もしました。休みの日には1日10時間練習したりもしました。今思うと効率の良い練習ではなかったかもしれませんが、練習量でカバーした感じでした。
親はこれまでヴァイオリンの練習しろとか細かい事は全く言わなかったんです。逆にそれが良かったんじゃないかと…。

はじめに某音大の夏期講習会に行ったら、今からじゃ間に合わない。と先生に溜め息つかれました‥(笑) でも今からやるんだからいいんじゃないか?って思っていたので、プラス思考で練習を続けました。

聞き手:音大にはヴィオリン専攻で入学されましたが、またなぜヴィオラに替わられたのですか?

松井:音大に入ると、みんなでアンサンブルをやるようになるんです。弦楽器で一番代表的な室内楽の形が弦楽四重奏(カルテット)です。そこで同級生に一緒に四重奏を組まないかって声を掛けてもらったんですが、その集まった3人は全員ヴァイオリンで…。僕の学年にはヴィオラの専攻生がいなかったんです。ヴィオラはヴィオリンよりも一回り大きい楽器で、しかも馴染みのあるト音記号やヘ音記号とも違う読み方のハ音記号で譜面が書かれているので、普通はなかなか手を出さない楽器でもあるんです。

僕の通った国立音楽大学では、オーケストラの授業で、2年生か3年生で必ず1年間ヴィオラをやらされるんです。嫌いでも!(笑)集まったメンバーの中で、2年生のときにヴィオラをやっていたのが僕だけだったので、ヴィオラをやることになりました。今考えるとそこが転機の始まりでした。

卒業後、日本を代表するヴィオラ奏者である岡田伸夫先生に四重奏を見ていただき、そこでヴィオラの楽しみを見つけ、誰にも、親にも相談せずに独断でヴィオラに変わりました。周りはみんなびっくりしてました。ヴィオラは楽器によって大きさに若干違いがありますが、身体が大きい方が有利なんですよ。

聞き手:随分、背も伸びたようですけれど、現在、何㎝ぐらいあるんですか? また音楽以外でやられている事って何かありますか?

松井:今は178㎝ですね。読響には野球部とサッカー部があって、そこで息抜きしたりもしています。ユニフォームもあるんですよ。そばにはジャイアンツ、ヴェルディの練習場があったり、周りは緑も多く、環境面でも恵まれていると思っています。

その他では、学生時代からゲームが好きですね。暇があればゲームだけで一日過ごしたいです。エヴァンゲリオンが流行った時には、同級生と観てました。

聞き手:読響のオーケストラに入るのは今やスゴイ倍率だそうですが、受けるにあたって何か注意された事ってあるのですか?

松井:私の場合、2004年の10月に相模原のオケに賛助(エキストラ)で参加した時に読響の団員の方がいらっしゃっていて、その時に運よくエキストラの話をいただき、2005年の1月の終わりに読響の演奏会に初めて出演させていただきました。その時に3月にヴィオラ奏者の募集があることを知ったんです。それで、その時に隣に座らせてもらった団員の方に、受けてみたら?と言われて受ける決心をしました。
受けると決めてからはレッスンに通い、練習あるのみでした。

聞き手:オーケストラをやっていて良かったと思える瞬間はどんな時ですか?

松井:レベルの高いメンバーと一緒に沢山の本番を体験できるところです。素晴らしい指揮者が海外、国内からやってきて、一緒に音楽を作っていきます。同じ曲でも指揮者が変わると全く違う曲になります。勉強にもなりますし、もちろんとても楽しいです。

聞き手:大編成のオーケストラだけでなく、小編成のアンサンブルにも精力的に活動されているそうですね。

松井:勿論、読響楽団員による小編成のアンサンブルもありますが、学生時代から活動しているエラン弦楽四重奏団はこれからも大切にしていきたいと思います。先ほど話した私の転機になった四重奏団です。
現在、室内楽では4つの団体で定期的に活動しています。

聞き手:松井さんにとって、今後どうしていきたい(どんな風になれれば良い)と考えていますか?

松井:私はヴィオラをはじめて(ヴィオラに転向して)6年ですので、より良い演奏をこれからもずっと追究していきたいと思っています。技術的にも、音楽的にも、もちろん人間的にも。昔は専ら聴くほう専門でしたが、自分自身が演奏できる事が何よりの喜びでもあります。そして、一人でも多くの方に聴いていただきたいです。

先日の政府の事業仕分けにより、音楽の鑑賞教室のようなものがどんどん減らされる傾向にありますが、そういう情操教育がとても大事で、生の音楽を聴いたことがきっかけになって音楽に入っていく人もいます。

是非、そういった本物の音楽に触れる機会を無くさないで欲しいと思います。同様に、美術館や博物館の入館料が高いと思われる方もいるかもしれませんが、行ったら行ったなりの価値は必ずあるはずです。

授業を選択できる自由のある和光高校はやりたいことがある人にとって最高

聞き手:現在の和光生にメッセージをお願いします。

松井:和光高校で良かった事は、授業を選択出来る自由があるという事です。私にはとても合っていたと思います。何かやりたい事がある人にとっては最高の学校だと思います。自分のやりたい事を見つけてそれに向けてがむしゃらに進んでください。自ずと道は開かれるものだと思っています。

それから、各学校で色々な事を体験させてくれます。それで行事直前はいろいろと忙しくなったりするのですが、何とか仕上げる事で力がつくなぁと思いました。行事でもなんとかなる…って自信が出てくるものです。後になってみれば、一つひとつの体験が、すごく自分の身になっているなぁと感じます。

それと、是非クラシックの演奏会に行ってみてください!とても良い時間を過ごせると思います。

聞き手:松井さん、今日はわざわざ中高に来て頂きましてありがとうございました。今後、ますますのご活躍をお祈りしています。

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プロフィール

松井直之 (まついなおゆき) ヴィオラ奏者

和光鶴川幼稚園・和光小学校・和光中学校・和光高等学校を経て、国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒業。 卒業後ヴィオラに転向。 在学中にエラン弦楽四重奏を結成。 第9回JLA音楽コンクール室内楽部門第1位 第5回日本アンサンブルコンクール最優秀演奏者賞受賞 PMF弦楽四重奏コースに参加し、東京カルテットと共演、マスタークラスを受講 第21回宝塚ベガ音楽コンクール第3位 これまでヴァイオリンを樋口美佐子、大関博明の各氏に。ヴィオラを岡田伸夫氏に師事。

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