卒業生インタビューvol.16

サイト管理者 卒業生インタビュー タグ:
vol16

今回は和光中学・高校を卒業され現在NHK東京児童合唱団の常任指揮者として活躍されている加藤洋朗さんにインタビューしました。私は加藤さんの和光時代を知りませんでしたが、近年民舞を通して交流する機会に恵まれ、親しくさせていただくようになりました。このインタビューを受けてくださったときは、ラトビアを始め、欧州五カ国を巡る演奏旅行から帰ってきたばかりとのこと。外国公演からお帰りになったばかりの多忙な中でお話を伺いました。

(聞き手:和光鶴川小学校 園田 洋一 )

館山合宿、文化祭、学習旅行…私の存在の根源、現在の仕事に向かう原点

聞き手:洋朗さんは和光のどこの学校を卒業されました。

加藤:私は、和光の中学校と高校を卒業しました。

聞き手:何年度卒業ですか。

加藤:中学はS56年(33回)、高校はS59年(32回)卒業です。

聞き手:和光時代の思い出やエピソードを聞かせてください。

加藤:う~ん沢山ありすぎて・・・ 中学に入学したのは、真光寺に校舎が移転して三 年目の年で、私が一年生の時、三年生はまだ三学級しかないという変則的な 形でした。 当時の中学校は全校での行事が多く、行事の合間に通常の授業をやってい るという感じでした。

でも、どの行事も先生と生徒が一体になって熱く盛り上がっていましたね。私は数学が大の苦手でしたが、「数学学習運動」という行事があって、一週間近く毎日1~3年生の縦割り班を作って一日中数学の勉強をやるんです。検定があって、合格すると上級生は指導員というのになって他の子たちに数学を教えるわけです。班や、ブロックごとに検定合格の目標値を定めて、追いつけ追い越せの大盛り上がりでした。その間は、数学が大嫌いだなんてことは忘れて、皆で夢中になって計算問題をやっていましたね・・・。

真光寺は今以上に自然環境が豊で、理科の実験で解剖をやる時は朝早くに来て、皆で近くの川でカエルを取るところから始まる・・・ そのうち授業が始まる時間になってしまっても夢中になってカエルを探しているなんて、のんきな感じがとても好きでした。

館山合宿、文化祭、学習旅行で飛騨高山での農業体験、演劇祭、どれもこれも忘れられない思い出が山のようにあって、今でもその時の景色や、情景、気持ちを鮮明に覚えています。いつでも、どこでも皆よく歌う学校生活で、合唱発表会での上級生の熱い熱い演奏に感激して、もう本当に胸を震わせて聴き、自分も夢中になって歌いました。そんな体験や思いは、間違いなく私の存在の根源となっていて、現在の仕事に向かう原点でもあるのです。

自分はドラえもんに出てくる「のび太君」みたいな少年で、勉強も運動も苦手でしたが、和光での生活には誰もが、何らかの得意分野でヒーローになれるような場面が沢山あったと思っています。自分は大好きな音楽の分野で活躍できたことや、生徒会で生意気に理屈を並べて友人やら先生方と、とことん話しをしたことが本当に良かったなぁと思っています。

和光の先生方は本当にとことん生徒に付き合ってくれました。高校のとき突然「音楽大学に行きたい」と言い出したら、親父が「とんでもない!」と血相を変えて学校に乗り込んできましたが、高校と中学の先生が一緒になって一生懸命に親父を説得してくれた事は忘れられません。結局、音楽の道は諦めかけていた自分の背中を押し出してくれたのは「和光」だなぁって最近しみじみ思います。

聞き手:和光を卒業されてから、他の卒業生とのつながりなど和光のつながりは何かありますか。

加藤:そんなわけで、自称人一倍和光への愛校心の強い私は、いまだに中学の館山合宿にコーチとしてほぼ毎年参加させてもらっています。あの合宿のOB・OGによるコーチ集団は驚異的で、下は高校一年生から、上は50歳近いおじさんまで毎年延べ人数で100人近くが関わっているのです。そんなわけで、今でも和光の高校生や、大学生に友人がいるし、合宿に行けば年齢なんか関係なく(?)みんな和光生に戻ったようにワイワイ、ガヤガヤと中学生と泳いだり、昔のように白熱の議論をしたり・・・ すてきな時間を過ごしているのです。その期間は、卒業した事を忘れてしまうほど、濃密な和光時間でもあります。

最近は、お世話になった先生方や旧友が演奏会に来てくださるのが嬉しいです。時には、先生方と友人たちと集まって杯を酌み交わし、和光談義に花を咲かすこともしばしばなんです。数年前は、小学校の園田先生のご好意で、合唱団のメンバーを引き連れて鶴川小学校に伺い、沖縄民謡のエイサーで使用する太鼓作りを体験させてもらいました。

聞き手:和光を卒業されて、和光時代に培ったこと、体験したことでその後の自分に影響なり、力になっていることなどがありますか。

加藤:好きなことを思いっきりやる。あきらめない。人とオープンに向き合う。仲間を大切にする。自分の意思をしっかり持つ。自由に生きる事の責任・・・ 和光で体験し学んだ事は無限にあります。

指揮者の小澤征爾に憧れて、音楽家になる事を夢見ていたら中高の同級生に小澤さんの甥っ子がいたのです。彼のご両親がそんな私のことを知って、「征爾のリハーサルはいつでも見られるようにしてあげる。」と夢のような時間をプレゼントしてくれた。それから数年間学校帰りに、様々なコンサートのリハーサルに全身目と耳にして通い、暗いホールの片隅で本当にときめきながら音楽が創られる瞬間を体験したことは私の宝ですね。

聞き手:その他、和光のことについて何かあればお聞かせください。

加藤:いつまでもそこに集まる子どもたちが、いつでもヒーローになれる学校であってほしいです。昔が全て良かったなんて思いませんが、和光はいつまでも和光であってほしいなぁと切に希望しています!

聞き手:加藤さんの中に今も行き続けている和光。加藤さんが大切にしている和光での思い出。そして今も尚変わらない和光への思いを伺い、私も胸が熱くなりました。お忙しい中、ありがとうございました。

(了)

この記事を読んだ方はこちらも読んでいます。

プロフィール

加藤洋朗(かとう ひろあき) NHK東京児童合唱団常任指揮者

東京音楽大学声楽専攻卒業。同大学研究生修了。 合唱指揮を田中信昭に、指揮法を高階正光に師事。 各地に於いて合唱指導に携わり、合唱指揮者として、小林研一郎/ハンガリー国立響、本名徹次/日本フィル等、数多くのオーケストラと共演。 2003年よりNHK東京児童合唱団の指揮者を務める。 また、「創る会」や「新しい合唱団」等に参加し、女声アンサンブル「プリモ・ヴァジート」を結成するなど、合唱音楽の新しい可能性を追求している。桐朋学園大学音楽学部講師。

和光学園を支えてくださる方に寄付をお願いしています。

くわしく見る