卒業生インタビューvol.42

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今回は和光大学在学中よりSAKEROCKで活躍され、現在ではドラマに映画にCMにと、引っ張りだこの浜野謙太さん(通称:ハマケン)にお話をうかがいました。日常の家庭では良きパパでもあるようですし、一体日頃はどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

今回のインタビューは、学生時代のことや今現在のことを、敬愛してやまない師匠!という大学の堂前雅史教授との対談という形でお話しいただきました。

最近の活躍について

——随分とたくさんのテレビに出ていらっしゃるんですね。最近のCMではご家族で出演されていたり、ご自身のトロンボーンを演奏を披露されたりと、また新たな一面を見せていただきました。 もう、テレビで見ない日がないくらい色々とご活躍中ですが、最近はやはりお忙しいのでしょうね?———(学園広報)

堂前教授(以下、堂前):そうそう、なんだか面白いことを次々とやっているらしいよね。売れっ子になったから仕事を選ぶことが出来てるとか?

浜野 謙太さん (以下、ハマケン): 全然そんなことないですよ!!どんなものが合っているかなんていうのは、ボクよりマネージャーのほうが分かっていると思うけど。どうも(制作側と事務所側)双方の需要と供給みたいなものが合っていて、割と納得しやすいように出来てますね。

堂前: マネージャーさんの腕が良いんじゃないかな~。

ハマケン: たぶん、ボクがどういうキャラクターかっていうのがなんとなく分かってきたんじゃないかと。あぁ、こういうものもできるんだと。

堂前:そうするとオファーも来るの?

ハマケン: そうですね。そういうのもあるんじゃないかという気がします。お笑いだの、バラエティ番組だったりっていうのは、マネージャーも好きなんですけど、たぶん、出てほしいと思っているんでしょう…。オファーも来るみたいなんですけど、僕自身があまり向いていなくて、そういうことが多くて、今オファーがこなくなっているのか、きてるんだけどマネージャーが断っているのか、ボクには分かりません。

堂前:それとあと、なんかこうハマケンの芸の幅がそれなりにあるんじゃない? それが発掘されてきたってことなんじゃない? そういう感じでもないの?

ハマケン: 自覚はないんですけれど、広がってきているというのはあるのかもしれないですね。確かに前よりは、役目に関しては、例えばそのドラマの配役のお芝居の、その配役の役目で、前はこんな役ホントにできるのかみたいな? っていうのを、あぁ、このパターンだったら、自分は今までやったことないけども、こういう感じでアプローチしてみたら面白そう…ってなりますし。
流れの良い形でオファーを受け入れているというか、自然な良い形で頂けている気がしています。

堂前:役者さんとミュージシャンと、比率的に言えばどうなの?

ハマケン: 自分の中でのポリシーというか、一応、半々なんですけど。ボクの中ではどちらも対等ですね。
どっちもやっていたい。どっちかのために、もう一方が疎かになるのは嫌なんですけれど、でも、やっぱり何らかの偏りは出てしまいますが、、、。

和光大学で衝撃を受けた授業

堂前:たしかに全然違うジャンルをやっていると、気持ちのバランスがとれるという感じってあるよね。 気持ちは分かるな。私の授業でも、普通の生物学や科学技術の話をしながらも、それを批判するような授業の両方をやってバランスとらないと、気分が落ち着かないというのがあるんだけどね。

ハマケン: それって、あれですが、「トンデモ科学」のことですか?!

堂前:そう、あれも半分は科学で、半分は社会学みたいなのを兼ねてはいるんだけどね。

ハマケン: ボクが1年のときのですよね、堂前のプロゼミ。1年の時に、堂前は2方向でやっているのに、やっぱりなんだかちょっと衝撃を受けました。あぁ、そうやって対岸から茶化したりするんだ!と思って。

堂前:プロゼミは、「トンデモ本の科学論」っていうテーマで、それで一応プロゼミ生にはひとりずつテーマを振るんだけど、それがネッシーだとかピラミッドは宇宙人が作った説とか、そういうトンデモネタばかりを扱うんだよね。
確かハマケンは竹内文書だったっけ?

ハマケン: そうです。古史古伝※(1)
※(1)古史古伝(こしこでん)とは、古事記や日本書紀よりも古い、日本の超古代の姿を伝えるとされる一群の書物のこと。学問的にはまったく認められておらず、偽書とされる。~引用文献『トンデモ本の世界』宝島社文庫より~

堂前:古史古伝のひとつで竹内文書っていう書物によると、日本の文明は何億年かの歴史がある、世界で一番古い文明って言ってて、キリストもお釈迦様もみんな日本に来ている。その証拠に青森県にキリストの墓があるという。

で、僕はキリスト祭に行って、キリストの墓参りをして、その写真を授業で見せたかもしれないな。うちのかみさんといっしょに墓参りしているところを。

ハマケン: ハハハっ…(笑)、そうだったそうだった。奥さん、見たような気がします。

堂前:うちのかみさんが、キリストの墓の前でひざまずいて祈っている。

ハマケン: 姫の写真は授業でよく見たような気がします。

堂前:うちのかみさん、姫って言われてたよね。

——和光大学50周年での対談でも、ももいろクローバーZさんの「教育」っていう曲についての話があったじゃないですか。その堂前からの教えというのは?!————

堂前:あれって、「教育」ってタイトルだったっけか?

ハマケン: 「教育」です(笑) ももいろクローバーZの有安さんに楽曲提供したんですけれど、堂前の授業で教わった「生物学に(進化の逆という意味での)退化という言葉はない」って考え方を盛り込みました。 まだ、ももクロはお好きなんですか?

堂前:最近は忙しくてなかなか聴く機会がないなぁ~。ところで、僕のプロゼミはなんで受けようと思ったの?

ハマケン: 一応各プロゼミの紹介を聴いてみて。 う~ん、なんでだろう?! でも、たしか堂前の授業が一番面白そうって思ったんですよ。スムーズでしたね。そこらへんの流れは…。プロゼミが堂前って。

堂前:別に気に入った女の子が、僕のゼミに入ろうとしていたことに気付いたとか。そういうわけじゃないの??(笑)

ハマケン: それもあったかも…。
《この間、伝説の師弟コンビの話題は漫才のように続く…》

ハマケン: なんか、和光大学に入って、学科を選んだ理由も、他の学科の名前の意味が分からなかったというのがあって。
唯一、人間関係? 人間発達だけ?!…、社会学だ!みたいに繋がった感じですかね。
他の表現文化学科とかはよく意味が分からなくて。
その流れからなのか、やたらこう「楽しいですよ!」みたいな感じのゼミとかには惹かれなかったというか、それよりも堂前みたいなそんなことやって良いんですか? みたいな感じのゼミに妙に興味があったんです。

人生観が変わった高校時代。

———お聞きしてみたいのですけど、浜野さんは確か横浜市戸塚区のご出身ですよね?高校は自由の森学園って、埼玉県飯能にあって遠いじゃないですか。またなぜ自由の森学園だったのですか? 和光学園はどの辺でお知りになったんですか?———-

ハマケン: 自由の森学園は高校からです。それも団地のネットワークの中に、結構リベラルな感じの家庭の友達がひとりいて、そこはお父さん、お母さんもそういう感じでした。
うちの親が、その家族のことがすごい好きなんで、そこの娘さんが自由の森に行くって言っているっていうことで、なんだかそれこそ雰囲気でしたね。そういう自森とか、実はうちの親も良く分からないんですよ。要は中途半端だったんです。
なんとなく良いらしい。自由の森学園なんとなく良いらしいみたいな情報が入っていたんです。序列教育のアンチテーゼだから、「あんた!行ってみたら??」みたいな。 じゃあ、俺もなんかそっちにいった方が良いかな~みたいな感じでした。
親としたら、なんかリベラルなことを言うんだけど。 うちの親父はただ巨人のために読売新聞を取っていたってくらいのレベルだったから、僕も同じレベルで。そっちに行ったら、なんか株あがりそうだくらいのノリでした。

——-実際、横浜市戸塚区から自森って結構遠いでしょう?————-

ハマケン: そうですね。だから寮に入りました。あれはもう今までの人生が180度変わった感じだったんですけど。

堂前:トロンボーン始めたのはいつなの?

ハマケン: 中学校の吹奏楽部だったんです。なんか、高校時代は、ハチャメチャでした。自分の視野的には、(トロンボーンをやってたんで)地元の市民バンドとかに入れればいいし、うまくいって職業にできるなら、消防隊とか公の吹奏楽団に入って吹けるしお金ももらえるし。そういう着実な夢を考えていたんですけど、それがふとしたことで、自由の森に行くことになって、(これがしたい!と思って自由の森学園に行ったわけではないので)行っても、吹奏楽部ないの!!みたいな~。完全なる情報不足でした。どうやったらトロンボーンが吹ける場所があるのか、みたいな。

堂前:ないの?

ハマケン: ないんですよ。でも、バンドはいっぱいやってて、なんか楽器やってれば、「あぁ面白いじゃん、バンドやりなよ!」みたいなね。

堂前:そのとき星野源さんとは知り合いになってたの?

ハマケン: 星野君とは全然まだです。でも、楽器やっているって言ったら、サックスやっていた先輩に「じゃあ俺と一緒になんかやろうよ」って言われて、その先輩がちょうど星野君とすごく仲が良かったこともあって、だから最初3人で、ちっちゃいユニットを組んだりしました。
僕自身はなにかのクラブに属して、許されたところでやるっていう意識だったんで、自森の先輩に、吹きたいならそこらへんで吹けば良いジャンみたいなこと言われて愕然としたんですよ。もう信じられなくて…。いきなり自由に、『ガーン!!』みたいな、自分の中をこじ開けられたみたいな感じがしました。
寮生活も、最初はホームシックに耐えられなくて、泣きながら自宅に電話かけてました。
自由が耐えられなくて、自由とやっぱり何かに比べたり…。他ではみんな一生懸命勉強しているのに、こんな自由で良いのか?
こんな学校で、オレはこれから大丈夫なのか? みたいな…。 こなしきれない自由の中にいきなりドカーンと放り出されたような感じで、そういう意味では和光にも似たようなところがあるかな?っと。
まぁ、自森ほどではないかも。 もう少し規律があるのかもしれません。 和光みたいな学校があるっていうのは、高校の頃にはなんとなく聞いていました。

和光大学という選択

堂前:それで和光大学?! だったらスムーズに入れるって?

ハマケン: そんなに大変な試験をしなくても入れるっていう感じでしたね。ただ、社会学はすごくやりたいなっていうのが漠然とあったんです。自森的ストレートな流れで行くと、和光大か某大学。ちょっとそれには従ってみようと思いまして(笑)

堂前:和光大学でなかったら、今日のハマケンはなかったかも…??

ハマケン: そうですね。だから、周りに多くいた、大学デビューで自由を謳歌しようとし始めている人をちょっと下に見てましたね(笑)。
こっちはもう自由を知っているから、敢えてビッグバンドサークルに入って縛られるぞ!みたいな。
でも、なんか大学ってそんな感じですよね。大学生で自由なのは当たり前だから、ここで逆に自分を律する楽しさを味わいなさいみたいなことだなって思ってました。
それって、普通の高校から来た人は逆にかわいそうなんじゃないかなと思って。それまでは「こうやりなさい」みたいに縛られていたところから、大学に来て、当然自由ですみたいな感じは、なかなか受け入れられないかもしれません。

堂前: 「自由履修って言われても困るんだけど、どの科目取れば良いんですか…」ってそういう学生って多いよね。
「先生いじわるしないで教えてください」みたいな反面、一方で「自由って、こうだ!」って肩肘張ってみたりしてね。
それじゃあ、和光に入ったらすぐもうビッグバンドに? それともJAZZ研にまずは入ったの?

ハマケン: JAZZ研に入るつもりじゃなかったんだけど、それはかわいい女の子がいて(照)トランペットがそんなにうまくないかわいい子がいて、これは入ったらすごい重宝されるなって思って、入りましたね(笑)

堂前:やっぱりすぐ重宝されたの?

ハマケン:そこまでではなかったですね。

SAKEROCKというバンドについて

堂前:SAKEROCKは大学時代から?

ハマケン: 大学時期にちょっと被ってました。だから、SAKEROCKの、音楽に対する哲学みたいなものと、和光大学で学んでいる哲学が時々リンクすると感じる時がよくあったんです。
なんか、勉強と音楽とを分けるのか、それともうまい融合の仕方があるのか、というのがなんかボクの中にはずっとあって、自分の中でどうせ2つやるんであれば、全体どこかリンクするハズって思ってます。それが、意外と多くあったなって思いました。

堂前:例えば、どんなことが?

ハマケン: 星野君が言ったわけではなくて、引用したらしいんですけど、『わからないことを分かれ』って言葉も、なんかそれをボクは、ゼミっていうか卒業論文で、あのアラン・コルバンの『においの歴史』から僕の中では、水木しげるへと繋がっていったんですよ。
卒論では、解明されていない部分があるということよりは、分からないという部分があるのを分かれという結論になったんです。

堂前:なんていうのかな。分かるということは、最終的には分かっていない部分の輪郭をなぞっているのかなって思えるのね。

ハマケン:そうですね!輪郭をつけていくということかもしれないです!
そこは分からないということにしておいた方が良いんじゃないかみたいな感じで、分かる部分を決めていくみたいな。

堂前:だから、分からない部分の存在を分かってくるというのがテーマ設定というのかな。

ハマケン:しかも自然科学と違って、社会学は見方がすごいたくさんあるんで、トイレの卒論でね、「なんでトイレは汚いのか?」っていうので、結論的にどんどん見えるようにした方が良いのかなっていう進め方だったんですけど、むしろ、かつてのトイレは見えないから良かったんだと。見えないことが、排泄っていうジャンルでは結構重要なポイントだったんだ!っていうのが分かったんです。

堂前:ハマケンのは不思議な卒論で、「江戸時代のトイレはコミュニケーションの場だったんだ」って。普通のコミュニケーションではなく、下半身のコミュニケーションだったみたいな。トイレというものが、普通の概念のトイレとは違う役割を持つという。
ある意味では、言葉で言い表しきれないような、そんな感じのことが書いてあったよね。

ハマケン: その時大学で学んだ、そういう大体のことは分からなかったりとか、堂前がトンデモ科学を大事にされていたりとか、つまりは科学自体が、みんな快楽のようになっているという。それを得たことが大きかったですね。
何か学んだこと、大学での知識とか蓄積が役に立ったとかじゃなくて、逆に、バンドに対しても、みんな”奥深い”楽しみとしてやっているんだっていうのが分かった。だいぶリンクしたポイントだったんです。

堂前:それがSAKEROCKの世界とリンクして。SAKEROCKを聞いたとき、やっぱりそういう不思議なものを感じたよ。
新しいとも古いとも、なんともいえない。不思議な世界で。 露骨にサブカルではないんだけど、かといってメインカルチャーでもない。
ハマケン: まさに科学の快楽というのかな、そういうものをボク自身持っているから、そういうものを人に伝えたかったというのはありますね。

堂前:科学知識自体を知識として教えることよりも、科学の考え方に触れるときに、ふと日常の常識がぶち壊れてしまうような、そういう感覚を味わってほしくてやっていた。逆にトンデモ本なんかも、そういう材料になったりする。そうすることで普段使ったことのない科学的な見方を研ぎ澄ませないかな。

ハマケン: 堂前は、今までに、この年になるまで、何度も何度もそういうハッとする瞬間があったんですか?

堂前:科学論文を読んでいると、やっぱりそれは頻繁にあるよね。

ハマケン:なかなかぶち壊れるまでは難しいですけどね。研ぎ澄ましていかないとできないことですよね。

堂前:でもまぁこの年になると、好きなものだけ追いかけているとなんとなくそうなるのかな? この間も連続市民講座で、アジアをテーマに1回を担当したのだけれど、「古来ずっと続いている日本の自然」という常識があるじゃない?!
なんかこの常識を壊せないかなと思っていたので、調べてたら、日本の野草のかなりの部分って外来なんだって、万葉集で詠み込まれているようなものも、ヒガンバナだとか、ネコジャラシだとかもそうだと言う話を見つけた。
調べてたら、これは縄文時代とか弥生時代にきた史前帰化植物らしいと、何百種もあげていた先生が70年前にいたんだ。その推論が最近は遺伝子の研究などでだんだん証明されはじめてきた。
これは面白いなと思って、その関連の論文をそういう視点でかき集めて、まとめて、市民講座でやったら、「これは面白い!」という反応だったの。 日本の伝統ある自然っていうイメージが変わったということでウケた。
それくらいのあっという感じのものは、年にいっぺんくらいは経験しているかな。

ハマケン: やっぱり、ぶち壊す方に吸い込まれていくんですかね?

堂前:学者だからね。そういうものがないとやってられない商売なんだよ。
ハマケン: 今みんなネットで、僕もネットでいろんなことを検索しますけど。 そうすると自分の都合の良い情報しか向かないって言われるじゃないですか?
それがどういうことか僕にはちゃんと客観的には分かっていないですけど、確かにどっちかというと、無意識に都合のいいキーワード選んじゃうところはあると思うんです。

堂前:そうすると自分の思い込みを強化する方向の情報ばかり積み重なっていくからね。
自ずとそういうふうになっちゃう気がするんだけど。 だから、なるべくツイッターなんかでも、『何言ってるんだよ、こいつ!』って思うような人をフォローするようにはしている。自分と全く違うようなものを持っている人だよね。

ハマケン: あぁ、全然違う。なるほど。 やっぱり詳しい人とか、時間を費やしてやってますよね。そんなに忙しいのに、いつそんな映画見てるのとか。いつ、その音源聞いているのっていう。

堂前: 逆に詳しい人をつかまえとけば良いじゃない。絶対オレはこんな映画観ないぞって思うような映画ばかりみている人を知り合いに持つとか。

そうするとその人との短時間の会話の中で、その人の世界がかなり濃縮されたものになる。

ハマケン: そうですね!

堂前:私のプロゼミが活きている?!でもこんなの嘘だよなというような人の言い分の中の面白さというか、それなりの刺激っていうのはあるよね。

ハマケン: あぁ、そこか(笑)。それなんですね。

堂前: 昨日も、市民向けの生命倫理学の講義で遺伝子検査とか遺伝子決定論とか、ちょっと相当怪しいものまでみんな信じ込んでいるという話をしたの。

あなたたちは嘘を信じ込んでいるんだよ…ということだけではなくて、なぜみんなそれ信じたがるのかを真剣に考えて、という話でディスカッションしてみたりしてるね。

ハマケン: 堂前の生物学を受けたせいか、動物系の番組観てると、あぁ違うんだよなって思っちゃうんです。

堂前:授業ではダーウィンの自然選択の説明として、「この生物はこれを出来るようになるために、こう進化した」みたいな目的論的な言い方を批判してたからね。

ハマケン: 『ダーウィンが来た!』みたいな番組でも、ダーウィンの名前使っているのに、なんでそういう言い方するのかななんて、妻にすごい愚痴って。

堂前:素晴らしい。授業内容を理解してくれて、ありがとうございます。ダーウィンは、目的論的に言わないで、自然選択の結果、結果として生き残った個体の子孫が適応している姿になったということだよね。

いやぁ、試験の時にそれが分かってくれる人は半分くらいしかいないよ。あとの半分は生き残るためにクチバシの姿形を変えたっていう理解をしちゃう…。

ハマケン: 逆に、もしかしたら大学時代の時に学んでいた時よりも、トンデモ的な考え方だったりとか、ちょっとこの考え方嘘だよなと思う人に対して、苛立つ方向にいっちゃっているかもしれないと、今ちょっと思いました。もっと、全然違う考え方の人の話を聞くというつもりでやれば、良いのに。

在日ファンクとは、ジェームス・ブラウンの流れをくむ者って意味。

堂前:ハマケンはプロゼミの時の自己紹介が面白かったんですよ。50周年イベントの時にも言ったけど、あの時はCD持ってきたんだよね。

ハマケン: そうそう、ジェームス・ブラウンでしたね。

堂前:ジェームス・ブラウンのCD持ってきたんだよね。 僕はあの発表で、「自分について5分間、とにかく5分間が過ぎるまでは教壇から下りちゃダメ」って言ったんだ。

ハマケン: 長いんですよね。5分。意外と(笑)

堂前:そしたらジェームス・ブラウンのCDジャケットを見せて、「ジェームス・ブラウンってセクシーなんですよ」って話をして、「セクシーセクシー」ってお尻を一生懸命振っているわけ(笑)あれは面白かった。

————在日ファンクっていうのは、ジェームス・ブラウンの流れをくむという意味があるんですものね。———–

ハマケン: そうですね。流れを汲むって言っちゃってもいいんじゃないかと思って。後継ぎみたいな気持ちでやっていいんじゃないかって。

堂前:そこに敬愛の念があって、『在日ファンク』と名付けたんだよね?!

ハマケン: そうです。後継ぎみたいな気持ちでやる方が、彼との違いがすごい如実に自覚するし、出るかなと思って。
難しいんですよね。結構、ロックバンドのマーケットってめちゃくちゃ広くて、まぁみんな絶対パクリだし、後継ぎだし、誰かのマネなのに、オリジナリティ溢れるって言われるんですけど、僕らがファンクの後継ぎをしようとすると、やっぱりマネとかすぐ言われるし。物マネ、ファンクのジャンルはすごい狭いし、マーケットも狭いから、すぐにマネって言われるんです。
逆にそこを流れを汲んでいます!って言っちゃえば、もっと違いが際立つかなと思って。
ブラックミュージックは、やっぱりアフリカンアメリカンの身体能力とか、英語のなまりだとか、だいぶ鍛えにくい、独特なものの要素が多いんで、やっぱりみんなブラックミュージックをやる日本人は、そこらへんの劣等感から入るんですよ。

堂前:本物には太刀打ち出来ないみたいな感じ?

ハマケン: 絶対できないなと。尊敬するしかない。そういうのがあるんで、ルーツミュージックの界隈でジェームス・ブラウンの名前が出ると、みんなひれ伏すんですよ。劣等感がまずあるから。

堂前:逆に言うと、それの後継者だっていうのはすごいよね。立ち上げの時は、SAKEROCKをやりながら在日ファンクを立上げたんだね~。

子育てはクリエイティブ。やっぱり学びたい。

ハマケン: 今、子どもが和光幼稚園に通っていて、結構勉強会とかサークルとかがあるんです。

堂前:親のサークル?

ハマケン: 親の。僕は読み聞かせサークルに入っていて、絵本を読んで聞かせるんですよ。まだちょっとしか出来ていないんですけど、サークルに入っていると、勉強会・座談会をやりますとか、小学校の図書館の先生をお呼びして、話を聞いてみるとか、それがすっごい面白くて、うちの妻も結構燃えて色んなサークルに顔を出しているんですけれど。みんな学びたいんだなぁって思いますね。

堂前:でも勉強することの面白さって、30過ぎてからのほうが目覚める人が多いよね。大学って本当は18歳から入るんじゃなくて、30歳くらいから入るようにした方が良いんじゃないかな。

ハマケン: まぁ、でも大学って基本自由なんですよね。入りたければ入って良いよって感じなんですよね?そういう何となくの雰囲気がないだけで。

堂前:幼稚園でも伝統的にサークルっていうか勉強会があるの?

ハマケン: 勉強会らしいものが何個もあったかどうか分からないけど、サークルはあります。民舞だったり。うちの妻は民族舞踊みたいなのには行ったりしていて、ちゃんと教えてくれる先生がいるみたいだけど。

堂前:じゃあ、なんか子供だけじゃなくて、むしろ親が学ぶ機会になっているってこと?

ハマケン: そうです。和光の幼稚園とか小学校は、親が燃えている感じがありますね。まだ入りたてなんで、どこに燃えているのか、また勉強したいということに燃えているのか、部活ママみたいになっているのか、良くは分からないのですけれど、みんな結構積極的に、親和会にみんな集まって話をしたりだとかあって、そこでも先生と一緒に話すんで、やっぱり教育の話になる。そういうのがいくつもあるんですよ。集まりがそこら辺にいっぱい転がっていますね。

堂前:先生にも勉強になって良いね。

ハマケン: やっぱり学びたいですね。

堂前:やっぱり日本は生涯学習人口が、先進国の中では少なすぎると思うよ。ちょっと勉強したくなったから、大学行ってみようかという動機で、働いている最中に入学しちゃうとか、この授業だけ受けてみようと受講したりすることがもっとあっていい。会社の方もそういう人に対して、じゃあ水曜日だけは来なくても良いからみたいな労働環境も必要だよね。
ただ、ちょっとずつそういうことが起こりはじめてはいる。Kさんを覚えている? 彼女の場合は、今会社に勤めながら千葉大学に通っている。建築関係だったかな。アフター5の授業を取っているんだけど、週に1日は丸々休みを取って通っているね。
だから、そういうケースが徐々に出てき始めているから、逆にみんなの意識が変わっていけば、だんだんそういう風になってくるだろうね。大学なんて少子化で新しい人が入ってきてくれれば歓迎なんだから。

ハマケン: 少子化?

堂前:若者の数が減っているからね。和光大学には昔から社会人が結構いるけれども、社会人がいると学生への良い刺激になるしね。 おじさんや、おばさんのように、若者のせまい常識が全く通用しない人が隣にいて一緒に勉強している。
よかったらどうぞお忍びで授業を聴きにきてくださいよ。バラさないから(笑)

————-浜野さんが考えている和光学園っていうのはどういうイメージなんですか?—————

ハマケン: 子供が幼稚園に入ってみてちょっと変わりましたけど、僕の中ではもう、堂前のイメージですかね。

堂前:僕は幼稚園の世界は知らないから、そういう意味では、学園全体像はハマケンの方が知ってるんじゃないの?

ハマケン: 美味しいものが転がっている感じですね。そのかわりフェイクもいっぱいある。特に大学には…。

堂前:なんか騙されて痛い目にあったことがあるの?

ハマケン: 僕はすごい慎重なんで、そういうのは。石橋を叩いて渡るくらいなんで、あんまりないですね。和光って、面白そうなカリキュラムがあったりだとか、ここをこうしてほしいとか、こうしたいとか言えるところじゃないですか。和光大学駅を作ってほしいとか。

堂前:なんで作らなかったんだとか(笑)

ハマケン:まぁ、それも面白いと思うんですけどね。自然に触れさせてくれる。その自然との距離感がまた良いですよね。
今日も歩いてくる時に鶴見川で鳥を見ながら、写真を撮りながら来たんですが、実は、僕は自然があまり好きな方ではなかったので、そんな人でもあぁ自然って大事だなと思ったり、ちゃんと自然との距離を説明してくれているような気がするんです。
和光幼稚園も、世田谷のど真ん中にあるんですけど、農大の畑を借りたりとか、作物を採ったりとかそういうのと触れ合ったり、やたらと遠足遠足って、何度も何度も自然の中に結構遠出して足を運ばせてくれるところが良いですよね。
それにボクが息子の和光幼稚園ですごくステキだと思ったのは、本物を使うという考え方。
3歳児とか4歳児とかでも、本当は使い方を間違うと危ないような小刀やハサミとかをあえて使わせる。 この間もうちの息子がカナヅチを使って、舟を作ってきましたね。木で。そういうのがなんで大事かっていうところからちゃんと伝えようとしてくれる。
僕は全然自然派じゃないんですけど、なんか納得できるし、やっぱり自然にはヒントが多いですよね。息子を見ていると、そういう意味でクリエイティブだなって思ってるんですよね。
YouTubeを見て、ちゃんと人が作って、「はい、これを見てほしいんです」っていうのも、それはそれで素晴らしいんですけど、それだと情報量が限られてくると思うんですよ。自然だと、無限の情報量があるんだ!っていうことに最近気づきました。

堂前:大人が想定しているのと違う見方が何通りでもできちゃうしね。

ハマケン:何通りでも。それがまた自然だと間違っていないし、いくらでも肯定されちゃいますよね。違った方向からの見方が。けどYouTubeとかでこうだねっていうと、いやそこじゃないって矯正されていってしまう。
人間が作ったおもちゃだとね、特定の目的のためにあるから、間違った使い方っていうのが出てくる。それが木の枝だと、どう使うかというのに、間違った木の枝の使い方というのはないんですね。

今後の話。これからもどんどん『変態』※(2)していきたい!!

※(2)変態とは…(生物学用語ではメタモルフォーシスともいう)

———今後こうなったらいいなぁとか、たとえば10年後こうなっていたいなぁというのはありますか?————-

ハマケン: 俳優も在日ファンクも、何らかの形で続けていければと。最近、防音室作りました。自分のためにね。どれだけ音楽で稼げるようになるか分からないけど、防音室あったらいいなって。妻にいろいろ無理を言って、お金もいろんなところから借りて。トロンボーンもやれるし、音もならせるし。ある程度騒いでも大丈夫。子どもたちも音楽が好きなんですよ。子供だって音楽にノるのって、やっぱり恥ずかしいとかあるじゃないですか? 彼らは音がバーとなったら、ワーってなるようになったんで、それは見ていて嬉しいですね。すぐ踊ったりする。 解放されてきたんですかね。

———–防音室があって、堂前のように刺激を受け続けて、進化し続けるっていう、そういうお話しでしたが…。

堂前:そういうのを本当は進化と言わない!って授業でやったよね。進化とは世代を経て変化していく現象で、ひとつの個体が変化することを「変態」という。

ハマケン: その人の中では進化は起こらない!

堂前:ただ、生物学では「変態」というのだけれど、そういうと変な目で見られるんだよね。

ハマケン: でも、日々、堂前のように変態していたいと(笑)

堂前:なるほどね。

ハマケン:この『変態』っていうテーマで曲が出来るかもしれないですけどね。

堂前:某ゲームだって、オタマジャクシがカエルになるような変化は変態なんだけど、変態って言っちゃうと商品上よろしくないから進化って言っているんだよ、きっと。
『シン・ゴジラ』も進化って言うでしょ。あれは変態っていうと笑い誘っちゃうから(使わないの)だと思う(笑)

ハマケン: シンゴジラだったら良さそうなもんですけど?

堂前:ねえ…。『変態』って言えば良いのになと。
ちょっと変態という言葉をこの辺でイメージアップさせてほしいんだけど、『シン・ゴジラ』あたりで。
そういえば『シン・ゴジラ』観ていたら、知っているトンデモネタが出てきた。ゴジラの生体内で核融合のような元素変換が怒っているって話。昔、似たことを言い出したルイ・ケルブランという学者がいて、鶏が食べるカルシウムの量と、産む卵のカルシウムの量とで、生む卵のカルシウムの量の方が多いから、体の中で核融合をやってカルシウムを作っているという説を唱えたのね。それで死後、「錬金術の熱心な崇拝者」としてイグ・ノーベル賞を贈呈されている。『シン・ゴジラ』で、その場面を見たとき、あぁ、あのネタだぁと思いながら楽しんでいた。
で、映画では、ゴジラは世代交代ではなく1個体のまま進化を続けているって説明されている。それって、生物学的には「変態」なのに。

ハマケン: 変態良いですね。変態したい。最悪ですね。(笑)

堂前:注釈つけないとまずいんじゃないの?(笑)生物学用語ですみたいな。ローマ字でいうとmetamorphosis(メタモルフォーシス)だからカッコ良いんだけどね。
ハマケン: メタモルフォーシス、かっこいい!! なんでこんなに違うんですか(笑)

———-じゃあ、メタモルフォーシスって表記にしますか?————-

堂前: でも、変態って言葉のほうが良いんでしょ?

ハマケン: 変態したボクですけども、子育てしてます。子育てって世代によってやっぱり違うじゃないですか、いろいろ普遍的に得ていく子どもの成長というのもあるけど。 基本的には、時代が同じってことはないじゃないですか、社会が同じということはありえないから。だから、基本的には完全なる新人類を育ててるってわけで、そう思った時にワクワクしたというのがありましたね。それが変態なのか進化なのかわからないけれども。

美味しい学びを和光学園で。

———-最後に和光生やこれを読んでる方に、和光ってこういう学校だよっていうメッセージをいただけますか?もしくは、これからはこうしたら良いよっていう、今まで36年間生きてこられた中でのアドバイスみたいなものでも良いので、何か一言いただけたら幸いです。————

ハマケン: 学びって楽しいですよね。やっぱり自分から落っこっているモノを拾わないと。いろんなベクトルの楽しさが広がっているので。僕はすごい和光大学は良い学校だと思っています。少なくとも僕は素晴らしい教授たちに出会えました。堂前をはじめとして。それがあれば大学は良いですよね。 美味しい思いをたくさんしてほしいですね。

堂前:和光学園って美味しいの?

ハマケン: 美味しい! 美味しいものがいっぱい転がってる。小学校もじっくりひとつのことを、何か月もかけて、ともすれば1年間集中してずっとみたいなことをやるらしくて、4年生は魚みたいな、なんかそういう感じらしいんですよ。

すごく良いなぁと思って。 水槽が教室の横にずっと置いてあって、それを観察しながら感じる喜びとか学ぶことの喜びとか、そういうのって本当伝わりづらいものなんだけど。なんか和光学園は芸能人が良く入れる所…みたいな形になっているのが勿体ないんですけど。ボクが言うのもなんですが。結構面白いのになと。

———じゃあ、おもしろいところをもっと発信していかないといけないですね。——————

ハマケン: 喜び、、、変態、、、(メタモルフォーシス)できる和光学園!!

———-本日は色々とお話しを聞かせていただき、堂前、浜野謙太さん、ありがとうございました。

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プロフィール

浜野 謙太(はまの けんた) ミュージシャン・作曲家・俳優

自由の森学園高等学校、和光大学卒業。ミュージシャン・作曲家・俳優。 愛称はハマケン。インストゥルメンタルバンド・SAKEROCK(2015年に解散)のメンバーとして、トロンボーン、スキャットを担当。 自身がリーダーを務めるバンド在日ファンクではボーカル兼リーダー Newdayではトロンボーンを担当。 さまざまなバンドのライブサポートなども多い。 俳優として数多くのCMやドラマ、映画に出演している。

在日ファンク

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