現代社会には大人でも答えの出せない様々な問題があり、そうした問題についてどう考えるのか、 考え方を身につけることが小学校での学びの大切な到達点 ~和光小学校の教育、質問にお答えして~

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いちょうまつりを2日後に控え、お店の準備、踊りの練習も佳境に入っています。ご近所のみなさまには、連日の太鼓の音でご迷惑をおかけしております。

 

さて、今年5月に行った和光幼稚園からの内部進学のための説明会で、参加されたみなさまからいくつかのご質問を受け、それに対する回答を幼稚園では園通信でお届けしましたが、外部から受験を考えていらっしゃる方にも共通する部分があるかと思いますので、その中から一部Q&Aという形でお知らせしたいと思います。

<教育課程に関わって>

Q.総合学習「沖縄」を1年かけて取り組むことに偏りはないのでしょうか?沖縄を深く掘り下げて学ぶ必要性は?小学校6年生でそこまでやるのはなぜでしょう?

A.総合学習「沖縄」については、今年度6年生担任の東田教諭から文書で答えさせていただきます。(この内進説明会で総合学習「沖縄のことば」の授業を参観していただき、その後授業に対する質疑応答があり、2つの質問をいただきました。「なぜ沖縄なのですか」と「沖縄だけを学ぶのは見方が狭くならないですか」という内容でした。その時も答えさせていただいたのですが、後ほどもう少し詳しく文書にしたものを園通信で紹介させていただきました。そこからの抜粋です。)

 

〇「なぜ沖縄か」という問いには、「何よりも沖縄がテーマとして面白いからです」というのが答えです。子どもたちと授業を作っていく上でのテーマ・題材はいろいろあります。たとえば算数なら平均、分数、単位当たり量など、社会なら歴史、国語なら俳句・短歌・文学作品、体育ならリレー・・・と、それぞれ学んでほしい中身があり、考えて欲しい中身があり、学ぶ中で考える力を育てたり物事の見方を身につけていってほしいと願っているわけです。その時に、やはり「面白い」ということは重要なファクターだと思っています。解き明かしたい謎や、やって楽しい過程がある、やりごたえがあることは大切なことだと思うからです。そうした意味で、沖縄には大きな学びがいがあります。亜熱帯の気候と海洋に囲まれた自然の素晴らしさ、琉球王朝からの歴史とさまざまな文化と人の技の面白さ。そして戦争の悲惨さと今に続く基地の問題は現代社会を考える上で重要な課題だと思っています。これらの沖縄が持っている顔は、一面的ではありません。非常に複雑に絡み合っています。それだけにどこから入ってもどこまでもつながっていく面白さが沖縄にはあるのです。だから沖縄を学ぶのです、というのが1つ目の答えです。

〇「なぜ沖縄だけなのか」という問いには、沖縄学習の中での多様性やほかの学習との関連の中での多様性ということもありますが、「小学生の学び方とはどういうものであるか」という点からも重要な意味があると思っています。1つの物事を考え、捉えていくときに多角的な視点で、とよく言われますが、子どもたちの思考というのは何もないところで多様な考えにいきなり触れても混乱するばかりです。まず徹底して1つの物事を見る目を身につけることが重要なのだと思っています。1つのことをみんなで追求していく中でこそ見えてくるものがある、というのは例えば昨年度の羊羹をみんなで一年間追ってきたことの中で見えてきたもの、身につけてきたものが例となるでしょう。1つのことを深くじっくりと見ていくということの中で子どもたちの思考はしっかりとしたものになっていきます。その上で、子どもたちは多様な意見や見方に出会い揺さぶられます。現代社会には大人でも答えの出せない様々な問題があります。そうした問題についてどう考えるか、考え方を身につけることが小学校での学びの大切な到達点だと思うのです。そのために、狭いどころか深く広い学びを沖縄を通してやっているのだと考えています。

これらのことを、6年生の子どもたちの姿、学びと成長を通して伝えていくことができれば、思っています。

 

 

Q.総合学習「沖縄」の他にどういう内容のものがあるのでしょう?また、総合学習が全体の学習に占める割合はどれぐらいでしょう?

A.総合学習は3年生以上に位置付いています。学年の単元として、3年生は「カイコ」「地域の素材から」、4年生は「多摩川」、5年生は「食」「障がい・共生」、6年生は「沖縄」「憲法と私たちのくらし」です。全学年に渡って取り組む領域別の単元では、「異文化国際理解」領域と「からだ・こころ・いのちの学習」領域があり、1年生から6年生までそれぞれに単元があります。1,2年生は、生活べんきょうとして、それぞれにベーシックプランを持っており、身近なものから自然、社会に目を向けることができるような内容になっています。1,2年生の生活べんきょうは、週に6時間、3年生の総合学習は週に2時間、4年生以上の総合学習は集に3時間です。

(総合学習については6月30日(日)の講座で増田教諭からお話しさせていただきました。)

 

Q.外国語(英語)教育はどうなっているのでしょうか?

A.外国語をことばとしてのみ取り出して学ぶのではなく、人との交流を通してことばにも触れていくことが、小学生の学習としては大切であると思っています。そのため、「異文化国際理解」の領域の中で、3年生は「韓国」、4年生は「中国」を位置づけ、さまざまな文化とともにことばも学んでいくことにしています。日中韓三カ国交流を続けているのもそのためです。5,6年生は「インターナショナルスクールとの交流など」とし、英語に触れる学習を行ってきました。ただ、2020年度から実施される学習指導要領には5,6年生に教科としての「外国語」が導入され、内容はほぼ「英語」となっていますので、和光小学校でもどのような形で行っていくことが意味のある学習になるのか、ここ数年研究を続けてきました。昨年度から、長年小学校の英語学習の教材を研究し、各地で授業も行っていらっしゃる外部講師の方のお力もお借りして、4,5,6年生に“テーマ学習”としての「英語」に取り組んでいます。総合学習と結びつけたテーマや文字そのものに興味を持てるテーマ、日本語との違いのおもしろさを感じることができるテーマなど、各学年の発達段階に応じた学習を組むことができ、子どもたちは外国語・英語に興味を持つことができたのではないかと思っています。

今年度も5,6年生は引き続き“テーマ学習”に取り組み、さらに発音、ことばの響きにも触れることができるような学習を進めました。

また、3,4年生には和光高校で長年講師をしていらっしゃるネイティブの先生に、ことばとしての英語のおもしろさを実感できるような授業をしていただきました。

来年度はさらに内容を広げる方向で、外部講師の先生といっしょにカリキュラム作りを進めていきたいと考えています。

 

Q.公立校で行っているプログラミング学習は?

A.学習指導要領で示されているプログラミング学習は、あまり具体的に示されている内容がなく、何のためにどのような学習が必要であるのかを私たち自身が検討したいと思っています。

 

Q.低学年での教員の配置(補助教員はいるのか)など知りたいです。

A.各学年ともに、担任の他に学年所属の教員(専科担当)が一人います。学年会にも所属教員が入り、子どもたちの状況を捉えるようにしています。さらに1年生では算数を中心にもう一人補助教員がつく授業を週に4時間行っています。ナイフを使う、針仕事をする、などの時には、補助教員を配置することもあります。

 

 

<教科学習の内容、習熟・定着、評価について>

Q.分数を5年生から取り組むということですが、2年間で他の小学生と同じぐらい理解できるようになるのでしょうか?

A.演算のしくみを本質的に学ぶことで、分数の概念はしっかり身につきます。何年か前、『分数のわからない大学生』という本が話題になりましたが、和光の両小学校出身の中学生、高校生は、分数の原理がわかっているのでここに書かれているようなことは考えられない、と卒業生が話していました。6年生は分数の乗除を学びますが、分数のわり算はなぜひっくり返して掛けるのか、を、きちんと自分のことばで説明できます。私たちはむしろ教科書で学んだ小学生よりよく理解していると思っています。

 

Q.教科書がない授業で宿題等はプリントだけで考えるということでしょうか?

A.その教材を理解するためにどのような教材教具を準備するかを、私たちはいっしょうけんめい考えています。子どもたちのわかりかたに即したプリントを手作りしているのはそのためです。宿題も市販のものではなく、今行っている学習に合わせた内容のものを準備しています。

 

Q.塾に入らないと授業について行けないとかはあるのですか?

A.ありません。むしろ学校の授業でしっかり学ぶことで理解を深め、次の学習に意欲を持って臨むことができるように、私たちは授業作りに力を注いでいます。

 

Q.個人個人がほんとうに理解しているかどうかは、どのように確認しているのでしょうか?テストのことなど教えて下さい。

A.一つの単元が終わると、どれぐらい理解しているか、のテストなど行います。ときどき、単元の途中でもミニテストを行うこともあります。学年、教科内容によってはレポート形式での課題とし、理解度を見ることもあります。そして、学期ごとに子どもたちに手渡すのは通知表に代わる「評価カード」です。これは教科ごとにその学期に行った内容をお知らせし、いくつかの観点で到達度評価を行います。子ども自身が自分が不十分であったところがわかり、フォローアップできるようにしています。夏休みなどに担任が学習会を開くこともあります。

 

Q.ていねいに取り組むのはいいと思いましたが、スピード感がない感じがあり、1年でどれぐらい学べるのか知りたいです。

A.一つ一つのことをていねいに学んでいくということで“わかるよころび”“できるよろこび”を子ども自身が感じることができます。もっと知りたい、もっとやってみたい、というのは、そういう“学ぶ喜び”があってこそではないでしょうか。学びの量も質も決して他の学校に引けを取っているとは感じていません。子どもは、学びたい!と自ら感じるとき、初めて「学び」に向かうのです。もう一つ、仲間と共に学ぶことで喜びはさらに広がるのだと思います。自分の説明で友だちが「わかった」と言ってくれたとき、友だちの話を聞いて納得したとき、子どもたちは学校で学ぶことの喜びを実感します。

 

Q.板書の機会が少ないのでは?

A.板書は必要な時に必要な部分を書いていくようにしています。教科の特性にもよりますが、一番効果的な板書を目指したいと思っています。

 

Q.公立校で工夫していることとどれぐらいの違いがあるのでしょう?

A.公立校でもそれぞれの学校、それぞれの教員が工夫して授業作りをしています。

どれぐらいの違いがあるのか、というのは、学校をいくつか見ていただくとわかるのではないでしょうか。一つ言えることは、公立の小学校は各自治体の教育委員会、指導主事の指導の影響を大きく受けているのではないか、と、研究会などで公立小学校の教員から聞く話から感じることがある、ということです。

 

Q.学習方法はとてもおもしろかったけれど、中学生になった時、公立の子どもたちとの学習の差はないのでしょうか?

A.特徴的なカリキュラムを組んでいるので、たとえば歴史上の人物をどれぐらい多く覚えているか、年代をどれぐらい覚えているか、などと聞かれると、そのようなことに学校の授業では時間を割いていないので比較すると少ないかもしれません。でもそんなことは興味を持ったときに覚えればいいので、何も困ることはない、と多くの卒業生から聞くことばです。

 

 

<個々の子どもの授業中の様子、学習への向かい方について>

Q.子どもたちは積極的に手を上げる子どもが多いですが、消極的な子どもたちは、どのように思っているのでしょう?また、授業にどんどん関わっていけない子どもたちにどのようにフォローしているのでしょう?

A.消極的に見える子どもも、その時間いっしょに学んでいます。学んだことをどのように表現するか、周りの人たちにどう発信していくか、はそれぞれの子どもの性格などでさまざまです。積極的に手を上げる子どももそうでない子どもも、この授業でなにをどう学んだのかを教師はつかみ取らなくてはなりません。みんなの中でそんなに積極的に出せない子どもでも、実はいろいろなことを考えたり、自分なりの思いを持ったりしています。いろいろな形でその考え、思いを引き出せるように教師は力を尽くします。

「消極的な子ども」については、6月6日(木)、増田教諭が幼稚園へお話しに伺ったときのことを、校園長ブログで紹介させていただきました。(キーワードは「書く」こと ~“和光らし子”ってどんな子ども?!~)

 

Q.自己主張は身につくと思いますが、協調性はどうなのでしょう?

A.クラスの仲間と共に学び、運動会など行事に取り組む中で、仲間と力を合わせること、いっしょに何かに取り組むことの心地よさを感じることになります。

 

Q.競争社会への対応と個性を伸ばす部分との折り合いをどう付けていけばいいのでしょう?

A.和光学園の出身者は、今の社会が「競争社会」だとしたら、しっかり対応し、むしろたくましく生きていく力を付けていると感じています。「競争社会」を生きぬく力は、各自の個性がじゅうぶんに伸ばされてこそ身につくのではないでしょうか。多くの卒業生の姿から感じていることです。

 

 

<子どもたちの関係について>

Q.いじめはあるでしょうか?

A.学校、教室も一つの社会ですから、いじめが起こることもあります。大切なのは、その時、子どもたちの中に起こっている事実をしっかり見つめ、なぜそのようなことが起こったのかを考え、だれかがいじめられて辛い思いをすることについて仲間たちが考え、そういうことが起こらないようにするためにはどのようにすればいいのかを考え合うことができるかどうか、ということです。小学校の学級通信、親和会でも和光幼稚園と同じように子どもたちの状況を父母のみなさんとリアルに共有しています。

 

 

<その他>

Q.からだにハンディキャップがある子どもはだいじょうぶでしょうか?

A.発達年齢に応じた学習、生活が進められているので、和光小学校で学ぶことがその子にとってベストであるのかどうかを考慮して、ハンディキャップのあるお子さんを受け入れるかどうかを決めています。

 

Q.三位一体や和光の成り立ちについてもっと聞きたいです。

A.和光学園の歴史については、どこかでお伝えできれば、と思います。

 

 

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