2016年度卒業式 卒業生保護者代表の言葉
先日行われた2016年度卒業式。その中で語られた卒業生の保護者代表の言葉を紹介します。
和光小学校を卒業する皆さん。自分は恵まれていると、考えたことがありますか?
私は、皆さんが、とても羨ましい。
私が和光小学校に出会ったのは、今から約30年前でした。印刷会社でアルバイトをしていた私は、和光の先生方や、当時の親和会の皆さんの原稿を受け取りに、週に何回も、和光小学校に足を運んでいました。
パソコンなんてない時代ですから、手書きの原稿を預かって、活字を組み、印刷して、本を作る仕事でした。
いつ来ても、子どもたちが学校中遊びまわっていて、その元気の良さに圧倒されていました。
当時の校舎は、古い木造で、かなりボロボロでした。校長室には、大きな立派な、黒い革張りのソファーがあって、でもそのソファーからは、漫画に出てくる様なバネが本当に飛び出していました。
そして校長室でも子どもたちが遊んでいて、びっくりしました。
ある日、新任の音楽の先生の原稿を受け取りにきて職員室を訪ねました。それは、なんとI先生でした。
その時も、職員室では、低学年の女の子たちが遊んでいて、I先生の彼氏じゃないのか?としつこく尋ねられて困ったりしました。
子どもたちの書いた原稿もたくさん印刷しました。
いつしか、会社に持ち帰った原稿を全部読むことが楽しみになりました。
丁度この卒業の時期、当時の6年生の卒業文集を読んでいて衝撃を受けました。
内容は、当時の広島学習旅行のことが多かったと覚えていますが、ここには学ぶことの真剣さ、自ら学んで行く方法、要するに僕の嫌いだった、嫌いと思い込んでいた「勉強」というものがいかに楽しいものかが、すべて詰まっていることに気がついたんです。
遅いですよね。私はもうその時23歳でした。でも確かに、23歳の私は和光小学校から学んだんです。
和光小学校では答えは教えてくれない (だって答えは自分で考えるものだから)。
答えの出し方を教えてくれる。答えは一つではないことも教えてくれる。
自分で考えた、自分の意見を言える人は、違う意見の人の話しを聞くことができて、話し合うことができる。
人間は自ら学び、自分で育つ力を持っている。それを信じて、見守ってくれる大人達がいる学校。
私がもしも、将来結婚するようなことがあって、もしも子どもが生まれたら、その子の、かけがえのない少年時代は、和光小学校で過ごして欲しいな。とその時強く思いました。
この学校の子どもたちが、こんなに輝いて見えるのは、1人1人が、個人として、とても大切にされているからではないでしょうか?
和光小学校の生徒だからとか、6年生だから、1年生だから。女子だから、男子だから。そんなふうに、なににも括られないで、1人1人がこの学校では、主人公として大切にされている。
いちょうまつりで心も体も踊りだす。
運動会で、全員でバトンを繫いだ、素晴らしい和光の仲間たちの中で育ち、
下級生のみなさんに、自分たちの学びを伝えて卒業して行く6年生のみなさん。
卒業おめでとうございます。
世界中の子どもたちが、和光小学校の様な学校で学ぶことができたらいいな、と思います。
そして、そんな日がやって来ると、固く信じています。
卒業する皆さんと、和光小学校の教職員の皆さん、
自らも学びながら、いつも、和光の子どもたちを我が子と同じように見守ってくださっている保護者の皆さん。
感謝しきれない思いを込め、祝辞と謝辞とさせて頂きます。
また、このような機会を頂きましたことに、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。 2017年3月15日 卒業生保護者代表 Hさん