“子どもたち自身がどう考え、どう対応するかを折に触れ考え合っておくことが、また次の様々な場面に対応する力を育てていく” ~日々の生活の中で起こることから学ぶ~

和光小学校 校園長ブログ

小田急線経堂駅から学校までは大人の足で10分あまりの道のりです。私が出勤する頃はまだあまり多くの小学生と一緒になることはないのですが、時々話しかけてくれる人たちもいます。

この間のこと。2年生のBちゃんと1年生のCちゃんが歩いているところに追いつきました。二人は通学路が同じなので、朝はよくいっしょに登校しています。私といっしょになることも何度かあり、今日発表する物のこと、おうちでのことなど話してくれます。

この日は、「ねぇねぇ、私たちおいしいもの食べたんだよ。」とCちゃんが話しかけてきました。「おいしいもの?」と聞くと、「Bちゃんが持ってきた<さくさくぱんだ>。経堂駅のトイレで食べたんだよ。ねぇ~」とCちゃん。駅のトイレ?と思っていると、2年生のBちゃんが「おいしかったよねぇ~。」と言いながら私の表情に気づいたのか、「あ、これね、誰にも言っちゃダメだよ。」と唇に人差し指を当てました。

2年生は麦の勉強をしているので、“麦でできているもの”“麦が入っているもの”を見つけたら学校へ持ってきて発表しています。Bちゃんはこの日、<さくさくぱんだ>というお菓子に麦が入っているのを見つけ、発表するために持って来ていたのでした。学校へ堂々とお菓子を持っていくことができてうれしいBちゃんは、電車の中でいっしょになった1年生のCちゃんにそのことを話したくなりました。そして、学校へ持っていく前にCちゃんといっしょに食べてみたくなったのでした。

さすがに人の目のあるところで食べるのは気が引け、見つからないところで、と思ったのでしょう、駅のトイレに入って食べたのです。

「どうして食べようと思ったの?」と聞くと、「おなかがすいたから」。「でも、学校へ行く途中にお菓子を食べるのはよくないよね?」「うん、知ってる」。だんだんBちゃんの声が小さくなってきます。

「お願いだから担任のA先生には言わないで。」と手を合わせるBちゃん。「どうしてA先生に言わないでほしいの?」と聞くと、「だって、怒られるんだもん」。「よくないっていうこと、わかっていて食べちゃったんだよね。これはA先生に言わなきゃいけないことだと思うよ。」と話すと、「うん」と神妙な顔になります。「Bちゃんが自分で話す?それとも私が話そうか?」と聞くと、「先生が話して」とますます小さい声になりました。「わかった。私から話すから、A先生に聞かれたら、Cちゃんを誘ってお菓子を食べたこと、A先生に話すんだよ。」と私が言ったところで学校に到着しました。

クラスの朝の会では、今朝の出来事をA先生からクラスのみんなに話し、質問や意見が出ました。

質問。「なんで食べちゃったの?」「おなかがすいてたから。」  「なんで1年生にもあげたの?」「わすれた」  「1年生にあげちゃって、また1年生がやっちゃって、続いたらどうするの?」「やらなければよかった・・・」  「発表の後だったらみんなで食べられたのに。」「そう思ってたんだけど・・・・」  「食べたくなっちゃうのはわかるけど、なんで食べちゃったの?」「おなかがすいちゃったから」  「なんで2人で食べたの?」「わすれちゃった」

この「わすれちゃった」という答えには、“このこたえはひどい。1年生をまきこんだのはどうしてか、はっきりさせてほしい”とA先生が学級通信に書いています。

意見。「弟もまねしちゃうんじゃない?」 「みんなおなかがすいててもがまんしてるのに、がまんしたほうがいい」 「1年まきこんじゃって、1年、わかんなかったと思うけど、Bちゃんがやらなきゃよかった」

クラスの仲間たちは、おいしいお菓子を持ってきて、途中で食べたくなってしまう気持ちはよくわかりながら、それはよくないことだ、ということを一生懸命伝えています。さらに、1年生を巻き込んだことについてはきちんと批判もしているのです。

この後、1年生を巻き込んでしまったので、1年生のクラスにも説明とあやまりに行きました。「おなかすかないように、(ごはんを)いっぱい食べればいいじゃん。」「がまんすればいいよ」と1年生から“あたりまえのことをいわれた。”と学級通信には書かれています。実は、つい最近、1年生でも帰りにこっそりおやつ(学童保育で出された物)を食べていた人がいて、話し合いをしたばかりだったので、そのことがいけないことだということは、よくわかっていたようでした。

1年生からは「2人だけ、ずるい」というのも言われたそうです。“おかしだけでなく、ルールをまもらない、というのはじぶんかってでずるい、ということになる。みんなも、もしおなじようなことがおこったとき、じぶんなら? さそわれたときは? ないしょにしてね、といわれたら? と、かんがえてみてほしい。”とA先生は学級通信で子どもたちに呼びかけています。

その日のうちに出された学級通信には、ことの経過と子どもたちからの質問、意見、1年生のクラスに行ったこと、Bちゃんが書いた作文を、子どもたちの名前も載せながら紹介しています。

最後に父母の皆さんに向けて。“これもまたあり得ることではありますが・・・。一つ一つ起こったことを、返せるところはクラスに返して、考えを出し合うことが大切だと思っています。学校の行き帰りは大人の目の届かない所ですが、自分たちでもどう考えるのか、どう対応するかを折に触れ考え合っておくことが、また次の様々な場面に対応する力を育てていくことにつながるということです。”

 

通学途中を含め、日々の生活の中で様々なことが起こります。友だち同士のけんか、トラブル、いじわる、などなど、集団生活をしていれば当然起こることです。その一つ一つの出来事をどう捉えるか、どのように対応するか、私たち教員は常に子どもたちに問いかけていきます。

そして、子どもたち同士が意見を出し合い、時には批判し、考え合っていきます。毎日のように発行される学級通信には、もちろん子どもたちの名前を出しながら、クラスで起こっている出来事をリアルに伝え、保護者の皆さんともいっしょに考えて頂いています。さらに、月に一度の学級親和会でも子どもたちの姿を伝えながら、話し合っているのです。

昨年のシンポジウムに来てくれた卒業生のまりなさんは、「小学校の頃はクラスのお母さん達みんなが私のことを好きだと思っていました。」と話してくれましたが、子どもたちの生活をまるごと受け止め、一緒に考え合っていくことで“どの子も我が子”と思えるようになるのでしょう。日々担任が発行する学級通信、1ヶ月に一度の学級親和会が、子どもたちと共に保護者の皆さんをもつないでいます。

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