自分のからだも、友だちのからだも 大切にできる子どもたちに ~幼児期に育みたい“からだ観”~

和光小学校 校園長ブログ

幼稚園の年長の子どもたちに、今年も「からだのはなし」をしました。

和光幼稚園の年長の子どもたちは、7月に二泊三日の合宿に出かけます。

合宿ではお風呂、着替えなど自分や友だちの「からだ」を意識する場面があります。水泳で水着に着替える時もそうですが、友だちと自分のからだ、女の子と男の子のからだに、子どもたちは気がついていきます。

昨年から、星組(5歳児)のクラスで、6月に「からだのはなし」を3回組ませてもらっています。子どもたちが自分のからだは自分だけのものであること、自分のからだも友だちのからだも大切にできるように、というのがねらいです。

1回目は、赤ちゃんだった時と比べると、跳んだり走ったりできるようになり、また柔らかい物、固い物の違いがわかるなど、感覚器としてのからだも成長してきたことを、実際にからだを動かしながら感じ取っていきました。

2回目は、お客さんに来て頂きました。オーストラリアの赤ちゃん人形2体です。私が所属する性教育の研究会仲間が、10年ほど前オーストラリア在住の息子さんにお願いして送って頂ける、と私たちに斡旋して下さった人形です。

日本のおもちゃ売り場にもありそうな人形ですが、日本の赤ちゃん人形と違うのは、女の子、男の子のそれぞれに性器があるということです。海外の人形には性器がついているものが多いと聞きますが、なぜか日本の赤ちゃん人形にはついていません。このあたりにも、“性”“性器”に対する考え方が表れているように思います。

また、オーストラリアでは肌の色が白い人形と浅黒い人形が売られています。浅黒いお人形はオーストラリアの原住民、アボリジニの赤ちゃんです。私はアボリジニの赤ちゃんを注文しました。

さて、この2人(2体)のお客様、新生児用の洋服もおむつも着けているので、外から見ただけでは女の子か男の子かわかりません。が、なぜか子どもたちは顔つきや洋服のちょっとした模様の違いなどで「こっちが女の子だよ」などと言うのですが、実は性器以外はまったく同じように作られていますし、洋服もジェンダーバイアスがかからないような色や模様を私が選んで着せています。

女の子と男の子をどうやって見分けるか、と尋ねると、「おむつを取ってみればわかる」「おちんちんがついていれば男だよ」と、子どもたち。

では、「星組のみんながからだのことを勉強するために、すみませんがおむつを取らせて下さい。」と話しかけて、おむつを取りました。この声かけには、ことわりなく他人が身に着けている物を取ることはしない、他人のからだを大切に扱う、というメッセージを込めています。
男の子の人形には、「わぁ、おちんちんがあった!」と声が上がります。では、女の子の人形は?「おまた」「おしり」という声がちらほら。

実は、この回のねらいは、性器の名前を知る、ということです。

からだの各部位には名前があります。指の名前を「お父さん指」「お母さん指」という子どももいれば、5歳児にもなると「親指」「人差し指」という名前も多くの子どもが知っています。 同じ指でも、「お父さん指」というのは小さい子どもが言うことばで、大人になると「親指」と言うこと、お医者さんに行った時、大人が「お父さん指をケガした」とは言わず「親指をケガした」と言う、と話すと、うんうん、と子どもたちはうなずきます。

同じように、「おちんちん」というのは小さい子どものことばで、大人になったらそうは言わない、「男の子の性器」または「ペニス」と言うんだよ、と伝えました。女の子は、「女の子の性器」または「ワギナ」と言います。5歳児の子どもたちには初めて聞くことばですが、大切なからだの名前であること、大人になってもずっと使える名前であることを話すと、いっしょうけんめい聞いていました。

日本語に限らず、女性の性器は長い間きちんとした名前で認識されてきませんでした。それは、女性の性器が女性自身のものではなかったという歴史を物語っています。きちんとした名前でからだの部位を認識することは、大切なからだの一部であることを認識することにつながります。
和光小学校では2年生の「たんじょう」の学習で、赤ちゃんはどこから産まれてくるのかを学びますが、その時、おしっこがでる尿道口とウンチが出る肛門の間に「ワギナ」があることをわかっていることが大切になります。

1年生でも改めて性器の名称を学習しますが、幼児期から呼び名を知っていることは、次の回で取り上げる性被害を防ぐ上でも大切なことです。

3回目は、「プライベートゾーン」の話をしました。性器など水着を着たとき隠れる場所を、ちょっと難しいので覚えなくてもいいよ、と言いながら「プライベートゾーン」ということばを伝えました。(小学生には「プライベート・ゾーンあるいはプライベート・パーツ」と言うことを伝えています)

そして、自分のからだはどこも大切だけれど、特に「プライベートゾーン」は、ことわりなく触ったり触らせられたり、見ようとしたり見せようとしたりしてはいけない場所だという話をしました。

その後、ビデオ・ドック発行『わたしのからだよ!-いやなふれあいだいきらい』(ロリー・フリーマン著 田上時子訳)を読み、どんなに親しい人であっても“いやなふれあい”だと感じたら「いや、やめて!そんなこときらい!」と言って逃げること、そのことを信頼できる大人に話すことを伝えました。

性被害は被害者のからだにもこころにも深刻なダメージを与えます。

1990年代に行われた国際的な調査によると、3~4人に1人の女の子、5~6人に1人の男の子が性被害に遭っていると言われています。そして、子どもに対する性被害を及ぼす相手は、70%~90%が子どもの知っている人なのです。

近年、男児に対する性犯罪が報じられるようになりましたが、最近まで「男の子は性被害を受けない」という誤解がありました。

実際、学校内外での“性的いじめ”は昔からありました。しかしそのことを“男の子だから”訴えられない、という苦しい思いをしてきた子どももいたはずです。

私たちは子どもたちを性被害から守るという視点を持つ必要があり、子ども自身が自分のからだを守る方法を知っておくことを、幼児期からしっかり身に付けさせたいと思っています。

和光幼稚園では、数年前まで3歳児は水泳の後、テラスで水着を脱いでから室内に入って洋服を着ていました。室内が濡れないようにするため、という理由でしたが、ある時、テラスの近くを小学生が通ることに気が付いた先生が、室内に入ってから着替えることを提案しました。小さい子どもだからと、人前で裸になることに無頓着であってはならないと思います。

今では5歳児はもちろん、4歳児も着替えは男女別々の部屋を使い、3歳児も部屋を半分にして男の子と女の子が分かれて着替えるようにしています。

子どもたち自身の“からだ観”を育むことを、子どもに係わる大人たちはいつも意識していたいものです。

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