和光小学校を巣立っていくみなさんへ ~2017年度 和光小学校卒業式 式辞~

和光小学校 校園長ブログ
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今年も和光小学校、和光幼稚園の卒業生を見送って10日が経ちました。

毎年「卒業証書」を手渡しながら、在学、在園中のさまざまな姿が思い出され、胸がいっぱいになります。

卒業生に送ったことばです。

 

 

卒業生のみなさん、いよいよ卒業の日を迎えました。和光小学校での日々、今みなさんの心にはどのような出来事が思い出されるのでしょう。

私は4年前、3年生だったみなさんがカイコの世話をしている姿を思い出していました。

和光小学校の学びは、“実感を持って学ぶ”ことを大切にしています。資料を読む、先生から話を聞くだけではなく、実際にやってみる、確かめてみるという学び方が“実感を持って学ぶ”ということです。

生活勉強や総合学習はもちろん、算数や国語などの教科の学習でもそのことを大切にしています。

そして学んだことを自分の言葉で表現する、伝えること、そのことでさらに学びが深くなることも、みなさんは肌で感じていることでしょう。

 

昨年10月の沖縄学習旅行、台風が直撃し出発予定の日には飛行機が飛ばない可能性が出てきました。急遽1日早く出発することにしたので、みなさんの沖縄学習旅行は5日間となりました。

沖縄には到着しましたが、予定していた見学はできず、そのかわり嵐の中をホテルまで来て下さった北上田先生と琉球大学の6人の学生さんたちといっしょに「ワークショップ」を行いました。

あの激しい沖縄戦の中、戦前から戦後にかけて住民がどのような運命をたどったか、丹念に調査し詳しい資料が残っている地域があります。その沖縄本島西海岸、浦添市小湾地区の住民になって時間の経過とともにそれぞれの人がどうなっていったのかを体験するというものでした。

当時、実際に暮らしていた人になり“ロールプレイ”をすることで、家族と離ればなれになること、大切な家族を亡くしてしまうことを肌身で感じることができたのではないかと思います。

 

沖縄戦を体験した方たちはみなさんご高齢になっています。

当時10歳だった玉木利江子さんは、家族と共に南部を逃げまどい、10人の家族のうち生き残ったのは利江子さんと、全身に砲弾を受けながらも九死に一生を得た叔母さんだけでした。

学習旅行から戻った後、1組の人たちは玉木利江子さんに聞いてみたいことを手紙で届けると、すぐにファックスで返事が来ました。

利江子さんは、その返事の冒頭に「私の伝えたいことをしっかり受け取ってくれた。つらい戦争体験をなぜ語り続けているのか、ということに対しても自分たちでちゃんと答えを出している、そしてこれから自分たちが何をするべきか、など、小学生とは思えないほど深く考えていることに驚きました。」と書いて下さいました。

 

また、今年は「3.11」の特別授業に、当時宮城県の中学の先生だった和光大学の制野先生に来ていただきました。

制野先生は、大地震と津波でこころに大きな傷を負った教え子たちの作文と、津波が迫ってくる時の映像を紹介して下さいました。

49秒間の映像でしたが、1組のゆうたくんは、「49秒があんなに長く感じられたのは初めてでした。49秒であんなことが起きるとは思ってもみませんでした。映像の中で「どこに?」と言っていた子どもが津波の恐怖を感じている気がしました。」と授業の後の感想に書いています。

 

沖縄戦の体験を語って下さった玉木利江子さん、中山キクさん、それからお母さんが座間味で体験した集団死のことを伝えて下さった宮城晴美さん、沖縄民謡を聴かせてくれた伊藤幸太さん、長崎での原爆体験を語って下さった木村徳子さん、報道写真家の嬉野京子さん、水中カメラマンの中村征夫さん、「3.11」の体験を伝えて下さった制野先生・・・・・みなさんはこの1年間だけでも、多くの方に出会い、直接お話を聞くことができました。

1年生の頃から振り返ると、ほんとうに多くの方が和光小学校の学習にと、みなさんに直接語りかけて下さいました。

今、本や映像、インターネットでもさまざまな情報を手に入れることができ、ともすれば“知っているつもり”になってしまうこともあります。でも、みなさんがその人と直接顔と顔を合わせて話を聞く、質問に答えてもらうことは、出会わないで得られる知識とは比べものにならないくらいの大きなものを得ることになります。まさに“実感する”学びになるのです。

北上田先生のワークショップで、当時の沖縄の人に身を寄せて考えられたのは、そういう学び方をしてきたからだろうと思いました。

 

そのことは、“ふりかえり”の一言一言にも表れています。『命どぅ宝』沖縄作文集には、自分の目で見て、耳で聞き、肌で感じたこと、“実感したこと”がたくさんあるからこその作文が詰まっていました。

その文集を読み合って書いた2組の人たちの感想を読みました。それぞれに心に響くものが違い、それを自分の言葉で表現しています。

りゅうまくんは「ただ跡地を見るのと、体験者の方たちのお話を聞くのとでは感じるものが違います。そうなんだ、という気持ち、自分たちが平和のバトンをつなげようという気持ちに変わるのです。」と書いています。

ななこさんが書いているのは“目線”のことです。

「えまの米軍基地での、どっちの目線で沖縄を学べばいいのかわからなくなりました。という文が心に残りました。本当にそうなのかもしれないなぁ・・・と思いました。アメリカ目線での沖縄と日本目線の沖縄はなんだか違うなぁーとえまの作文を読んで思いました。でもどっちも最初にわかってほしいのは沖縄目線の米軍基地のことです。本当に沖縄の人は困っている、米軍基地があるから戦争が終わってからも命を落としている人がいるということ。私たちが大人になったらどこからの目線でもものごとを見られるようになりたいです。」

片方だけから見るのではなく、違った場所から眺め直してみることで、新たなことが見えてくることがあります。ななこさんはえまさんの作文で、様々な“目線”を持つことの意味に気がついたということを書いているのです。

友だちの考えを知り、さらに自分の考えを深めていく、学校で学ぶことの意味はこういうことなのだと思います。

 

いよいよ中学生になります。これからも自分の目で確かめること、直接体験すること、そして自分の頭で考えることを大切にして下さい。

学習も生活も、これまでよりぐんと広がり、深まっていくことでしょうが、和光小学校で培った力を信じて新しい世界に羽ばたいていって下さい。

卒業、おめでとうございます!

 

卒業生の保護者のみなさま、ご卒業、おめでとうございます。

学力偏重の世の中で、この和光小学校を選んで下さったこと、そして親和会活動をはじめ、まさに「三位一体」で物心両面にわたり力強く支えていただきましたこと、こころより感謝申し上げます。

在学中には様々なことがあり、はらはらされることもあったことでしょう。

でも、今ここにいる卒業生たちを見ていると、大丈夫、と確信を持つことができます。

少しずつ子どもとの距離を取りながら、あとしばらくは子育てを存分に楽しんで下さい。

 

2018年3月16日

和光小学校 校長 北山ひと美

 

 

 

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