物語の世界を楽しむ、表現する ~小学校2年生げきの会・幼稚園星組“つたえるかい”~

和光小学校 校園長ブログ

9月末に教育講座のことをお伝えしてから2ヶ月が経ち、2学期も終わりに近づいています。

10月は小学校のいちょうまつり、幼稚園の運動会、6年生の沖縄学習旅行と、行事が続きました。11月には小学校、幼稚園の入学、入園考査を行い、今年5回目となる小学校、幼稚園合同での公開研究会も無事、終えることが出来ました。

その間も、それぞれの教育活動を展開し、子どもたちは仲間と共に学びを深め、学んだことを“伝える”取り組みを進めています。

公開研が終わると小学校は「低学年げきの会」「うたの会」、幼稚園は「うたの会・造形活動展」「冬まつり」が行われ、2学期を終えます。

 

「低学年げきの会」は2年生が体育館のフロアーを使って劇を行い、1年生と幼稚園の星組(5歳児)、そしておうちの方に観てもらいます。中高学年の劇は体育館の舞台で演じ、照明、音響も入れての演劇活動ですが、低学年の劇はフロアーに山台と仕切りのパネルを置いてのフロアー劇です。クラスごとに1つのお話を選び、どういう動きにするか、どんなセリフを言うか、教室の中で役を交代しながらたっぷりと“劇遊び”を楽しむところから劇作りが始まります。

 

今年の1組は『ゆうちゃんとめんどくさいサイ』。子どもが持ってきてくれた絵本を元に、担任と子どもたちで場面設定をしたそうです。絵本では何をやるのもめんどくさい、といやがる主人公ゆうちゃんが登場しますが、劇ではゆうちゃんとあきちゃんの2人にし、ノラネコ、ライオン、ゴリラはそれぞれにグループを作って、そのグループに場面作りを任せたと言います。

練習の時には他のグループの演技を見て意見を出し合い、お互いに刺激を受けながら練習を進めていました。

オチとなる“めんどくさいサイ”の場面は“めんどくさいサル”“めんどくさいサメ”も加わって、だるそうな3匹の掛け合いが何ともユーモラスな場面に仕上がりました。絵本ではめんどくさくてお風呂にも入らないサイのように不潔になりたくない、と思ったゆうちゃんが「きれいにしよう!」と変わるところで終わるようですが、ゲネプロを経て、登場人物たちが「やっぱりめんどくさ~い!」と終わることにしました。会場も大笑いしておしまい、です。

それぞれのグループでの動きを自分たちでどんどん工夫して作り替えていることにも驚きましたが、舞台脇には様々な擬音の出る楽器、道具が揃えられ、子どもたちが次々とその「音」を担当し、複雑な音をタイミングよく合わせていることにびっくりしました。演技と音をぴったり合わせる緊張感が、そばにいると伝わってきます。挿入歌の「ねこふんじゃった」の替え歌も子どもたちが作り、キーボードでの伴奏にも何人かの子どもたちが挑戦していました。

 

2組は『じごくのそうべえ』。もともとは、上方落語の名作「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を、人間国宝の桂米朝師匠が今に通じるよう仕立て直したものを原案にした絵本があり、そこから劇にしました。

この作品は低学年のげきの会では何度も演じられてきましたが、場面の作り方をさまざまに工夫することができ、劇作りを楽しむことができます。

今回は、3人の語りで幕が開き、この3人が場面展開を進め、さらに「音」も一手に引き受けていました。

軽業師(かるわざし)のそうべえが綱渡りに失敗して死んでしまうところから話は始まります。閻魔大王(えんまだいおう)の前に引き立てられるのは、そうべえと歯医者のしかい、医者のちくあん、山伏のふっかい。そうべえ役はれいらちゃんとゆなちゃんが前半と後半で分かれて演じます。どこまでで交代するか、2人で決めたのだそうです。死んでしまったそおべえ役のれいらちゃんが、「ここはどこやろ」とちゃんと関西弁で言うところに、大阪出身の私は思わず身を乗り出しましたが、すべてを関西弁にするのは難しかったようです。

閻魔大王から糞尿(ふんにょう)地獄、熱湯地獄、針の山へと次々に追いやられながらも“まじない”や技で切り抜け、人呑鬼(じんどんき)の腹の中で大暴れして、ついにあの世からこの世に送り返されてしまう4人。閻魔大王の手下として4人を追い立てるオニたちの動きがユーモラスで、見ている1年生からも声がかかります。人呑鬼の腹の中でくしゃみの筋や笑い袋などを引っ張ったりするそうべえたちと、それに反応する人呑鬼、それぞれの音のタイミングが見事に合って、舞台が“腹の中”に見えてきました。

4人は無事に腹の中から飛び出し、地獄からも追い返され、この世に戻ってきて、めでたしめでたし。見ていた1年生も「このよにもどれてよかったよ」と感想に書いていました。

 

和光小学校は2年生、4年生、6年生が劇作りに取り組みます。物語の世界を劇としてクラスのみんなで創り上げるこの取り組みは、まさに総合学習であり、学級集団作りでもあります。演じることと共に音や光を創っていく過程の中で、自分自身の意外な姿に気づいたり、友だちの別の一面を発見することもあります。劇作りへの取り組みそのものがドラマチックでクラスの人間関係に揺さぶりを掛けることにもなるのです。

2年生は普段の生活の中で読み聞かせや読書を通じてお話の世界を楽しみ、劇作りでは物語の世界をからだで表現することの楽しさに出会います。

そして本番。会場に集まった1年生、星組、おうちの人たちがフロアーに集中し、演じる子どもたちの気持ちがどんどん高まっていき、会場が一体となったところで、もう一段上の表現が生まれるのだということを実感しました。

 

 

翌日は幼稚園の「造形活動展・うたの会」でした。

午前中は体育室でうたの会。子どもたちを囲んでおうちの方々が体育室いっぱいに入り、子どもたちの歌声を聴いてもらいます。500人以上の人が一堂に会し、写真も動画も撮ることなく、子どもたちの歌声に耳を傾け、最後には会場全体での「にじ」(作詞:新沢としひこ、作曲:中川ひろたか)の大合唱。コーラスサークルのお母さん達がハーモニーを加えて下さって、とてもステキなひとときになりました。

 

この日は造形作品展も開催します。これまでに作った紙工作、木工作、粘土での作品をホールに展示し、星組(5歳児)は教室にこれまでの活動を展示、保護者向けに“つたえるかい”を行いました。

星組は、自分たちがこれまでに活動してきたことを展示しているものを示しながら、一人一人がおうちの人に説明します。それに加えて、今年は両クラスとも「にんぎょうげき」を上演しました。

「にんぎょうげき」と言っても、子どもたち手作りのペープサートを黒い布を貼った舞台の上を動かしながら演じます。これは、“好きな遊びの時間”に自然発生的に作って演じ始めたものを朝の会ではっぴょうし、広がっていったものです。道具がそろうと、チラシを作り、月組(4歳児)や花組(3歳児)に配り、お客さんを集めます。絵本コーナーや階段下のスペースで上演することが多く、時には花組前のベランダまで行って上演する日もあったそうです。波の音が作りたい、とレインスティックを作り、できあがるとそれを使った人形劇『ぐりとぐらのかいすいよく』をやりたくなって道具を作り始めています。

 

さて、この日はおうちの人たちが教室いっぱいに入っている中での「にんぎょうげき」の上演とあって、子どもたちははりきっていました。

2組のトップバッターは『3びきのやぎのがらがらどん』。1学期の朝の集会で教師たちが演じたお話ですが、子どもたちのお話は、なぜか幼稚園の階段を上って屋上へ草を食べに行くヤギ、という設定です。(幼稚園の屋上は草屋根屋上になっていて畑もあります)ヤギもトロルも子どもたちのイメージで書かれたペープサートは味があり、階段がだんだん大きくなるのもおかしくて笑ってしまいました。

次に登場したのは『3びきのこぶたのつづき』、かんたくん、げんじくんの2人が演じます。“つづき”というタイトルにぐっと惹かれましたが、「レンガの家で3匹の子豚が暮らしていました。オオカミが来て3匹を食べてしまいました。お母さん豚とお父さん豚が帰ってきて、お母さん豚が食べられてしまいました。お父さん豚がオオカミをやっつけて、子豚とお母さん豚が出てきました。」と、実に簡潔で明解なお話とそれに合わせて次々とペープサートが動いていく様子が見事でした。

その次は『いわつきさつまいも』。ちょっと前に収穫したさつまいもで焼き芋の会をやったことがヒントになっているのでしょうか。「いわつきがさつまいもを食べて一つ目小僧になった」「いわつきたつろうがさつまいもを食べて火の玉になった」「へんないわつきがさつまいもを食べてオバケになった」・・・・と、次々と変身した岩月先生(このクラスの担任です)が登場しました。

女の子たちが作ったのは『かわいい女の子』。おひめさまと女の子たちのペープサートがオニゴッコを繰り返すお話はそれだけで楽しくなります。

にんぎょうげき最後は『ブレーメンのおんがくたい』。これは元のお話どおりのストーリー展開でしたが、子どもたちは自分のことばでお話を語っていて、まさにペープサートを演じていました。

にんぎょうげきはここまででしたが、まどかちゃんが「こわい話」をする、と“高座”に上がって聴かせてくれました。これも自分が作ったお話でした。

 

時間差をつけて、1組の教室でも“つたえるかい”が開かれます。

まず、けん玉、びゅんびゅんごま、コマの技を見せてくれました。司会のりょうまくんは、コマの「手のっけ」がうまくいかないと、「失敗です」とアナウンスします。びゅんびゅんごまは、2組では足の指と手の指で回したり、1組では両足で回したり、会場から「おお~」と声が上がる技も披露してくれました。

1組の人形劇は『11ぴきのねこ』。馬場のぼるさんの絵本で、これも朝の集会などで教師たちが演じたことがあります。5人ぐらいの子どもたちが、ネコや魚などを動かしながら、これまた自分たちでお話を語っていきました。この日やった人たち以外にも毎日何人かで『11ぴきのねこ』を演じているそうです。

 

ごっこ遊びから広がる「にんぎょうげき」、ペープサートなど、お話の世界を自分のことばで紡ぎ出し、仲間といっしょに演じること、そして友だちの「にんぎょうげき」を観ることも楽しんでいる星組の姿が、1年生になって教室の中で読み聞かせに挑戦し、2年生の劇作りにつながっていくのでしょう。

1年生のななこちゃんは、星組の時、絵本作りがブームになり、クラスのみんなで160冊も「絵本」を作り発表し合ったのですが、今でも絵本を作り続けています。思い浮かんだお話を次々と「絵本」に仕上げていく、まさにお話の世界を創造することを、1年以上も楽しんでいるのです。

絵本作りにしても、「にんぎょうげき」にしても、クラスでの劇作りにしても、こんなお話を創りたい、という想像力が創造力となって表現されていきます。2年生のフロアーでの伸びやかな表現が、4年生、6年生と、本格的な演劇に高まっていくのは、幼稚園での、何ものにも制限されない自由な表現をみんなで楽しみ合うということがベースになっているのではないか、そんなことを考えさせられた2日間でした。

 

 

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