「貯蔵する知識ではなく発動する知力である」~開校直後の「和光学園小学校要覧」と2学期終業式の発表~

和光小学校 校園長ブログ

20日は2学期最後の日でした。終業式に集まった子どもたちの顔からは、行事に、学習にと日々向かっていった充実感と、明日からの冬休みへの期待を感じました。

終業式の最初に、「先生たちを代表して」と紹介され、話をしました。

先日、資料室の整理をしていた職員が、開校直後だと思われる『和光学園小学校要覧』(1935年頃)と昭和21年12月発行の同窓会の文集を見つけてくれたので、「学校要覧」と、この2学期の小学校の学習について、以下のような話をしました。

 

 

<和光小学校がこの世田谷に誕生して今年で85年になります。どういう学校なのかということを書いた物を「学校要覧」と言いますが、昭和8年(1933年)に誕生して3年目ごろに作られた「学校要覧」が見つかりました。

今の物と比べると漢字の書き方も、文の書き方もずいぶん違っています。

この中に書かれている「和光教育の特色」を読んで、びっくりしました。

1番初めに書いてあるのが「三位一体」。これは、子どもと親と学校とが力を合わせて教育を作っていく、という意味で、今の和光学園でも大切にしていることです。でも、この時代は、教育は国の役に立つ人間を育てるために行うもの、という考え方が中心だったので、子どもと親と先生とが「互いに尊敬しあって」こそいい教育ができる、という考え方は、とても珍しかったと思います。

2番目には「個性の尊重」と書かれています。このころの公立小学校では1クラスに60人から70人の子どもたちが詰め込まれ、教科書に書いてあることを覚えることが中心の勉強だったそうです。

でも一人一人の子どもの「特性に応じた」教育方針を立てることで、持って生まれた才能をじゅうぶん発揮できるようになると、和光小学校は考えていました。そして「単に詰め込まれて暗記した知識は重荷である」とし、「貯蔵する知識ではなく、発動する知力である。生活を開拓する力としての知識でなければならないのである。」と書かれています。

つまり、覚えなさいと言われて無理に覚えるのは子どもたちにとって負担になるということ、知っているということではなく、学んだことで働きかけることができること、生活を切り開いていくような知識こそが大切だ、ということです。

今なら当たり前のことかもしれませんが、この時代にこのように考えて子どもたちの教育を行いたい、という願いを持って生まれた和光小学校は、他の学校とは全く違っていたのだろうと思います。

 

そして、この和光学園、和光小学校の教育に対する考え方は、今も同じだと思います。

学んだことで働きかけることができ、生活を切り開いていくこと、ということは、どの学年のどの学習でも大切にしていることですが、とりわけ生活べんきょうや総合学習ではそうですね。

1年生は学校で働く人のお仕事調べをしていました。先生たちにインタビューをしたり、事務の方に教室でお話を聞いたりしました。

2年生は麦刈りをして麦を粉にしてパン作りをしました。何回も作っておいしいパンができるようになりましたね。プロのパン屋さんにも教えてもらいました。

3年生はカイコを育てて絹糸を取りましたね。たくさんの桑の葉をあげなければいけないのでたいへんでしたが、無事に繭にすることができました。

4年生は多摩川の学習を進め、グループでテーマを決めて調べて発表し、伝える会も行いました。社会科で水の学習、ゴミの学習もしました。

5年生の「食」は毎年クラスで決めたテーマに取り組み、失敗もしながら何度も試作していちょうまつりでお店を出します。今年は「だんご」と「羊羹」でした。5年2組は羊羹を作っているプロの方に来て頂いてお話を聞いたり、手紙を書いて質問に答えてもらったりしました。 駿河屋という羊羹を作っている会社の人から届いた手紙には「皆さんのおかげで羊羹のこれからに光を見いだしました」と書いてあったそうです。プロの方にこんなことばを掛けてもらえるというのは、それだけ真剣に羊羹のことを考えていることが伝わったからだと思います。

そして6年生は、「沖縄」の学習をして、沖縄学習旅行に行き、現地で沖縄戦を体験した方やガイドの先生達、多くの方と出会い、学びました。

どの学習も自分たちで実際に作ってみる、やってみることを大切にし、まさに学んだことが自分たちが生活している社会に働きかけることになり、それがまた生活を切り開いていく力になっていくということを実感できたのではないでしょうか。

 

みなさん一人一人が2学期を振り返ると、それぞれにこんなことを学んだなぁ、自分が夢中になったのはこれだ、というものがあると思います。

今日は2学期のことを振り返り、次にやってみたいことは何だろう、と是非考えてみて下さい。

1月、またみなさんに会うのを楽しみにしています。>

 

 

始業式、終業式では各学年の発表があります。

1年生は音楽が大好き、授業で歌った歌「ありがとうの花」をクラスみんなで歌いました。気持ちのいい歌声が体育館の中に響きわたりました。

2年生は11月30日に行ったげきの会を振り返っての作文を、ももさんとなるくんが発表してくれました。先生のアドバイス通りにやったらみんなに笑ってもらえて良かった、友だちの演技が大きくできていて良かった、おまじないの呪文のかけ方をみんなでああしたら、こうしたら、と話し合ってうまくできた、などなど、長くまとまりのある作文も書けたのがすごいです。

3年生はクラス全員でけん玉を発表しました。司会はしゅんさん。「全員で大皿!」みごとに乗って会場からは「おぉ~」という声。「もしかめができる人」ではクラスの半分ぐらいの人が歌に合わせてリズミカルにけん玉が動きます。「とめけん」は数人、玉の方を持って逆に上から挿すという「とうだい」は3人の人が見せてくれました。

4年生は2学期を振り返っての話を2人がしてくれました。「いちょうまつりが心に残っている。中野七頭舞は楽しく踊れたし、お店もがんばった。3学期は横浜中華学校との交流が楽しみ。自分は交流は苦手だけれどがんばりたい」「いちょうまつりでは商品作りをがんばった、3学期は劇の会があるので楽しみ」。4年生になると、3学期のことも見通しを持って語ってくれます。

5年生は代表でまさしくんが発表してくれました。2学期心に残ったことはいちょうまつり。大森みかぐらを踊ったことと、羊羹作り。たくさん作って売れるかどうか心配だったけれど全部売れてよかった、と語りました。いちょうまつりに5年2組が出した羊羹の店は4店舗でしたが、それぞれに試作を重ね、こだわりの味を追求していました。いちょうまつりには「虎屋文庫」の丸山さんが来て下さり、その後4つの店の羊羹それぞれに「皮がきれいに漉され、弾力があった」「小倉羊羹は粒が柔らか。練り羊羹は小豆のほのかな香り。小豆の舌触りと黒糖の香りが良くマッチ」「皮がきれいに漉され、塩味が効いてなめらかでさっぱり」「煉羊羹のほくほくした食感、水羊羹のなめらかなやわらかさ」と、プロならではの評価をていねいに書いて届けて下さいました。丸山さんは、その後5年2組の教室に来てお話しして下さいました。まさしくんの短い言葉の中に、“ほんもの”を追求した充実感を感じました。

6年生は6年2組の学級代表なつねさんとえみちくんが、「6年2組ランキング」を発表しました。クラスで2学期を終えるにあたって、いくつかのことを振り返り、交流しますが、その中からの発表です。

まずは「2学期、印象に残ったこと」。第2位はいちょうまつり13人。「(自分たちがやった)おばけやしきが楽しかったから」「エイサーはみんなで息がそろっていた」など。そして第1位は沖縄学習旅行15人。「海や水族館に行って楽しかったから」「証言者の話がとてもつらく、自分の心に戦争反対という、より強い気持ちが出てきたから」「チビチリガマで、人の骨をさわったことが印象に残った。この骨の人たちが皆ここで生きてたんだっていうのが何より感じられて不思議な気持ちだったから」「夜の学級集会で一人一人自分の意見を、人の意見にとらわれずに言えたから」などが主な理由です。

「2学期にクラスが成長したと思うことは何ですか?」では、「しっかりと授業を受けられるようになった。」「しゃべっている人が自分からやめようとするようになったこと。」「メリハリがついてきた。」「一人ひとりがはっきりと自分の意見を言えるようになった。そういう交流しやすい空気をつくれるようになった。」などなどたくさん成長してきたことが書かれていたそうです。

突然ですが、と「2018年の6年2組の“流行語大賞”を発表します!」と続きます。第2位は「すん」。聞いている子どもたちは「?」でしたが、これは授業中に誰も何も言わなかったときに、担任が「うんとかすんとか言ってよ」と言ったのをきっかけに、その後の返事が「すん」になったとか。そして、第1位は・・・「カマルさん」。これも聞いている人たちには「?」です。カマルさんというのは、沖縄学習旅行で泊まったホテルの食事会場でお世話をして下さった従業員の方のお名前だそうです。とてもいい人だったので、沖縄から戻った後も「カマルさん」が話題になっていたのだそうです。

最後は3学期に引き続く6年2組の課題。「授業中にもうちょっと静かになれるといい」「人に流されないようにすること」「注意する人を増やすんじゃなくて、しゃべっている人が気づけるような環境にすること」「提出物をしめきり以内に出すこと」などが挙げられました。

6年生は誰かに言われるのではなく、自分自身が感じた課題をことばにしてクラスの中で交流することで、小学校生活の残りの3ヶ月をより充実した日々にすることにつながることでしょう。やはり「沖縄」の学びが、学習旅行の思い出と共に大きな位置を占めています。先週末の「うたの会」で6年生が最後に歌った「HEIWAの鐘」の歌声、その表情と共に会場にいる人たちの胸を熱くする、想いのこもったものでした。“脅かすことでしか守ることができないと、くり返す戦争(つみ)忘れ行く愚かな権力(ちから)よ”・・・・本番直前のお昼休みに飛び込んできた「辺野古に土砂投入」のニュース、6年生の子どもたちは複雑な思いで聞いたことでしょう。沖縄に思いを馳せながら歌った「島唄」「HEIWAの鐘」でした。6年生の発表から、そんなことも思い出していました。

 

学年、クラスごとに2学期を振り返り、3学期に向けての目標もこのように全校で共有されることは、一人一人の子どもたちにとっては少し先の見通しや期待にもつながります。学校の中で学び合うことの意味を改めてかみしめた2学期の終業式でした。

 

 

2018年もあと数日となりました。みなさま、どうぞよいお年をお迎え下さい。

 

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