キーワードは「書く」こと ~“和光らしい子”ってどんな子ども?!~

和光小学校 校園長ブログ
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5月上旬、和光幼稚園在園の保護者の方に向けた和光小学校の学校説明会を行いました。そのアンケートにいくつかの質問をちょうだいしました。運動会をはさみ、少し遅くなりましたが、園通信を通じてお答えし、先週、教務主任の増田教諭が直接幼稚園の保護者の方にお話しをさせて頂く時間を持ちました。

 

いただいた質問の中に、「和光の子どもたちはとても活発で、授業中も発言をよくするようですが、うちの子どもはそういうタイプではないので、やっていけるのでしょうか・・・・」という内容のものがありました。実は、この質問は外部の方向けの学校説明会でもよくいただくものです。

これについては文書での回答というより、増田教諭が直接お話しさせて頂いた方がいいのではないか、と幼稚園の教員たちとも相談し、降園前の30分を、懇談会という形で行うことにしました。

増田教諭は、「授業中にハイハイ、と手を挙げて発言することはいいことなのでしょうか?」と切り出し、「実は教師がこういうことを求めている、ということではないでしょうか」と続けます。授業参観に行くと、授業のじゃまもしないけれど手も挙げないわが子を見て何だかモヤモヤする、という経験、実は私にもあります。

増田教諭は、なんで授業中に手を挙げなければいけないのでしょう?そういう姿を見せる子どもがいい、という固定観念に縛られているのではないでしょうか?、と問題提起をします。

先日行われた運動会、チームリーダーたちの姿は多くの方のこころを揺さぶったと思います。うちの子はどうだろう・・・みんなの前に立って引っ張っていくリーダーではない子たちは・・・? そんなことも考えてみたい、と話しました。

 

増田教諭は、和光幼稚園から和光小学校、和光中学へと進んだAさんのことを紹介しました。

Aさんは小学校の頃は班長に立候補することはありませんでした。授業中自ら発言することもほとんどなく、目立つことがいやだという子どもでした。

6年生の運動会の取り組みの中、ある日の練習の後のふりかえりの作文で、Bくんが「自分はうまくいかず、みんなの足を引っ張っている・・・・毎回最後につまづくのは自分でも努力していきたい・・・・」と、練習がうまくいかない悩みを書きました。その“ふりかえり”に対して、Aさんは「Bくんを見ていてすごくがんばっているなぁ、と思った。・・・自分がぼ~っとしている時、いつもB君のかけ声が聞こえてきた。・・・・自分は、4年生や5年生をひっぱっていかなくてもいいと思う。ひっぱるんじゃなくて一緒にやれたら4年生も5年生も安心してできるし、信頼しあって団結できるんじゃないかな?って思った。・・・」と書いています。

Bくんが悩みを打ち明けたことに対してAさんが心を寄せる、そんな自分の悩み、葛藤をクラスの仲間に伝えていくことができ、それを受け止めてくれる仲間がいることで乗り越えていくことができるのだと増田教諭は言います。

 

授業の中でも「書く」ということをよくやります。算数の「単位あたり量」の授業の後Aさんが書いたふりかえり文を紹介してくれました。

「単位あたり量の勉強を始めてから、いつもの生活の中で単位あたり量を見つけることが多くなった。くじ引き券は500円の物購入につき4枚、とか、今まで気づかなかっただけで実は意外と身のまわりに単位あたり量があって、見つけるとひまつぶしとかで計算してみたりした。今まで通りプリントとノートでやるんじゃなくて算数日記※でやったことにも意味があったと思う。自分で書くことをまとめたりすることで発見もあったから。その式で何を求めているのか意味がわかっていることが大切だと思う。」

私たちは、算数の教科目標を、算数を通して現実世界を見つめる、としています。まさにAさんは算数の本質を捉えたのだということが、このふりかえり文からわかります。

増田教諭は、「くり返し言いますが、決して授業中にハイハイと手を挙げて積極的に発言するタイプの子どもではなかったのです。でもこのふりかえり文からは、これだけ深い学びをしていることがわかります。」と付け足しました。

増田教諭は、話の中で「書く、ということがキーワードです」と言っていましたが、子どもたちにはことあるごとに書いてもらいます。そしてその書いたものを学級通信や授業プリントで紹介し、クラスの仲間がお互いにどのようなことを感じたのか、何を考えたのかを交流します。授業の中で発言しなくてもこういうことに気が付いたんだ、ということは、教師だけではなく、子どもたちもわかるのです。私たちは学校で仲間と共に学ぶということの意味、価値をそこに見いだします。

 

Aさんが卒業間際にクラスのことについて書いた作文では、「このクラスはみんなが意見を言えてそれについて考えて話し合えるクラスだと思う。1人1人の意見を大切にしているのがすごくいいところだと思う。・・・・・・Aはこのクラスでよかったと思います。みんなとすごせて楽しかったです!!」と書きました。

この作文について、増田教諭は担任としてすごくいいことだと思ったこと、として、「①自分の意見を持てることがすごく大事なことである ②1人1人の意見を大切にしていることがいい、ひとの意見も大切に出来る、ということ ③そのことを伝えられること」と語ってくれました。

 

限られた時間でしたが、あと2つの例を話してくれました。

1つめ、今年1年生の担任をしている増田教諭、毎日、新鮮で笑える1年生の姿がありますが、楽しみにしているのが“あさのはっぴょう”の時間です。ある子どものお母さんに、「最近よくはっぴょうしてくれますよ」と伝えたら、「えっ?!幼稚園ではほとんど前に出なかったのに!?」と驚かれていた、ということです。増田教諭は、子どもはいつ“芽”を出すかわからない、大切なのは土作りだと言います。

2つめ、和光幼稚園から和光小、和光中と進み、A高校、KO大学に進んだ卒業生が、和光中学校の卒業式で読んだ作文を紹介してくれました。内容は割愛させて頂きますが、小学校時代担任だった増田教諭は、「彼はお世辞にもこんなに文章が書ける人でも、こんなに漢字を使う人でもありませんでした。」と言います。「小中と「書くこと」「表現すること」をずっと追求してきたことがこんなにも力を付けてきたのです」と。

そして、“和光らしい子”ってどんな子どもなのでしょう、と語りかけます。じつは、そんな子どもはいないのです。一人ひとりが自分らしさを育てることができる、それが“和光学園”であると私も思っています。

 

最後に、増田教諭がレジュメにまとめたことばを紹介します。

○「おとなしい子」が輝いていないのではない。じっくりと自分の内面を育てている。

○書くこと、ふりかえることを通して内面を出す。共有する。そして、受け止め合う。

○その大前提として、集団の関係づくり。自分を出しても良い安心感。

○その子が一歩ふみ出す時期とタイミングは一人ひとりちがう。ちなみにAさんは、今、中学校で一歩ふみ出そうとしている。

 

実は私の長男も、和光小学校の頃は授業中手を挙げて発言する、はっぴょうすることが苦手でした。クラスのほとんどの子どもがはっぴょうしているのに何もはっぴょうしないのはどうしてだろう、と私もモヤモヤした頃もありました。そんな長男が和光高校で生徒会執行委員長に選ばれたと知った時、子どもには一人一人芽を出し花開く時期があるのだと妙に納得したのを覚えています。

 

懇談会では増田教諭を囲んで次々と質問を寄せて下さる方がいて、この後も親としてわが子をどう見ていくのか、などもっともっと語り合う機会があれば、と感じました。

参加して頂いたみなさま、ありがとうございました。

 

 

※「算数日記」は、1時間の授業の内容を1枚のケント紙にまとめ、授業終了時に、わかったこと、考えたこと、疑問に思ったことなど“ふりかえり”を書いたものです。貼り合わせて表紙をつけると、単元ごとの1冊の冊子にまとまります。和光小学校では、授業の記録、まとめをいろいろな形で進めています。

 

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