“物がないゆえのクリエイティビティが すごいことを毎日感じる” ~卒業生 長井優希乃さん「マラウイの生活から考える」~

和光小学校 校園長ブログ
kitayama2

つい先日夏休みが始まったと思ったら、もう来週からは二学期です。7月末からは猛暑が続きましたが、みなさまお元気でお過ごしでしたでしょうか?

NHKの<チコちゃんに叱られる>で、「夏休みは何のためにあるの?」という質問に、「先生たちが勉強するため」というのが答えでした。その通り、長い夏休み、教員たちは全国各地で開かれている民間教育研究団体などが主催する夏期セミナーなどに参加し、学びを進めるとともに全国の仲間たちとの交流も深めました。

2年生の中には、8月4日から5日に行われる青森県今別の荒馬まつりに親子で参加し、現地保存会の方から講習を受けた方もいらっしゃることでしょう。2年生の教員は今別に行き、1年生の教員は北海道でアイヌ文化に浸る日々を過ごします。

8月下旬になると、各校、園での研究会、幼小研究会、両小研究会、小中研究会、幼小中高研究会と、数日間に渡っての学園内での研究活動を行っています。

幼稚園は学園内の研究会の前に、今年は“他園訪問”で学ぼう、と、静岡県、千葉県、埼玉県の幼稚園、保育園の参観を行いました。私は4人の先生たちといっしょに千葉県富津市にある「和光保育園」(和光学園とはまったく関係がありません)に行きましたが、園舎のつくり、子どもたちの生活時間の流れ、保育者たちの関わり方などにたいへん刺激を受けました。またどこかでお伝えできれば、と思っています。

 

さて、そんな学園内の研究会がそろそろ始まるという8月24日(土)、同窓親和会主催の<卒業生から学ぶ>という企画が催されました。同窓親和会というのは、卒業生の父母の方々、退職教員が卒業後も和光の学びにつながるために集っている組織です。学習会、演奏会などを企画し、学園全体にも呼びかけて下さっています。

今回は、和光鶴川幼稚園、和光鶴川小学校、和光中学、和光高校で学び、その後立教大学、京都大学大学院で文化人類学を専攻し、現在、JICA青年海外協力隊でアフリカのマラウイに派遣されている長井優希乃さんからお話を聞きました。

優希乃さんは私が鶴小で高学年担任をしていたとき隣のクラスにいました。民舞が大好きで元気いっぱいの踊りリーダーだったことを覚えています。中学の時、卒業生からネパール舞踊を学んだことが文化人類学への道につながったのかもしれません。大学の時は、休学して約20ヵ国の国々を旅したのだそうです。

実は、私はこの日までマラウイという国がどこにあるのか知らなかったのですが、タンザニア、ザンビア、モザンビークに囲まれたアフリカ南東部に位置する内陸国だそうです。面積は日本の三分の一ほどですが、出生率は4.57人(2016年)で人口増加率は2.9%。子どもたちがたくさんいる国です。

1年生から8年生までのPrimary Schoolのみ義務教育ですが、1つの学校には1500人ぐらいの子どもたちがいて、1つの教室に200人、教室がない学年もあるのだとか。

国の経済は40%を国際援助に頼っています。日本からの援助もあります。北欧からの200万ドルは女子教育へ、という目的での援助なので、性別役割分業や若年で女子が結婚させられることについて劇にするなどのジェンダー教育を行っているそうですが、まだLGBTは認められていないとか。そんなこともあってか、“カジュアルデー”というお祭りの日には男子が女装するなどして楽しむのだそうです。

マラウイに派遣されて十ヶ月になるという優希乃さん、現地では首都リロングウェから2時間ほど進んだ山あいのマタピラという地域で、小学校教育におけるアート教育アドバイザーをしています。

学区にある12校を自転車で巡回し、体育、演劇、音楽などの教育について教員がスキルアップするためのワークショップを行ったり、子どもたちとアートクラブの活動を行ったりしています。また、現地の子どもたちと日本の学校との交流プログラムを企画、運営もします。学校は点在しているので、毎日20㎞ほどのオフロードの道のりを自転車で回るのだとか。逞しいです!

その中で、アイヌのおどりを子どもたちとやっている映像を見せて頂きました。海外協力隊は日本のおどりというとソーラン節を伝えることが多いのだそうですが、アイヌのおどりは表現しているものが伝わりやすく、自然に対する考え方もマラウイの人たちの生活と近いものがあり受け入れられやすいと優希乃さんは考え、マタンプシも作って棒のおどり、丸木舟のおどりなどやりました。

校舎にみんなで壁画を描くというプロジェクトでは、壁画の模様を子どもたちに考えてもらい、多くの案を投票で選ぶ、という手法で行いました。トップダウンではなく民主的に物事を決めていくことも学校文化の中に伝えています。

日本の調布にある私立の学校と交流した時、ゴミの問題が話題になったそうです。マラウイの子どもたちは「ゴミ?なぜ捨てるの?」と首をかしげます。

電気が通っていないところもあり、国際支援で15年ぐらい前にはあったという水道はメンテナンスができないため壊れたままで井戸水を使っています。物が溢れている日本の子どもたちには想像もつかない生活ですが、どんな物でも工夫して加工し、何かを作ってしまうマラウイの子どもたちのクリエイティビティに、優希乃さんは感動します。物がない故のクリエイティビティがすごい、ということを毎日感じるのだそうです。そして、クリエイティビティって何だろう、と考えます。物に溢れた生活をしている私達は、自分で物を作り出す、作り替えるということができなくなっているのかもしれません。

最後に、国際協力とはかわいそうな人たちを助けてあげるのだ、という意識の傲慢さを話してくれました。こういう“上から目線”が植民地主義につながるのではないか、と。

マラウイでの生活を通じて、「豊かさとな何だろう?」と自分への問い直しをしているのだと優希乃さん。公務員住宅に住み、現地の人たちと同じようにトウモロコシを育て収穫して製粉したものも一袋持ってきてくれました。これで主食のシマを作ります。限られた期間とはいえ、現地の人たちと同じ物を食べ、同じ物を着、現地の風を肌で感じて生活することで新たな発見、学びが得られるのでしょう。

マラウイの子どもたちのこと、学校の先生や地域の人たちのことを語る優希乃さんの柔らかい口調、優しいまなざしが印象的でした。

 

幼稚園、小学校の夏休み、各ご家庭でも長い休みだからこその日々を過ごされたことと思います。夏休み明け、一回り大きくなった子どもたちに会うのを楽しみにしています。 

和光小学校の資料一式を無料送付いたします。

資料請求する