「平和」とは、どんな人でも自分の意見を言えて、他の人との意見を合わせて物事を考えられること ~今年の沖縄学習旅行で学び、考えたこと~

和光小学校 校園長ブログ
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あらゆることが例年通りに行うことができないまま、6月の学校再開から半年が過ぎようとしています。感染防止は当然のことながら、通常の学校生活を送ることができず戸惑っている子どもたちの気持ちを最優先に考えながら、少しずつ教育活動、学校生活を進めてきました。

できないことは諦めるしかないこともありましたが、6年生の沖縄学習旅行はなんとしても実現させたいと願い、もし予定通りの日程で行うことができなかった場合の延期日程も設定し、ぎりぎりまで実施判断を延ばしました。

いつもより短い夏休みが明けてスタートした2学期、決して楽観することはできませんが、感染防止対策の方法も以前よりは鮮明になってきたこともあり、10月初め、決行を決めました。例年の1ヶ月遅れで沖縄に下見に行き、沖縄県庁観光課、一般財団法人沖縄観光コンベンションビューローに、学校で作成したガイドラインを携えてご挨拶に行くと、是非来てほしい、と、沖縄のみなさんが和光小学校の6年生を待っていてくださる気持ちがひしひしと伝わってきました。ほんとうにありがたいことでした。6年生本人はもとより、家族の方たちの健康観察も続けながら、出発当日を迎えました。

4日間お天気にも恵まれ、今年も現地沖縄の方々の様々なお力添えのおかげで、充実した学習旅行を行うことができました。

沖縄戦を体験された証言者のみなさまは年々ご高齢になっていかれますが、あの悲惨な体験を伝えたい、と子どもたちの前に凜として立ってくださる姿、そのことばの一つ一つに込めた想い、願いを、子どもたちは全身で受け止めていました。

3日目の夜は学級集会を行います。

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沖縄到着後に感じた空気の違い、北上田源先生、山内栄先生による嘉数高台での沖縄戦の話、辺野古の海に埋め立てられている新基地建設の様子、そして10歳で沖縄戦を体験した玉木利枝子さんの話、クラスごとの白梅学徒隊、ひめゆり学徒隊の戦跡の追体験、中山キクさん、島袋淑子さんの話、「韓国の塔」「平和の礎」で聞いた川満彰先生の話、真っ青な海と空に抱かれた摩文仁での平和集会、夜の伊藤幸太さんの八重山民謡、園田青年会のエイサー、座間味で聞いた宮城晴美先生の集団死の話、平田ご夫妻の戦争体験、そして海遊び・・・・

3日間のことを思い浮かべ、心に残ったことを一人一人が語るところから集会は始まります。

私は前半は1組、後半は2組の学級集会に参加しました。

1組は、これまでに沖縄に抱いていたイメージと実際に見たものと違っていたところは、ということを語るところから始まりました。

「おいしい食、きれいな海、というイメージだったが戦争があったんだ、ということがわかった」

「テレビでは食などが紹介されているけれど、町のど真ん中に基地があった」

「きれいな海、観光スポットがあるところだと思っていたが、実際に体験者の方が泣きながら話している姿を見て、すっごい苦しかったんだろうと思った」

「全体に明るいイメージだったが、戦争の後がくっきりと残っているところが悲しくなった」

「もとは戦場だったなんて信じられなかった」

「観光が有名で景色がきれいなところだと思っていたが当時のことを知って今までと違うイメージになった」

「ほんとうにここで戦争があったのか、と思っていたけれど証言者の話を聞いて実感できた」

「基地が、人が住んでいるそばにあることがわかった」

2組は心に残ったことを一人一人が語った後、自分ならどう考えるか、を話し合っていました。

「沖縄は捨て石にされた。選挙権を持ったとき、一人一人が意思を持ってきちんと一票を入れていくことが大切だと思う。」

「玉木さんが10歳の時に即死したいと思っていたと泣きそうな顔で話しているのを聞いて、教育が大切だと思った。教育によって反対できるようになるし、教育を変えることで政府を変えることができるのだと思った。」

10歳の子どもが即死したいと思うのは怖い。小さい時から教育されているとそう思うのだろうか。そのような教育がないようにしたい。」

どのようなことを話し合いたいか、という担任の投げかけに、これからどんな平和を作っていきたいか、を話し合うことにしました。「平和って何だろう、どういう状態が平和と言うのか、それぞれに思っている平和は違うのでそこから話し合っていこう」と担任から。

Ka「基地は戦争がなければ必要がない。基地がないのが平和だと思う。戦争のつらさを伝えていけば。世界に」

Ht「平和は人々が争わないで全世界の人が平等に扱われるようなことだと思う。今は平等もできていない。だから全世界が平和だとはいえない」

Tk「一人一人が安心して生きていける世界だと思う」

Nk「自分が思うことをしっかり言うことができて、その小さな意見にも反応してくれる、その世界が平和だと思う」

Fg「誰かの平和のために誰かが苦しむのは違うと思う」

Ki「戦争は国同士が戦う。国の中で宗教の対立とかで対立して内戦とかが起こる。日本の憲法だといろんな考え方、宗教の自由が保障されている。いろんな国で日本の憲法のようになればいいと思う」

Tk「戦争はもともと小さいことから起こる。小さいことから和解できると戦争はなくなると思う」

St「日本とかでは選挙の投票をしない人がいる。投票して意見を言うことが尊重されないと平和にならないと思う」

Sy「(日本は)争い、ということでは平和。自由ということでは平和ではない。言論の自由を強めた方がいいと思う」

Ka「自分がいやなことがあってそれを押し通そうとする大人がいる。教育が大事だと思った」

Y「昔あった戦争のことを隠そうとしないで次の代の子どもたちにも伝えていくことが大事」

Nk「自分の意見だけ押し通そうとするのではなく意見を聞き合うことが大切」

Tf「基地はなくていいと思う。基地は戦争のためにある。お互いに軍隊、自衛隊などをなくす。」

Ak「国もいっしょに国民と考えることが大切だと思う」

St「今の政府は戦争などの歴史をなかったことにしている。私学にあまり援助しない。戦争の歴史がみんな忘れられたら戦争に向かっていくことになる。戦争では大切な命がなくなっていく」

Ay「政府が国民の意見を受け入れて考えてほしい。国民の意見が示される選挙で変わってほしい」

Yk「戦争は軍だけでやってほしい。国民を“赤紙”で強制的に兵隊にするのはやめてほしい」

FgTfに反論。軍があるから暮らしていける人もいる。一概になくして、とは言えないのでは」

Nk「国民主権、基本的人権の尊重、表現の自由がきっちり守られないと平和になならないと思う」

Tf「軍があることでレイプされることがある。軍がいることによりお金持ちになるはずだった人が巻き込まれて亡くなる。軍があり基地があるからレイプがある。外交を通して解決する必要がある」

Ka「基地があるから暮らしている人もいるが、それがないと何もできないのか?平等ではないと思う」

Fg「誰かの平和のために誰かが苦しむのが今の状況だと思う」

Ht「沖縄県の投票では70%が基地に反対だが、残りは賛成している。100%でないと全員の意見とはいえないのでは」

Sy「戦争のことで隠していることもある。学校で取り入れて子どもたちに教育してほしい」

Yk「軍を消すことはすぐにはできないと思う」

担任からHtの意見を採り上げて「多数決はみんなが決めたことにしているが、少数意見はどうするか、ということ。君たちはこれから何ができるだろう?」と再び問題提起がされました。

Ka「戦争とか軍をなくすことを次の世代に伝えていく」

Tk「平和とは何かをみんなに考えてもらえる世の中になれば」

再び担任から「具体的にどうやって平和にするの?」と投げかけられます。

St「多数決だけではない。反対の意見も取り上げ、少しずつ見つけていく。他の方法もあるかもしれない」

Tf「前半で意見を交わしているとき、教育が元になる、というのがあった。その教育が世界で差が出ている。金持ちの国では軍隊があり、ひどい国では子どもを兵士にする国もある。それをなくすためには軍、基地をなくすこと」

Sy「今は日本政府が進めることは国民の意見を取り入れていないのでは。少しずつ国民の意見を混ぜ合わせて物事を進めていくといいと思う」

Ki「教育に差がある。戦争があり教育を受けていない国もある。先進国から先に伝えていくこと、戦争についての教育をすることが大切。そういうところから平和を作っていくのだと思う」

Ka「今の日本の首相は自民党の中で決められている。別の考えを持った人がリーダーになれば。国のリーダーがどういう考えなのだろうか。戦争のことを他の人に言っていくこと、行動に移さないと意味がない、行動に移すことが大切」

担任から最後のテーマが出されました。「Syが言った“賛成、反対を少しずつでいいからすりあわせていく”ということは大切。今は平和ですか?」

Tf「今は世界の中では平和ではない。米国が各国に基地を作りいつでも戦争ができるようにしている。みんなが戦争をなくそうということ、米軍基地の削減が必要。いつでも戦争ができるようにする、ということをやめて、平和を取り戻すことが大切」

Ka「今は平和ではない。75年前の玉木さんのように家族の断末魔を聞いている人が世界にはいる。言論の自由がないこともある」

Sy「平和ではない。基地があると言うことは戦争に備えているから。いつでも戦争ができる状態。基地があって犯罪がある。基地をなくせば戦争が起こる確率が下がる」

Nk「意見が言えるのはまだ平和だ。それが聞いてもらえないのは平和ではない」

Tk「自分から見た平和と他の人が来た平和は違うからどちらでもない。沖縄では基地のことで困っている人もいる。どちらの意見もあると思う」

Hy「平和じゃないと思う。戦争があるし、地球温暖化も進んでいる」

Ay「基地がなかったら中国とかが沖縄に攻めてくる。基地がある意味を自覚してほしいと思った」

St「軍があるから平和という意見、軍があるから平和じゃないという意見もある。どちらでもない」

Ki「ほとんどの日本人は戦争と平和が対義語だと考えている人が多い、と山内先生から聞いた。戦争がないから平和と思っている人がいる。でも基地があるから平和ではない」

「戦争がないから平和、と単純にはいかない。今はどうなのかが大切。“軍がないと攻めてくる”という報道についても考えたい」と担任から。

Ka「今の首相はペコペコしてるだけ。島袋さんが、勇気を持って発言できる人がリーダーになってほしい、と言っていた」

Tf「今の内閣に問題がある。学術会議メンバーの一部を任命しなかった。その問題を指摘する議員はいずれリーダーになってほしい。日本は明治維新のようなことをまた繰り返すのでは」

最後に担任から、時代によって平和のイメージが変わってくる、という話をしました。和光小学校が長年大切に歌いつないできた「ひとつぶの種」を引用し、みんなはこの大地に蒔かれたひとつぶの種であり、やがて大きく育ち、今度は種を蒔く若者に育ってほしい、この学習はここがスタートだ、と締めくくりました。

いつもこの3日目の学級集会では、沖縄を学び、沖縄で学んできたこと、子どもたちがからだ中で受け止めたことをことばにし、伝え合い、これからの生き方を考え合っていきます。国会で取り上げられている学術会議メンバーの任命問題も影響し、自分たちの意見は聞き届けられるのだろうか、言論の自由はほんとうに保障されているのだろうか、ということも話題になりました。子どもたちは日々報道されていること、身の回りで起こっていることに敏感であり、だからこそ私たちは子どもたちとともに政治、社会を語り合っていかなければならないのだと思います。

子どもたちは6年後には主権者として選挙権を持つことになります。市民としてどのように生きていくか、今の日本、世界をどのように見つめていくか、事実を知り、現実を見つめ、真実を追究できる人に育っていくことを、教育は目指さなければなりません。そのためには私たち自身がそのように生きているのかを問われているのだと思います。

沖縄を、沖縄で学ぶ6年生の姿から、私自身の背筋が伸びる思いがしています。

(表題はこの学級集会後に一人一人が「私の平和宣言」としてまとめた文章のなかから引用しました)

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