今年も「ほんもの」を追求した「食」の学習 その1 ~理想の駄菓子づくりをめざして~

和光小学校 校園長ブログ
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新しい年が明け、ずいぶん経ってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

824日から始まり1225日に終業式を迎えた2学期、和光小学校の二大行事である運動会、いちょうまつりに取り組み、どの学年もコロナ禍の中でできる限りの学習を進めることができました。

競技の変更、省略はあったもののたてわりで優勝を争った運動会ではいつものように「熱い」戦いを見せてくれました。

観に来ていただくご家族の人数を制限させていただいたいちょうまつりですが、高く澄み渡った青空の元、黄色く燃えるいちょうとともに舞い踊った子どもたちの姿が目に焼き付いて離れません。

そのいちょうの木は、年が明け、すっかり葉を落として北風を受けてすっくと立っています。

1学期の終わりにこのブログで紹介した5年生の総合学習「食」は、調理活動をどのようにしていくかという大きな課題に直面しました。例年ならクラスのテーマが決まったらさっそく自分たちで調べて作ることから学習をスタートさせますが、1学期はそれがかなわず、2学期になり感染対策を万全にすることで調理活動にも取り組むことにしました。

すでに夏休みにはそれぞれの子どもたちが調べたり作ったりを行い、夏休み発表会で交流し、そこからの発展も毎年見られることです。

1組のテーマは「だがし」。Iくんの夏休み発表で、わたあめ機を作ったけれど失敗したというのを聞いて、K君が家で作ってみました。缶コーヒーの缶、ミルクフォーマーなどを使って作ってみたら成功したそうです。友だちからの刺激も受けながら、9月初めには第1回だがしづくりを行いました。

「駄菓子(だがし)」というと駄菓子屋に並んだ多くの商品が浮かびますが、班ごとに作りたいものを考え、作り方を調べ、材料を準備して取り掛かります。この時は「すずカステラ」を作った班が3つ、あとは「もちおかき」「たまごボーロ」「ラムネ」「きなこぼう」(2種類作った班もあります)。種類は違いますが、各班5人の先生たちに食べてもらって採点してもらう、その項目は①色・形(見た目はどうか)②味はどうか③かたさ・食感④そのものらしいか(その駄菓子といえるのか)で採点してもらいました。合計100点満点で「きなこぼう」は82点と高得点でしたが、他は50点前後、中には29点という班もありました。先生たちのコメントも、「べっこう飴ではない」「固すぎる」「ぼそぼそしてる」「甘みと酸味のバランスが大事だが甘すぎる」「少し粉っぽい」などなど厳しいものでした。

2回目はどの班も2~3種類を作ることになり、「わたあめ」「かりんとう」「ヤックァ」(韓国のおかし)「糸ひき飴」が新たに登場しました。1回目よりは評価が上がっているところが多かった、と学級通信でコメントなども紹介されていましたが、1回目と同じ物ではない班もあり、一つの技を追求する、というよりは、いろいろな駄菓子を作ってみる、どういう材料を使って作られているかということを体験する、という段階でした。

そして10月後半、いよいよいちょうまつりで「だがしや」として出店するグループを決め、<出店許可証>をもらうための試作が始まります。作りたい駄菓子ごとに「糸ひきあめ・べっこうあめ」「きなこぼう」「すずカステラ」「たまごボーロ」「ラムネ」「ふがし」「かりんとう」「あられ」「ポテトフライ」の9つのグループができました。そもそも駄菓子を手作りできるのか、というところに私も興味津々でしたが、子どもたちは駄菓子屋で買ってきたものの原材料と、作り方を調べてわかった材料を見比べたり、自分たちで作ってみたものと売っているものを食べ比べるなどしながら「これを作りたい」と思うものでグループができました。材料(誰が持ってくるか)、先生に用意してほしい材料(量も)、使う道具(調理室にないものは誰が持ってくるか)、作り方を書いて提出した後、担任からは「どんな駄菓子を目指すのか、自分たちが作ろうとしている理想の駄菓子について、できるだけ詳しく、絵とことばで書いてください」と求められます。

〇きなこぼう:きれいでおいしそうな見ため。もちっと弾力のある食感。固さはふつう。味は甘めでザ・きなこぼうにしたい。シンプルなきなこぼうじゃなくて、ちょこっとアレンジしたきなこぼうをめざす!!アレンジしすぎるとやばいからちょっとしかアレンジしません。今は黒蜜、抹茶しかアレンジしてないけどもうちょっとアレンジしたい。(あと1つ)

〇かりんとう:見ため、目指すは黒糖色のかわいらしい、食べやすい「かりんとう」。食感、固さ、目指すは柔らかすぎず、固すぎずのカリッとさのある「かりんとう」(外はカリッと、中はさくっと)。味、目指すはあんまり甘すぎず、あきない味。香りのいい「かりんとう」

〇糸ひきあめ:見ため(絵)。色がしっかりついてる。食感&固さ、固め。ちゃんと固まってる。味、甘すぎず、うまい。

〇べっこうあめ:見ため(絵)。食感、固さ、固め、ちゃんと固まってる。味、砂糖と水だけだから甘すぎず作りたい。

〇ふがし:お店に売っているような形や色で、食感はサックサクフワ~。固さはパリサク。黒糖を煮詰めた味。甘い味。

〇あられ:見ため、揚げ上がったとき、きつね色に揚げたい。食感、固さ、固すぎずサックリした食感にしたい。味、しょっぱすぎない、甘すぎない、食べていて疲れない濃さにする。これらを目標にしたいと思います。

〇たまごボーロ:見ため、少し大きい、ヒビが入っていない、丸い、きれいな形、色はうす茶。食感、パサパサしない、サクサク、口に入れてかむと溶ける、固くない、柔らかくもない。味、ちょうどいい味を見つける。いろいろな味を作ってみる。売るときのラッピング(絵)

〇あつぎりポテチ:THE POTETO(すべて絵)

〇すずカステラ:見ため(絵)、きれいにする。味、おいしい、ほんのり甘い。食感、フワフワ。固さ、柔らかい。

〇ラムネ:見ためがまんまるでコロッとしていてかわいい感じ。口の中で溶ける。サクサクの手前。シュワシュワして酸っぱ甘い。

こうしていくつかの観点で作るもののイメージを描き、それに向けてグループ1回目の駄菓子づくりを行いました。5人の先生たちによる評価項目は最初と同じ。よく調べて取り組んだだけあって、58点から85点の評価でした。が、担任からは、「売り物にするにはまだまだ改善点があります」。先生たちからのコメントも「形がかわいくなってきた、片面が茶色だといい」(すずカステラ)、「大きさをそろえた方がいい」(かりんとう)、「素朴な味だが少し薄い、もっと溶ける感じがほしい」(たまごボーロ)、「ちょっと焦げてるのがマイナス」(ポテチ)、「形がバラバラ、抹茶味はやめた方がいい」(きなこぼう)、「少し焦げてる、中がもう少しふんわりしてほしい」(ふがし)、「もっと濃い味付けでもいい」(あられ)、「柔らかすぎる、形がくずれていた」(ラムネ)、「焦げてる、食べづらい」(あめ)などなど具体的に厳しい指摘もありました。すずカステラグループは「青いレンガ」というすずカステラのお店に行ってコツなどを聞いてきたそうで、「その駄菓子に近づくためには、プロに聞くのが一番ですね」、と担任は学級通信で呼びかけています。

そして2回目。74点から95点という高得点になり、どのグループも格段に進歩!!と評価した担任は、学級通信で<とても本物らしくなり、どれもおいしかったです!ただ、おいしくなるごとに新たな問題が!「こんなにおいしくて、高級なおかしみたいで、駄菓子ではないんじゃない?」という意見が東田先生から出されました。たしかに・・・・特にすずカステラはこだわってしっかり作れば作るほど高級に(原料も高く)なっていく・・・・>と新たな問題を指摘しています。「ポテチ」グループは、前回「ポテトチップスは駄菓子ではないのでは」と言われたこともあり「ポテトフライ」とし、今回はうどんで作ってみました。<意外にとてもおいしくて、しかも見ためもポテトフライ。駄菓子のおもしろさはこんなところにあるのかもしれないと思いました。>と担任の杉見先生のコメントです。

いちょうまつり前、最後の試作。その前に、ふがしグループのTくんは、どのおふで作ったらいいのか、「ふーちゃんのふ菓子」の会社にメールで質問しました。<今までにインターネットで調べたレシピで、小町麩、仙台麩の2種類で作ってみました。味はおいしくできました。でもふがしのふーちゃんみたいなフワッとしてサクサクした食感になりませんでした。ふ菓子には焼き麩を使うのはわかったし、焼き麩にもいろいろ種類があることは調べました。どの焼き麩を使ったらふ菓子のふーちゃんみないな食感になりますか?企業秘密かもしれないけど、大丈夫な範囲でアドバイスをいただけるとうれしいです。>

すると返信メールが届きました。焼き麩のメーカーとして創業したというこの会社では、ふ菓子を開発するにあたり専用の麩を開発したということで、小町麩などよりふんわりと焼き上げてあるとのことです。<市販の焼き麩で作るのなら、「スギ薬局」の「文化麩」なら小町麩などに比べたらふんわりしていると思います。>とていねいにお返事をいただきました。

3回目の試作では9グループ10種類のうち8種類が80点以上で出店許可をもらいました。「たまごボーロ」「べっこうあめ」は失敗して60点台になってしまいましたが、原因を見つけて本番に向かいます。今回は隣のクラスの人たちに食べてもらい、一人一人から感想をもらいました。これも励みになったりヒントになったりします。

今年のいちょうまつり、午前中のまつりの広場には保護者の方、外部の方は参加できませんでしたが、どの学年もいつものように一生懸命商品を作り、当日は子どもたちどうしの買い物を楽しみました。「食」の店も繁盛しました。ただ、例年のようにその場で食べることはできないので、お弁当の時間か持ち帰って食べてもらい、後ほど感想を届けてもらうことになりました。この日大人のお客さんは教員たちだけだったこともあり、私は全部の種類を買うことができました。自宅でゆっくりと娘といっしょに試食会をして、「5年生の子どもたちが駄菓子を作った?!」と感動した和光育ちの娘が、すべての商品の感想を書いて届けました。ほんとうにどの商品も“本物”を追求し、「ラムネだ!」「たまごボーロだ!」と思わず声を上げてしまうほどでした。

担任の杉見先生は和光鶴川小学校(鶴小)に昔からある「ポン菓子製造機」を借りてきて、一度子どもたちと試作をし、当日は一人でポン菓子製造販売にかかりきりでしたので(あまりにも大変そうでしたので事務の方や何人かの教員も途中から手伝いました)、51組の子どもたちは自分たちだけで立派にお店を切り盛りしていました。ちなみに鶴小では、秋まつりは、このポン菓子機の「ぽんっ!!」という威勢のいい音がお祭り開始の合図です。

おうちの人にはいちょうまつりから1週間後に製造、販売し、みなさんから丁寧な感想をいただきました。

いちょうまつりの後はこれまでに持ち寄った駄菓子の袋を見て、どこで製造しているのかを日本地図に書き込んでいきました。工場は全国あちこちにありますが、愛知県、大阪府が多かったそうです。35社に手分けして、聞きたいことを書いて手紙を送ると、ほとんどの会社から丁寧なお返事をいただきました。中にはパンフレットとともにお菓子も送ってくれたところもあり、年が明けてびっくり!でした。「コロナの影響で売り上げは減っていますか?」という質問には、減った会社と逆に増えた会社があったようです。どの会社も、製品づくりへのこだわり、愛情が感じられる内容でした。

自分が作りたい駄菓子を夢中になって作り、市販されているものと比べ、食べてくれた人たちの評価も受けて“本物”の駄菓子を追求しました。テーマ決めの時、上菓子に対する駄菓子のことが話題になりましたが、長年子どもたちが慣れ親しんできた駄菓子はどのようにして作られ、作っている人たちはどのような想いで製造しているのだろう、とそんなことにも想いを馳せることになったのではないでしょうか。この先のまとめの活動が楽しみです。

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