和光中学校入学式 146名の新入生のみなさん、入学おめでとう。今日からみなさんは和光中学生です。
新入生のみなさん、たくさんある中学校の中から和光中学校を選んでくれて、ありがとう。こうして君たちと出会えたことを本当にうれしく思います。
ご参列いただいた保護者のみなさん、お子さんの入学おめでとうございます。保護者のみなさんに対しても心からのお礼を申し上げます。 生徒あっての学校です。生徒がいるから学校はつくられます。和光中学がいくら理想の旗を高く掲げようと、選んでくれる子どもと保護者がいなければ、消えてなくなるだけです。
私たち和光中学の教職員は、「今、自分が中学生だったら、こんな学校生活を送りたい」という生徒の目線に立って、生徒中心の学校づくりに励んでいます。そのことで、和光中学を選んでくれたみなさんの期待にこたえたいと考えています。
さて、みなさんはあの3月11日以来、何を考え、どう過ごしていましたか?
本当に恐ろしい巨大地震でした。そして、大津波でした。
君たちはこの大震災を通じて「いのち」について、考えたのではないでしょうか?「いのちって何なのだろう?」と考えましたか?一瞬にして、あのようにたくさんの人たちの生命が奪われる様子を見て、「人間、いつ死ぬかわからないのだ」「自然の恵みと脅威のもとで、生かされているのだ」などと思った人もいるのではないでしょうか?
「命ってなんですか?」「命はどこにありますか?」と質問されて胸に手をあてる人がいます。心臓の鼓動を確かめて「ほら、生きている」という人がいます。心臓が動いているから生きている……確かにそうです。
しかし、心臓を自分の意思で動かしたり、止めたりすることはできません。いつか必ず止まります。その意味では生かされている生命なのです。
その生命を、君たちはおとうさんとおかあさんからもらいました。2人の生命を受け継ぎました。おとうさんは、おじいちゃんとおばあちゃんの2人から生命をもらいました。おかあさんもおじいちゃんとおばあちゃんの2人から生命をもらいました。おとうさん、おかあさん、2人のおじいちゃん、2人のおばあちゃん、あわせて6人の生命も受け継いでいるのです。
おじいちゃん、おばあちゃんの前には、それぞれ2人のひいおじいちゃんとひいおばあちゃんが、あわせて8人います。そのまたひとつ上の代では16人、その上の代では32人、64人、128人、256人……と足していってみてください。500年、600年さかのぼるだけで、100万人を超えてしまいます。実際はそんな計算どおりにはいきません。計算どおりにいかない理由を考えるのも楽しいですよ。
それにしても、地球上に人類が誕生してから、おそらく何万、何十万というたくさんの生命を受け継いで、今ここに君たち一人ひとりがいます。それは奇跡的なことです。君たち一人ひとりが奇跡的な存在なのです。かけがえのない大切な存在なのです。そんな君たち146人が、今日、和光中学生となりました。
君たち一人ひとりが大切な自分をつくっていってほしいと思います。大切な自分をもっている人は、他の人の大切さも認めることができます。他人をバカにしたり、傷つけたりしません。いじめたり、ねたんだりはしません。
そういう自分づくりを通して、自分らしさ=個性はつくられていきます。大好きな自分をつくっていくことができます。
和光中学は自由な学校です。
たくさんの校則で生徒をしばりません。「どうしてそうしなければならないのか?」を説明できないルールは、1つとしてありません。先生が一方的にルールを作るということはありません。生徒、先生、保護者の三者でつくる三者協議会にはかるようにしています。
それは生徒一人ひとりに、自分の頭で考え、自分の意見を持ち、行動できる自主的精神の持ち主になってほしいからです。上からの命令に従うだけでは、自分らしさ=個性はつくれません。自主的精神をもった人が、大切な自分をつくれるのです。
和光中学の自由はそのためにあります。そのことをしっかり胸にきざんでください。
和光中学の授業では、「なぜ?」「どうして?」「本当か?」を大切にします。討論や意見発表・交流を大切にしています。たくさんのことを教えこんで、テストをして、順位をつけて競争させるようなことをしません。学ぶことの楽しさは世界が広がる楽しさです。仲間とつながりあえる楽しさです。
そして、学ぶのは授業だけではありません。
運動会、館山水泳合宿、クラス演劇、秋田学習旅行、文化祭……とたくさんの行事があります。行事を通じて学ぶこともたくさんあります。
クラブ活動を通じて学ぶこともあります。
読書や習い事を通じて学ぶこともあります。
学ぶことの大好きな、「大切な自分」をつくっていきましょう。
今日、入学した146人、一人ひとりが「大切な自分」をつくって、おたがいを認め合えたら、どんなにすばらしい学年になることでしょう。それはいっぺんにはできません。いくつものトラブルを、話し合いで解決していくことでつくられていきます。
先輩たち2年生、3年生は、そんな学年づくりにがんばってきました。そして生徒会が3つの学年をたばねて、生徒中心の、より良い和光中学をつくってきました。
そのことは、このあとの2年生、3年生の合唱を聞けば、理解してもらえると思います。そして、君たちを歓迎する気持ちが伝わっていくはずです。ただし、3月11日以後4月6日まで、休校と春休みが続いていて、練習が決定的に不足しています。「本当は、この2倍か3倍、上手なんだ」と聞いてください。
しっかり練習したのは先生たちです。生徒の個性を尊重する和光中学は、先生たちの個性も尊重します。合唱を聞いてもらえれば、わかります。とても美しい声の先生がいます。今にも踊りだしそうな若い先生がいます。音楽の先生から「まわりとのバランスを考えて」と言われているのに、気がつくと5人分くらいの大きな声で歌っている先生がいます。速いテンポについていくのに必死で、ときどき口パクに近い先生が5人います。
入学、おめでとう。和光中学を選んでくれて、ありがとう。 力をあわせて、より良い和光中学をつくっていきましょう。
2011年4月9日
和光中学校 校長 両角 憲二
掲載日時: 2011年4月 9日 15:26
