校長ブログ

入学式 式辞

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大石さんのことは、このブログでもご報告した通りですが、改めて新入生、在校生、保護者に知ってもらいたい、と入学式の式辞に取りあげました。核のことについては、福島原発事故と関わることなど、もっと色々語りたいことがありますが、時間の制約で話せませんでした。
中学生の力ということで話したことは、長年の教師生活の中で本当に実感することで、この時期の生徒の様々なことに対するまっすぐな気持ちは、かけがえのないものだと思っています。以下が当日話した式辞です。

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新入生のみなさん、入学おめでとう。ようこそ和光中学校へ。
学年の仲間、上級生、そして私たち教職員との新しい旅への出発です。
保護者のみなさま、お子さまのご入学おめでとうございます。
今日の日を心待ちにしていたことと存じます。お子さんが心身ともに大きく成長していく、新しい段階の始まりです。
どうか、温かく見守ってもらえれば、と思います。
1年前の4月、和光学園は休校状態でした。
「いついつに入学式をやります」と予定しても、何度も延期せざるを得ませんでした。
今日こうして入学式を行っていますが、昨年はクラスごとでそれも6月でした。
4月に新入生全体が集まって、オンラインという形ですが2・3学年も参加し、全校揃って行えること、それ自体が嬉しいことだと思い
ます。

さて、今日は、「中学生の力」ということで話をしたいと思います。
まず、これを見てください。

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これは、和光中学校に贈られたものですが、この船はどんな船で、なぜ和光にあるのでしょうか?

まず、船の名前は「第五福竜丸」と言います。保護者の中には、あっと思われた方がいると思いますが、新入生のみなさんのほとんどは、初めて聞く名前でしょうね。
1954年3月1日、南太平洋のビキニ環礁というところで、放射性物質を大量に浴びた船です。
アメリカがそこで核兵器の実験をした結果、大量に放射性物質がまき散らされました。

核兵器と言えば、広島・長崎にアメリカが落とした原爆のことを思い出す人もいるでしょう。
放射性物質を多量に浴びると、ガンになりやすいことはよく知られていますね。
原爆が恐ろしいのは、爆風や灼熱を何とか逃れてもいつ放射線の影響が出て発病するか、分からないからです。
原爆が長崎や広島に落とされたのは、1945年8月。その後、巨大な破壊力を持つ兵器を手にいれるために、いくつかの大国で核兵器の開発が進められました。
実際の影響を見るために、地上で爆発させる実験も行われました。

その一つがビキニ環礁で行われたのです。
第五福竜丸はマグロを取る船で、乗組員たちが乗っていました。
彼らは放射能をおびた死の灰、サンゴ礁のかけらだったのですが、を浴びました。
乗組員たちはその後放射性物質の影響で病いに苦しみました。
亡くなられる方もいたのです。

この出来事は、当時の日本に大きな影響を与えました。
先ほど、日本は、米国により広島・長崎に原爆を落とされたと言いましたが、1952年4月までは、米国の強い影響下にありましたから、原爆の被害のことは広く報じられることはなかったのです。
1954年3月1日に第五福竜丸におきた事件は、ビキニ事件と呼ばれるようになりましたが、この事件をきかっけに、原爆の被害が知られるようになり、核兵器廃止を求める大規模な署名活動が行われるまでになったのです。

さて、時は流れて1983年、今の総合学習の発表に似ていますが、当時はクラスでテーマを決め何かについて調べ、秋の文化祭で発表するということが行われていました。
平和について調べたいというそのクラスの中の1グループがビキニ事件について調べることになりました。
そして、中学生が、東京に来ていた、とある乗組員に連絡を取りました。
その方のお名前は大石又七さんと言います。
大石さんはビキニ事件の後闘病生活を送っていましたが、退院後は被曝者であることを伏せて、ビキニ事件のことを忘れたい、と思っていたそうです。
ご自身の子どもが死産で生まれたこともあり、どうしても放射能の影響のことが頭から離れない。
だから、ご自分のことを人前で話すことはなかったのです。大石さんの言葉をお借りするならば、生徒がどうしても話を聞きたいと食い下がってくるので、「しょうがないな」ということで会って話をした。
会いに来た生徒の中に、全盲の生徒がいました。
その生徒が触ることができれば、第五福竜丸のことがよく分かるだろう、と模型船を作成し、和光中に寄贈してくださいました。
ここにある船はその船なのです。

大石さんは、その後、この和光中の生徒たちとの関わりをきっかけに、各地で自分の経験や思いを語るようになりました。
ビキニ事件と核兵器のことを考えて欲しいと世の中に訴えられました。
和光中にもその後、何度も足を運んでくださいました。

今日、第五福竜丸の話をしたのは、大石又七さんがこの3月に亡くなられたこともあり、和光中と大石さんの特別なつながりを知ってもらいたいと思ったからです。
そして、大石さんが広く話をするようになったきっかけが中学生の素朴な知りたいという気持ち・疑問だったことに注意してほしいと思います。
大人には話したくないけれど、中学生や高校生には話しても良い、ということがあります。
みなさんの真っすぐな気持ちが当事者の気持ちを動かすのです。
最初に「中学生の力」と言ったのはこのことです。
皆さんには、自分でも気づかないようなすごい力があります。自分の知りたいという気持ちを大切に、疑問を大切にしながらこれからの3年間学んで欲しいと思います。

新入生の皆さん、皆さんの和光中の生活は今日がスタートです。
和光は人と人のつながりを大切にする学校です。
コロナウイルスの影響がある中困難もありますが、同級生や上級生と様々な形で交流しながら、自分自身を成長させていって欲しいと願っています。

2021年4月12日
和光中学校長 橋本 暁

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ビキニ事件 大石又七さんと和光中学生のつながり

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 ビキニ事件の被曝者で核廃絶を訴えていた大石又七さんが亡くなられていたことが先日報じられました。
記事「第五福竜丸の元乗組員・大石又七さん死去 87歳:朝日新聞デジタル」(asahi.com)。

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 1954年3月1日、南太平洋のビキニ環礁でアメリカは水爆実験を行いました。爆心地から160キロほど離れたところで、マグロを取る船、第五福竜丸に乗っていた乗組員たちは放射能をおびた死の灰を浴びました。大石さんはそのうちのお一人だったのです。乗組員たちはその後放射性物質の影響で病いに苦しみました。亡くなられる方もいたのです。
 この出来事は、当時の日本に大きな影響を与えました。日本は、米国により広島・長崎に原爆を落とされた唯一の戦争被爆国ですが、1952年4月まではGHQを通じた米国の強い影響下にありましたから、原爆の被害のことは広く報じられることはなかったのです。この事件をきかっけに、原爆の被害が知られるようになり、核兵器廃止を求める大規模な署名活動が行われ、1955年8月原水爆禁止世界大会が開かれるまでになったのです。
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 退院後、大石さんは被曝者であることを伏せご自分のことを人前で話すことはなかったのですが、1983年に和光中学校の生徒が文化祭の発表のために問い合わせたことをきっかけに、各地で自分の経験や思いを語るようになったそうです。また、当時在籍した全盲の生徒が第五福竜丸のことがよく分かるように、と模型船を作成し、寄贈してくださいました。(このあたりの経緯については、朝日新聞の2021年3月1日付の記事にまとめられています)。
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 その後も、大石さんは何度か和光中に足を運んでくださり生徒たちや教員にお話しをしてくださいました。私も二度ほど直接お話しを聞いたことがあり、大石さんの核兵器廃絶にかける思いを感じました。
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大石さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

2020年度和光中学校卒業式 式辞

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2年続けて、コロナ禍の卒業式となりました。今年も縮小した形で行うことになりましたが、ひとり一人に卒業証書を渡すことができました。それぞれが新しく進む道で、4月からの生活が順調に始まることを祈っています。

2020年度和光中学校卒業式 式辞

今日、和光中学校は143名の卒業生を送り出します。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、卒業生を今日まで見守ってきた保護者の皆さん、お子さんのこの3年間の成長を感じておられることでしょう。心よりお祝い申し上げます。
さて、この1年は、新型コロナウィルス感染症の対策のため、4月・5月は学校は休校、そして様々な行事も中止や延期、あるいは内容を変えて実施するという年になってしまいました。ここにいる皆さんの中には、3年生になったら、オリエンテーション運動会で、館山水泳合宿で上級生としての力を発揮したいと思っていた人もたくさんいると思います。しかし、それは叶いませんでした。そうではあっても、皆さんは先日行われた卒業演劇で、そして日常の生徒会活動の中で上級生の力を十分に発揮した、と私は思っています。
2月27日に、私は4クラスの卒業公演を観ました。それぞれのクラスから、伝えたいメッセージは何なのか、明確に受け取ることができました。音響や照明はタイミングがずれれば全てがぶち壊しですが、きっちりと合っていたように思いました。役者の人も、セリフが無くて物語の進行の上では他の役者たちが演じているような場面でも、状況を考えて舞台の上で黙って演技している姿が見られて流石だと思いました。あるクラスの1年生の感想に「さすが3年生はレべチ」とあって、2秒ほど私は意味が分からなかったのですが、レベルが段違いだと感じていたのですね。4クラス全ての劇を1・2年生に観てもらいたかったのですが、そうできなかったのは本当に残念でした。
振り返ってみると、3年生のみなさんとは劇を通じての関わりが多かったように思います。校長になって初めて行った秋田学習旅行で『いつだって青空』という劇をわらび座で一緒に観ました。その時、「文化の力」という話をしましたね。歌や踊りや演技ならメッセージが受け取りやすい、共感しやすい、人の心に訴えるものがある、という話をしたと思います。人間は、基本的に言葉によって思考、ものごとを考えていく、のですが、文化・芸術には言葉を越えて人の感情に直接訴えるものがあるのですね。
そして、今年1月の総合学習の時、大教室で釈迦内柩唄を一緒に観ました。生の
舞台の迫力に、私もですが皆さん圧倒されていたように思いますその後の俳優さんとの質問のやり取りの中でも多くを学んでいたように思いました。
世の中、バーチャル何とか、が流行っていますが、人間は、五感、五つの感覚ですね、視覚・聴覚に加え、触覚、味覚、嗅覚ということになりますが、五感を通じて経験したことの方が強い共感を感じる生き物のようです。だからこそ、1月の舞台に皆さんは気持ちを動かされ、2月の卒業演劇で1・2年生は皆さんの劇に感動したのでしょう。
実は演劇という行事はとても難易度の高いものだと私は思っています。キャスト、大道具、小道具、音響、照明と本番でやっている作業はバラバラ、それをひとつのものにより合わせていかねばなりません。そして、それを自分たちの力でやっていかねばならない。
その大変なことをみなさんはやり遂げ、下級生に示したのだと思っています。
最後の最後に私から卒業生の皆さんに伝えたいことが一つあります。今まで何度も話してきたことですが、新型コロナウイルス感染症の先行きがどうなるか、は誰にも分かりません。そういう中、これから先、生きていくのは不安になることもあるでしょう。ただでさえ、これから皆さんが進んでいく青春期は何かと不安を感じ、自分とは何者か分からず、もがき苦しむことは多々あるのです。そういう時、「自分は困っている」「不安に思っている」ということは外に出していい。「助けて」と言ってよいのです。そうすることで、あなたに共感してくれる人も出てくるかもしれない、智恵を出してくれる人も現れるかもしれない。社会というのは、本来そのように助けあうために存在しているのだ、と思います。私たち和光の教師たちも、みなさんが卒業した後であっても力になれることがあるでしょう。
和光中学校での3年間の経験を胸に、これからの未来、一歩一歩進んで欲しいと思います。どうぞお元気で。

2021年3月15日
和光中学校校長 橋本 暁

オンライン少人数学級推進署名へのご協力を

サイト管理者 校長ブログ

和光学園親和会員の皆さまへ

~少人数学級推進オンライン署名ご協力のお願い~

和光学園校長会

和光鶴川幼稚園・和光鶴川小学校 校園長 加川 博道
和光幼稚園・和光小学校 校園長 北山ひと美
和光中学校・和光高等学校 校 長 橋本 暁

 

2学期が始まってしばらく経ち、各校・各園とも学び舎に子どもたちの元気な声が響いております。

さて、現在インターネット上で、少人数学級の実現を求める署名が行われています。少人数学級の実現は、私たち和光学園としても長い間その実現を願ってきたものでした。本署名の呼びかけ人には、昨年の和光デーで講演頂いた本田由紀先生、和光大学の山本由美先生、本学園の教育研究会でお世話になった佐藤学先生などが名を連ねています。また、全国知事会会長・全国市長会会長なども少人数学級の実施を求めています。文部科学大臣も「来年度から小中学校に、おいて少人数学級を段階的に導入することを検討していること」を明らかにした、との報道があります。この流れを加速し、確実にするという点で、私たちとしてもオンライン署名に協力していきたい、と考えます。親和会員のみなさまもぜひご賛同いただき署名に協力して頂ければ幸いです。

本学園では、長い期間にわたり、私学助成の拡充を中心として、ゆきとどいた教育を求める署名に取り組んできました。こちらの署名は、国会・都議会に直接提出しますが、議会で審議が行われる請願として取り組まれてきました。署名を集める過程で、対話があり人々に直接訴えることができ、また、提出の過程で議員の方々と話をしたりすることにより、流れをつくっていこうというものでした。こちらの署名運動も動きがスタートしています。こちらの署名への取り組みも併せてお願いいたします。

校長ブログ 入学式

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新入生が入学して2週間ほど経ちました。
まだまだ緊張した顔つきの生徒もいますが、少しずつ和光での生活に慣れてきているところだと思います。
入学式はわずか20分、その後のホームルームも含めて1時間弱というものでしたが、それでも生徒や保護者の皆さんの感想を読むと、一つの区切り、スタートとなっていたのだな、と改めて感じました。
入学式を何とか行って本当に良かったと感じました。

以下は当日の式辞です。

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新入生のみなさん、ようこそ和光中学校へ。やっと会えましたね。そして保護者の皆さん、お子さまのご入学おめでとうございます。中学校入学は決まっていても、実際に学校が始まらなくては、と思っていた方もおられるでしょう。本日、節目の日を迎えることができました。

さて、この2ヶ月に及ぶ休みの間、私は学校の意味というものをあれこれと考えることがありました。同じ勉強をするのでも、家で一人でやるのと学校でやるのと何が違うのだろう?と。違いが無いとすると、極端なことを言えば、学校って要らないんじゃないか、と考える人も出てくるんじゃないか、とか思っていました、もう少し具体的に言いましょう。例えば、計算の練習や漢字の練習とかだったら、どこでやったって変わらないだろうと思う人も皆さんの中にもいるでしょう。生徒の中には自分でスイスイ進められる人もいるようです。一方で、一人きりではなかなか進まない人もいます。学校という場に身体を運び、みんなと同じ時間を過ごす中で、学んでみようという気持ちが起こる人もいるということではないでしょうか。加えて、和光では他の人と意見や考えが違うことを前提にして、それを交流し、改めて自分の意見を組み立てていくということを求めています。そう考えれば、みんなで学ぶ意味はより積極的なものになります。

やっと学校は再開できましたが、コロナウィルスのことがどうなっていくか、はっきりしたことは誰にも言えません。そういう中でも大事なことは疑問を持つことです。一つ例をあげましょう。なぜ、コロナウィルスの感染拡大のスピードを落とさなければいけないのか、考えてみたことはありますか?すぐ思いつくこととしては、病院が大変なことにならないように、ということがあるでしょうか。難しい言葉で言えば、医療崩壊を起こさないようにということですね。

感染のスピードを落とすことにはもう一つ重要な意味があるそうです。どんなことでしょうか。それは、感染拡大のスピードが落ちないと、ウィルスが猛毒化する恐れが強くなるということです。何故なんでしょう?実は、毒性の強いウィルスはなかなか生き残れないんですね。毒性が強いので、自分が侵入した生物の命が尽きてしまえば、そこで終わってしまいます。しかし、次から次へと感染が広がっていれば、毒性の強いウィルスにも生存チャンスが増えるということになります。

自分の中で納得できれば、これからの生活の中で、体温を測るとか健康観察表を記入するとかちょっと面倒くさくても、やれそうな気がしませんか。こういう点からも疑問を持って考えるということは大切だと、私は思っています。

最後になりますが、2年生・3年生は、今日この場にはいませんが、みなさんのことを心から歓迎しようと思っていることを伝えたいと思います。今日は、都合で3年生のみとなりますが、皆さんへのメッセージもあります。みんなで過ごす学校としての和光中学校、今日は新入生のみなさんにとって、その1日目です。これからの1日、1日を大切にすごしていきましょう。

2020年6月3日 和光中学校 校長 橋本 暁

和光中学校長より新入生の皆さんへ

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新入生の皆さん、昨日ホームページ等でお知らせした通り、15日に予定していた入学式を延期せざるを得なくなりました。和光は人と人のつながりを大切にしてきた学校です。仲間と共に学ぶことを大切にしてきた学校です。在校生も皆さんとの出会いを楽しみにしていました。残念ながら、皆さんに会えるのは、しばらく先のことになりますが、4月10日には新しいクラス・担任の先生を発表できるよう準備しています。そして、休校期間中、和光中学校での学びに少しでも触れられるように課題を準備し、10日に発送します。ひとりで取り組むのは大変かもしれませんが、頑張ってみてください。

緊急事態宣言も今日出される予定で、外出も控えなくてはいけない中ですが、健康・安全に配慮した生活を送ってください。

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2020年 4月7日 和光中学校長 橋本 暁

 

 

卒業式がありました

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コロナウィルス感染の広がりが心配される中でしたが、規模を縮小し時間も短縮した上で、先月3月14日(土)に卒業式を行うことができました。

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卒業生の門出を何とか祝うことができて、本当に良かったと思っています。
以下は当日の式辞です。
新しい学校での生活が一刻も早くスムーズに始まることを今は祈るばかりです。

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卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、卒業生を今日まで見守ってきた保護者の皆さん、お子さんのこの3年間の成長を感じておられることでしょう。心よりお祝い申し上げます。

さて、今日の卒業式は、新型コロナウィルス感染対策の一環として、規模を縮小した形で行わざるを得ません。生徒のみなさんの中には、悔しさを感じたり残念に思っている人も多いと思います。しかし、和光中学校に関わる人が集って、3年生の卒業を祝う場が持てるということを大切にしたいと思います。

未知の病原体が発生するということ自体は、歴史上何度もありました。最近でも2009年に新型インフルエンザが流行したことがあります。医学が発達する前は病原体のほとんどが未知で人々に脅威を与えていました。中世のヨーロッパでは、ペストという病気が大流行しました。黒死病として恐れられていたのです。黒死病という名前は、体の中で内出血が起こり、皮膚が黒くなることから来ています。数千万単位で人が亡くなり、人口が大幅に減ったといわれています。幸い、今は医療体制が整いそこまでのことにはならないと思いますが、警戒は怠ってはならないでしょう。そして、新型コロナウィルスをめぐって、今の日本の社会で起きていることは、私たちに様々なことを考える材料を与えてくれます。小国綾子さんという記者が新聞の夕刊に書いていた話をとりあげてみたいと思います。

ある年配の女性が、薬局の待合室で薬の処方を待っている時、持病の発作が出たそうです。マスクをつけ、息を荒くし、発作が治まるのを待っていた時のこと。 「おまえ、コロナだろ。出ていけ!」と、待合室にいた年配の男性から怒鳴りつけられた。あまりの勢いに、薬局を追い出され、道路にうずくまっていると、ちょっとしてからでしょうか、薬局のスタッフが薬を渡そうしました。その時、男性はさらに「ドアを開けるな。コロナがうつる。コロナは家から出てくんな。迷惑だ!」。薬局スタッフに女性は「薬は郵送します」と言われてしまう。彼女は悔しくて泣きながら帰ったそうです。

みなさんは、この話を聞いてどう思いましたか。

この年配の男性、ひどいなと思った人は多いでしょうね。この男性は人としてどうなのか、ともちろん私も思いますが、それ以上に私が引っかかったのは薬剤師の態度です。小国さんは、続けてこう書いています。「薬剤師は処方箋を見て、発作が持病のためだと分かっていたはずなのに」。私は、薬剤師の人は言うべきことを言っていないと思います。「この方はコロナではなくて別の病気なのですよ、心配することはありません」。おかしいことに対して、それは違うと言ってないのです。

「おかしなことに対し、きちんとおかしいと言える」ということは、和光中で大事にしてきたことだと思います。実際、どこまで実現しているかはともかくとして「お互いに言いあえる関係」というのを私たち、和光の教師はみなさんに求めてきました。みんなが口を閉ざしてしまえばどんな社会になってしまうのか、その一つの例を先ほどの話は示しています。

改めて卒業生のみなさん一人ひとりに、おかしなことはおかしいと言える人になってもらいたいと私は思う。しかし、薬剤師の人のようにそうなれないこともあるかもしれません。薬剤師の人は、自分が暴言や、場合によっては暴力を受けることを恐れて言えなかったのかもしれないですね。そうではあっても、次は勇気をもって言おうと思えたり、言い方を工夫すれば伝えられるかもしれない、と本人が意識すれば次につながります。仮に、ものが言えないのなら、そのことを自分の中に抱えておくことが大切なのではないでしょうか。

こんな話をわざわざ付け加えたのは、私自身、全てのおかしなことにおかしいと言えている訳ではないからです。さすがにいい歳ですから、ものが言えないということはかなり減ってきましたが、全く無い訳ではない。私もみなさんと共に努力していかなければ、と思っています。
おかしなことがおかしいと言える社会は、無責任な決定や一部の人のやりたい放題を許さない社会でしょう。そのような社会を卒業生のみなさんと共に私たち大人もつくっていければと思います。

2020年3月14日
和光中学校校長 橋本 暁

※小国記者の記事は、無料版では途中までしか読めませんが起きたことの概略は分かると思います。

校長ブログ 鶴幼バザーのお礼

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和光鶴川幼稚園から調理室バザーのお礼のお便りが届きましたので、ご紹介します。親和会員のみなさまのご協力ありがとうございました。
イベントで演奏したのが、和光の卒業生だったり、調理に関わっている方が元親和会員や卒業生だったり、と、和光学園ならではのつながりを感じます。ありがたいことだと思います。
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校長ブログ 本のおすすめ

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中学生と高校生にすすめたい本を1冊ずつ紹介します。小説を読めば、自分が経験できないようなことに出会えるし、「ネットで何でも分かる」と言われる世の中だけど、じっくり本を読んで考える力は、学校を出てからも学び続けるために必要だ、と思います。

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中学生には、小説で瀬尾まいこさんの『あと少し、もう少し』。この本は、地方の中学生が駅伝大会に出場するまでのあれこれと当日の様子を描いたものです。6人の中学生のそれぞれの語りで話が進行していくのですが、ページをめくっていくと、同じ場面が別の視点から描かれていて、「あぁ、そういうことだったんだ」と分かる作りになっています。駅伝へと向かっていく中学生の気持ちがリアルに描かれていて、きっと共感できるはずです。中学生を描いた小説はいくつも読みましたが、瀬尾さんの描く中学生の姿には現実感があります。気になって調べてみたら、この方、京都府の中学校で5年間国語の先生をされていたのだそうで、その経験が投影されているのでしょうね。そう言えば、作中に登場する、競技経験が全くない、ど素人なのに陸上部の顧問を担当させられる上原先生の言動も、とてもリアルかつ的確なのですが、それも同じ理由からでしょう。唯一、難点を挙げるとすれば、中学生ってもっと「もやもや」していて、自分が何なのか、何に悩んでいるのか、ことばに出来ないから大変なのであって、作品中の少年たちのように明確にことばになっていれば、苦労はしないよな、とは思いました。しかし、「もやもや」のままでは小説にはなりませんから、そこは仕方ないですね。

僕はイエロー

そして、高校生にはノンフィクションで『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。著者はブレイディみかこさん。お名前から想像できるように国際結婚をされていて、イギリス南部のブライトン在住。彼女の息子さん(表紙の少年でしょう)の中学校での生活やイギリス社会が描かれている本です。イギリスは、つい先だってEU離脱を行い(目下のところは移行期間だけれど)注目されている国ですが、ブレグジットの背景に移民問題があることは、しばしば指摘されます。その実情がこの本のあちこちで描かれている。一つ例を出せば、自身も東欧からの移民なのに、別なカテゴリーの移民に対し差別発言を連発する息子の同級性が出てきます。そして、東洋系のルックスを持つ自分たちもよそ者として扱われた経験を扱いながら、「異文化の人たちが交流する、共生していく」とはどういうことか、という問いをブレイディさんは投げかけています。
日本でも、外国にルーツを持つ人が増えていく中で、異文化共生という問題は他人事ではありません。そういう意味で、「母ちゃんの国にて」という章のエピソードには考えさせられるものがあります。一時帰国したブレイディさんと息子さん、おじいさんと一緒に日本料理店で食事を楽しんでいます。その店で、スーツ姿の男性に、息子は「日本語ができるのか」と聞かれる、「うちの子は英語オンリーなんです」とブレイデイさんが応える、そうするとその男性が「日本に誇りを持つ日本人ならそれじゃいかん。あんたも日本人なんやけ、日本語を教えて、日本人の心を教えんと、日本の母とは呼べんな」と返すわけですが、この男性に対し私たちは何と言ったら良いのでしょうか。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』について、もう一つ特筆すべきことは、この本は、実は学校論にもなっているということです。演劇教育やシチズンシップエデュケーションについても取り上げられています。私たちが参考ないし参照すべきことがいくつも載っています。そういう意味では、この本は若い教師たちにも是非読んで欲しいと思います。

前の映画のお勧めのときもそうですが、この2冊、保護者のみなさんにも心からお勧めします。

※この投稿は、校長ブログの中学版と高校版とで、段落を入れ替えただけで内容は同じです。

校長ブログ 秋田学習旅行に行ってきました

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もう1ヶ月前になってしまいましたが、本校の大きな行事の一つである秋田学習旅行の引率に行ってきました。中学生で5泊6日もの学年合宿が設定されている学校はあまり無いと思います。わらび座の舞台鑑賞と引き続く祭りづくり、そして3日間の農業体験と生徒は様々なことを経験し大きく成長します。5日目の夕方、わらび座の方・農家の方を招いて会をするのですが、その会で2年生に以下のような話をしました。

わらび座のみなさま、農家のみなさま、まず最初に、生徒を受け入れてご指導いただきありがとうございました。学校を代表して御礼を申し上げます。

秋田学習旅行もこのお別れ感謝の会と明日6日目を残して終わろうとしています。生徒の皆さんの表情を見ていると、今とても生き生きとしているように感じます。1日目から今まで充実した時間を過ごしたのではないでしょうか。1日目の『いつだって青空の劇』の時から皆さんは集中していたように思いました。劇の内容を覚えているでしょうか。明治のころ女子に運動が許されない中で女の子にも体操が必要だとか、戦争で人がどんなに傷つきもてあそばれるのか、ということがテーマでした。もし、今、私があの劇の内容についてこの場で1時間ぐらい話をしたとしても、みなさん聞けるでしょうか。それはやはりなかなか難しいと思います。では、なぜ皆さんが劇に集中できたのか?それは一言で言えば「文化の力」なのだと思っています。歌や踊りや演技なら受け取りやすい、共感しやすい、人の心に訴えるものがあるのではないでしょうか。私は、これこそが、文化や芸術の持つ力なのだと思います。わらび座の皆さんが、日々練習を積み重ね様々な努力をして、文化を受け継ぎ創造していることに心から敬意を表します。

次に農業と言うことでお話ししたい。皆さんはこの3日間で、大変さもあるけれど、稲の刈り取りや芋ほりなど収穫の喜びとか新鮮な野菜の美味しさなど農業のたのしさを感じた人が多いでしょう。

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でも同時に日本の農業が今大変な状況の最中にあることも皆さんに知っておいて欲しいのです。ひとつあげれば、8月にアメリカのトランプ大統領が日本にトウモロコシを輸入するよう頼み、大量のトウモロコシを買うことを安部首相は約束しました。トウモロコシは豚や牛が餌として食べるものですね。そして、秋田学習旅行中に日本とアメリカで貿易協定が結ばれましたが、お米については「聖域」が守られたと報道されました。トウモロコシが輸入されるのは、ニュースの解説によれば、トランプ氏が次の大統領選挙を有利に進めるためなんだそうです。トウモロコシをたくさん作っている州が選挙の時激戦区で、ここを押さえられれば有利になるというんですね。アメリカと中国は貿易でもめていますから、中国は今アメリカのトウモロコシを買ってくれない、余っている。そういうものを日本は引きとらされた、ということです。では、なぜトランプさんはお米のことを頑張らなかったのか?お米をたくさん生産している州はカリフォルニア州です。ここはトランプさんのライバルの政党が強いところです。ちょっと頑張っても勝てそうもない。だから、放っておいただけの話です。このように日米関係に日本の農業は大きく影響されています。

こういうことは感覚では学べない。学ぶためには、言葉を磨いて、さまざまな言葉を獲得して学んでいくしかない。人間は、感情は言葉でなくても伝えられます、表情とか絵とか音とか。しかし、考えることは言葉でしかできません。この5日間、みなさんは自分のノートに色々なことを書いてきました。書くということがみなさんの言葉の力を育てたと思います。2年生の皆さんにはこれからも頑張って言葉を学び続けてほしのです。

これで最後にしますが、1学期の始業式に何を話したか覚えている人はいますか。ナチスがつくったダッハウという強制収容所を訪ねた中学生の話をしました。覚えていてくれると嬉しいのですが(学校のホームページのなかに校長ブログがあって載せてあるので時間のある時見てください)、その時言ったのは体験が人を変えると言うことでした。今皆さんはその言葉を実感しているのだと思います。私があえて付け加えるとすれば、本気の体験が人を育てると言うことです。本気で取り組まないと、残念ながらその意味は半分になってしまう。このことも多くの人は分かっていることでしょう。

劇の中で阿くり先生が自分の生徒のことを「皆さんは希望の種」と言っていました。私たち和光の教師にとっても皆さんは希望の種です。秋田でのこの体験を噛み締めてこれから生きていってほしいと思います。

今週末、11月2日(土)・3日(日)は文化祭です。生徒が教室で秋田を伝える催しをします。是非足を運んでご覧いただければと思います。

和光中学校の資料一式を無料で送付しています。

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