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校長ブログ 英語をペラペラとしゃべれないとダメ?!

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東京都の公立中学校では、今年から中3生にスピーキングテストを課すそうだ。公立が対象だから本校は関係ない話だが、なぜそんなことをするのか不思議だ。前に大学入試に民間検定試験を利用することについて、疑問を呈したことがあるが、全く同じことが今回のことでも言えるのではないか。

「話す」ことは、英語の4技能の中では一番ハードルが高いのは間違いない。読んだり、聞いたりして、分からないことは絶対に話せないし、外国語の場合は簡単な(というか、「反射的な」という方が的確か)やりとり以外は、一度何と言うか考えて書いたものを参考にする方が楽なのは間違いない。実際、本校のネイティブスピーカーの先生と話す時、込み入ったことはあらかじめ単語とか、文構造を考えておかないと話が通じないことが結構ある。日常のあいさつなら特に問題はないけれど。

しかも、このテスト、特定の受験産業の検定試験に似ているとか、入試での活用が考えられているがそこにも問題があるということが指摘されている。特定の受験産業の検定試験に似ているとか、入試での活用が考えられているがそこにも問題があるということが指摘されている。

 日本の英語教育は、ペラペラとしゃべれないといけないという幻想に踊らされて過ぎてないか。大切なことは、中身のあることを発音は今一つでも伝え合うことができるようになることではないか。英語教育のことを考えるのに、鳥飼玖美子・斉藤孝『英語コンプレックス粉砕宣言』はとても参考になったが、中学生段階では、第2の言語として文法をきちんと学んで、外国語学習の学び方を身につけるということが大切なのではないか、と私も思うし、和光中学校でもそのような点を大切にしている。ペラペラコンプレックスで、これ以上英語教育がゆがめられないことを切に願う。

入学式 校長式辞

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新入生の皆さん、そして保護者の皆さん、ご入学おめでとうございます。みなさんを和光中学校に迎えることを在校生と共に私たち教職員も心待ちにしていました。
今日は春らしい暖かい日になりました。和光中高のキャンパスでもあちこちで花が咲き、木々が芽吹きみなさんの出発を祝っているかのようです。 この2年間、日本中の学校はコロナ対策のため通常の活動が多く制限されてきました。新入生のみなさんの小学校生活でも、運動会が縮小した形での実施になる、あるいは無くなったりする。修学旅行に行けなくなってしまったという経験をした人が多いのではないか、と思います。和光中学校でも長い伝統を持つ館山水泳合宿や秋田学習旅行がこの2年間は行えませんでした。そのような中でも、この春卒業していった生徒たちはたくましい成長を見せてくれました。どんな状況でも仲間との対話を大切にし、状況に応じて考えていく姿に感動することが何度もありました。私は、中学生というのは、たけのこのように急激に、そしてすくすくと成長するものだ、と思っていますが、これから先、コロナがどうなろうと、新入生の皆さんもたくましく成長していくことを確信しています。
学校というのは、人と人が集ってお互いに影響を与え合う場です。その意味はとても大きなものだと、私は思っていますが、今日はあえて「一人でもできて、自分を成長させることにつながること」について話したいと思います。それは、「ことばを育て身につけること、そのために自力で本を読むこと」です。
人間が自分の感情や思っていること、考えていることを伝えることを「コミュニケーション」と呼んでいますが、その主要な手段はことばです。もちろん、ことばが無くても感情を伝えることはできます。顔の表情で様々なことが伝えられますね。例えば、怒っているとか、嬉しいとか。相手を抱きしめたり、さわったりすることで愛情を伝えることもできます。しかし、考えること、少し難しい表現をすれば思考することは、ことばを使わなければ難しい。先ほど「コミュニケーション」ということばを説明しましたが、これをことばを使わず説明することは不可能です。
さて、人はことばをどのようにして使えるようになるのでしょうか。ちょっと考えて分かることは、一人で放置されている状況ではことばを使えるようにならない、獲得することはない、ということです。別な言い方をすれば、周りから様々な刺激があって、ことばのシャワーを浴びてそれを取り入れることにより、人はことばを使えるようになっている訳です。私たちがなかなか英語をしゃべることができないのは、これが理由です。「サンキュー」や「グッバイ」は日本語になっていると言ってもいいぐらいで何度も聞いているから、使うことができますが、そうでないものは難しいということですね。
だから、まず大切なことはインプット、自分の中に様々なものを取り入れていくことです。現在、新入生のみなさんや中高生が日々外の世界と接する際よく使っているのは、テレビやネットの動画、SNSという人が多いと思います。そういう状況の中で、なぜ私は皆さんに読書を勧めるのでしょうか。
映像というものはネットであれ、テレビであれ、次から次に流れていく、という特徴があります。ですから、そのスピードに合わせるしかないので、途中で立ち止まって考えてみるというのには不向きであるということがあります。内容も分かりやすく作らざるを得ない。日本のテレビ番組はある時期から、二〇数年からでしょうか、テロップがやたら出るようになりましたが、これも分かりやすさを追求した結果でしょう。分かりやすいことは、必ずしも悪いことではないですが、物事の単純化にはつながりやすいことには気をつけておく必要があるでしょう。
もう一つのSNSについてですが、こちらは文字量が短いことが特徴か、と思います。有名なSNSであるTwitterは一つの投稿で140字という制限があります。高校生から教えてもらったことですが、Lineでは文章を長々と書いて投げることは格好悪いんだそうです。自分の感じたことをパッとつぶやくことはすぐ出来るけど、SNSでは、ある程度の内容をまとめて展開するということにはなりにくいのではないでしょうか。
ですから、じっくり考えながら情報を得る、想像力を膨らませながらことばをインプットするためには、どうしても本を読むということが必要になってくると思います。残念なことに、今の日本では本が売れなくなってきましたから値段も高くなってきたりしていますが、どんな人でも本を手にすることができるように、公共の図書館というものがあります。それも無料です。税金を使って無料にしているのは、読書という行為が社会を支えていくのに不可欠である、と考えたからです。和光中高も学校の規模の割には充実した図書館があります。どうか活用してください。
最後に、今の社会状況の中、もう一つだけ話として付け加えたいことがあります。それは、ウクライナのことです。今日は具体的な話をすることはできませんが、みなさんと同じ歳のこどもたちが、住んでいるところを追われ、食べ物の不足に苦しみ、場合によっては命さえ奪われていることを忘れないで欲しいのです。そして、今のみなさんには難しいかもしれないけれど、ウクライナで起きていることから私たちは何を考えなければいけないかを、そしてもちろん今の状況を止めるには何ができるのかを、これからの学びの中で一緒に考えていければ、と思っています。

2022年4月9日
和光中学校長 橋本 暁

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卒業式 式辞

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先週、和光中の3年生たちが本校を巣立っていました。コロナ禍の中、行事ができずに生徒がどれだけしんどい思いをしていたかを、そして今ウクライナで起きていることを考えると、本当に何を話すか迷いました。卒業生たちに私のメッセージが伝わってくれたら、と思います。そして、当日の生徒たちの表情に確かな成長を感じた卒業式でした。
彼らの未来に幸多かれ。

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2021年度和光中学校卒業式 式辞
春の陽気を日々感じられるようになり、様々な花々も咲き始める中でみなさんは卒業の時を迎えることになりました。平坦とは言えない3年間だった訳ですが、先ほど、卒業証書を授与した時の、皆さんひとり一人の晴れ晴れとした顔から皆さんの成長を感じました。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、卒業生を今日まで見守ってきた保護者の皆さん、心よりお祝い申し上げます。

実は今回、皆さんにどのような話をしようか、迷うところがありました。現在のウクライナで起きていることに全く触れずに、言葉を述べるのも何か不自然のような気がする。しかし、社会科の授業の時間ではないのだから、とも思います。ですから、今は、何の罪もない子どもたちが戦火におびえていて、食べることや寝ることさえ保障されていないことに思いを馳せ、そして、今回起きていることは、第2次世界大戦以来の大きな情勢変化になり得るということを頭の片隅に入れておいてもらえれば、と思います。

さて、学校の先生が好きな言い回しで「努力は裏切らない」というのがあります。間に「君を」という言葉が入ることもありますが、私はこの言い回しはしばしば誤解されている、と思っています。スポーツ選手などもよく、あの時練習を頑張ったから結果につながったという文脈でこの言い回しを使いますが、本当にそうでしょうか。

このことに関して、フィギュアスケートの羽生結弦選手が先月のオリンピックの際、語っていたコメントを紹介したいと思います。羽生選手は4年前、8年前のオリンピックで優勝して今回三連覇がかかっていたのは知っている人も多いかと思います。4年前のピョンチャンオリンピックでの羽生選手は、怪我で3か月のブランクがあったにも関わらず圧倒的な滑りで二連覇を達成しました。その時のことはとても印象に残っています。その彼が今回はどんな滑りを見せるのだろう、前人未到と言われる4回転半のジャンプを大舞台で成功させれるのだろうか、という関心はありました。4回転半のジャンプはできた、ということで認定されましたが、結果は4位に終わり三連覇は逃しました。
やっとコメントを紹介できますが、羽生選手は競技後、こう言ったのです。「正直、これ以上ないくらい頑張ったと思います。報われない努力だったかもしれないけど」。羽生選手が練習しているのをずっとそばで見ていた訳ではないけれど、彼が4回転半ジャンプに向けて想像もつかないような努力を積み重ねていたことは疑いようがないでしょう。この言葉を聞きながら、昔大学受験の結果を待っている時、自分の父親に唐突に言われたことを思い出しました。それは「自分のした努力が全て報われるのなら、そんな幸せなことはないんだよ」というものでした。羽生選手の挑戦と私の大学受験の話と並べるべくもありませんが、当時の私も「やれることはやった。結果は分からないけど」と思っていました。
ですから、「努力は裏切らない」というのは、努力すれば結果につながるということではなく、「自分はやれるところまでやった、後悔はない」ということなのだ、と思います。実際、羽生選手も「全部、出し切ったっていうのが正直な気持ち。あれが僕のすべてかな」とも言っています。やれるところまでやったという思いがあれば、先に進めるということか、と思います。

コロナ禍でのみなさんのこの2年間、個人がどんなに努力してもできない、届かないものはありました。それでも全力で取り組んだ経験のある人は確かな手ごたえを感じていたのではないでしょうか。先日の3年生の卒業公演の姿を見て、私は心からそう思いました。

ウクライナやコロナのことなど、先行き不透明な状況はしばらく続くでしょう。そのような中でも、やれることには全力を傾けて後悔の無いよう、これからの未来を歩んでいって欲しい、と願っています。

2022年3月15日

和光中学校校長 橋本 暁

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校長ブログ 私立学校をめぐる事件と「改革」

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 とある大学の理事長が逮捕されたニュースで今週はもちきりだが、合わせて「私立大学にはガバナンスの強化が必要」という議論がメディアを賑わせている。ガバナンス(governance)は、政府(government)と同根だから、通常「統治」と訳されるが、平たく言えば、組織が真っ当に治められている状況のことだろう。学校関係者が、億単位の(さらに言えば、金額の大小にかかわらず)怪しげな金を受け取っていたなどということはあってはならないことだ。
 明日、123日に「学校法人改革ガバナンス会議」が文部科学省に対し報告書を提出する予定になっているそうだ。これは一種のセレモニーで、実質的な中身は既に公開されている。そこには、大きな問題があると一人の私学関係者として考えている。きちんと説明するのは簡単ではないので、一つだけポイントを記すとすれば、学校の在り方を決める最高議決機関を評議員会というものに与え、そこには学内関係者は一人も入れないという仕組みにしようとしている。端的に言えば、学校のことを決めるのにその学校の関係者は一人もいない、ということになる。この変更を進める側は既に学校法人と同じように免税の「特権」がある社会福祉法人(保育園や老人ホームなどを運営するところ)と同じだから問題ない、と主張するが、そんなに簡単なことだろうか。
 今回考えられていることは、戦後最大の私立学校制度の変更で、私立学校の在り方が大きく変わると言ってよいにも関わらず、市民の間ではもちろん、私学関係者の間でさえ十分に議論は交わされていたとは言えない。メディアの扱いも小さかった。正直に言えば私だって2ヶ月前には何の問題か、分かっていなかった。
 現在メディアでは、「ガバナンス改革」はさきほどの某大学の事件のこともあり、私大改革という問題設定で扱われている。実は、私立学校法の改正が必要になるので、今回の「改革」は高校しか持たない学校法人にも、幼稚園しか持っていない学校法人にも必ず適用される
 大学入試改革が、一部の人の議論で進められ混乱をきたしたことを思い出す。「良いことだから、スピード感をもって進めよう」とされたことがどんな結果に終わったか。スピード感より、立場の異なる人ともきちんと議論して結論を出すことが、私学教育の自由を守ると共に、真っ当な組織運営につながると信じてやまない。

校長ブログ 和光学園と平和教育

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和光学園は、平和な社会を担う人々を育てることを教育理念としてきました。
高校の校歌の結びは「ああ 平和の砦 我ら和光」となっています。
先日11月10日、和光学園は創立88周年を迎えました。
保護者のみなさまには、学園報特別号を送付いたしました。お手元に届いていらっしゃいますでしょうか。
その中に、『和光学園と平和教育』という特集記事が収録されています。
和光学園の元保護者で平和運動にたずさわっておられる小寺隆幸先生、第五福竜丸事件の被曝者の大石又七さんと交流のあった和光中学校の元教諭榛葉文枝先生と小から高まで和光で過ごした卒業生と中高校長の私の4人で座談会を行いました。
今後の平和教育の課題、和光学園の中で平和についての意識という点で子どもたちがどう成長していくか、などが分かるものになっています。
ぜひご一読いただければ、と思います。

また、保護者のみなさまには寄付のお願いも同封しております。
来年度は可能な範囲でご協力いただければ幸いです。来年度は体育館へのエアコン工事を予定し、また近い将来の第2グラウンドの改修を検討しているところです。

今回の寄付は確定申告によって、寄付金額のおおよそ40%の所得税還付(居住地によっては住民税の還付も)を受けることができます。ネットで完結できる寄付の方法もありますし、法人からのご寄付には全額損金に算入できる優遇制度もございます。詳しくは、こちらをご参考にしていただければ幸いです。

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入学式 式辞

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大石さんのことは、このブログでもご報告した通りですが、改めて新入生、在校生、保護者に知ってもらいたい、と入学式の式辞に取りあげました。核のことについては、福島原発事故と関わることなど、もっと色々語りたいことがありますが、時間の制約で話せませんでした。
中学生の力ということで話したことは、長年の教師生活の中で本当に実感することで、この時期の生徒の様々なことに対するまっすぐな気持ちは、かけがえのないものだと思っています。以下が当日話した式辞です。

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新入生のみなさん、入学おめでとう。ようこそ和光中学校へ。
学年の仲間、上級生、そして私たち教職員との新しい旅への出発です。
保護者のみなさま、お子さまのご入学おめでとうございます。
今日の日を心待ちにしていたことと存じます。お子さんが心身ともに大きく成長していく、新しい段階の始まりです。
どうか、温かく見守ってもらえれば、と思います。
1年前の4月、和光学園は休校状態でした。
「いついつに入学式をやります」と予定しても、何度も延期せざるを得ませんでした。
今日こうして入学式を行っていますが、昨年はクラスごとでそれも6月でした。
4月に新入生全体が集まって、オンラインという形ですが2・3学年も参加し、全校揃って行えること、それ自体が嬉しいことだと思い
ます。

さて、今日は、「中学生の力」ということで話をしたいと思います。
まず、これを見てください。

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これは、和光中学校に贈られたものですが、この船はどんな船で、なぜ和光にあるのでしょうか?

まず、船の名前は「第五福竜丸」と言います。保護者の中には、あっと思われた方がいると思いますが、新入生のみなさんのほとんどは、初めて聞く名前でしょうね。
1954年3月1日、南太平洋のビキニ環礁というところで、放射性物質を大量に浴びた船です。
アメリカがそこで核兵器の実験をした結果、大量に放射性物質がまき散らされました。

核兵器と言えば、広島・長崎にアメリカが落とした原爆のことを思い出す人もいるでしょう。
放射性物質を多量に浴びると、ガンになりやすいことはよく知られていますね。
原爆が恐ろしいのは、爆風や灼熱を何とか逃れてもいつ放射線の影響が出て発病するか、分からないからです。
原爆が長崎や広島に落とされたのは、1945年8月。その後、巨大な破壊力を持つ兵器を手にいれるために、いくつかの大国で核兵器の開発が進められました。
実際の影響を見るために、地上で爆発させる実験も行われました。

その一つがビキニ環礁で行われたのです。
第五福竜丸はマグロを取る船で、乗組員たちが乗っていました。
彼らは放射能をおびた死の灰、サンゴ礁のかけらだったのですが、を浴びました。
乗組員たちはその後放射性物質の影響で病いに苦しみました。
亡くなられる方もいたのです。

この出来事は、当時の日本に大きな影響を与えました。
先ほど、日本は、米国により広島・長崎に原爆を落とされたと言いましたが、1952年4月までは、米国の強い影響下にありましたから、原爆の被害のことは広く報じられることはなかったのです。
1954年3月1日に第五福竜丸におきた事件は、ビキニ事件と呼ばれるようになりましたが、この事件をきかっけに、原爆の被害が知られるようになり、核兵器廃止を求める大規模な署名活動が行われるまでになったのです。

さて、時は流れて1983年、今の総合学習の発表に似ていますが、当時はクラスでテーマを決め何かについて調べ、秋の文化祭で発表するということが行われていました。
平和について調べたいというそのクラスの中の1グループがビキニ事件について調べることになりました。
そして、中学生が、東京に来ていた、とある乗組員に連絡を取りました。
その方のお名前は大石又七さんと言います。
大石さんはビキニ事件の後闘病生活を送っていましたが、退院後は被曝者であることを伏せて、ビキニ事件のことを忘れたい、と思っていたそうです。
ご自身の子どもが死産で生まれたこともあり、どうしても放射能の影響のことが頭から離れない。
だから、ご自分のことを人前で話すことはなかったのです。大石さんの言葉をお借りするならば、生徒がどうしても話を聞きたいと食い下がってくるので、「しょうがないな」ということで会って話をした。
会いに来た生徒の中に、全盲の生徒がいました。
その生徒が触ることができれば、第五福竜丸のことがよく分かるだろう、と模型船を作成し、和光中に寄贈してくださいました。
ここにある船はその船なのです。

大石さんは、その後、この和光中の生徒たちとの関わりをきっかけに、各地で自分の経験や思いを語るようになりました。
ビキニ事件と核兵器のことを考えて欲しいと世の中に訴えられました。
和光中にもその後、何度も足を運んでくださいました。

今日、第五福竜丸の話をしたのは、大石又七さんがこの3月に亡くなられたこともあり、和光中と大石さんの特別なつながりを知ってもらいたいと思ったからです。
そして、大石さんが広く話をするようになったきっかけが中学生の素朴な知りたいという気持ち・疑問だったことに注意してほしいと思います。
大人には話したくないけれど、中学生や高校生には話しても良い、ということがあります。
みなさんの真っすぐな気持ちが当事者の気持ちを動かすのです。
最初に「中学生の力」と言ったのはこのことです。
皆さんには、自分でも気づかないようなすごい力があります。自分の知りたいという気持ちを大切に、疑問を大切にしながらこれからの3年間学んで欲しいと思います。

新入生の皆さん、皆さんの和光中の生活は今日がスタートです。
和光は人と人のつながりを大切にする学校です。
コロナウイルスの影響がある中困難もありますが、同級生や上級生と様々な形で交流しながら、自分自身を成長させていって欲しいと願っています。

2021年4月12日
和光中学校長 橋本 暁

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ビキニ事件 大石又七さんと和光中学生のつながり

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 ビキニ事件の被曝者で核廃絶を訴えていた大石又七さんが亡くなられていたことが先日報じられました。
記事「第五福竜丸の元乗組員・大石又七さん死去 87歳:朝日新聞デジタル」(asahi.com)。

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 1954年3月1日、南太平洋のビキニ環礁でアメリカは水爆実験を行いました。爆心地から160キロほど離れたところで、マグロを取る船、第五福竜丸に乗っていた乗組員たちは放射能をおびた死の灰を浴びました。大石さんはそのうちのお一人だったのです。乗組員たちはその後放射性物質の影響で病いに苦しみました。亡くなられる方もいたのです。
 この出来事は、当時の日本に大きな影響を与えました。日本は、米国により広島・長崎に原爆を落とされた唯一の戦争被爆国ですが、1952年4月まではGHQを通じた米国の強い影響下にありましたから、原爆の被害のことは広く報じられることはなかったのです。この事件をきかっけに、原爆の被害が知られるようになり、核兵器廃止を求める大規模な署名活動が行われ、1955年8月原水爆禁止世界大会が開かれるまでになったのです。
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 退院後、大石さんは被曝者であることを伏せご自分のことを人前で話すことはなかったのですが、1983年に和光中学校の生徒が文化祭の発表のために問い合わせたことをきっかけに、各地で自分の経験や思いを語るようになったそうです。また、当時在籍した全盲の生徒が第五福竜丸のことがよく分かるように、と模型船を作成し、寄贈してくださいました。(このあたりの経緯については、朝日新聞の2021年3月1日付の記事にまとめられています)。
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 その後も、大石さんは何度か和光中に足を運んでくださり生徒たちや教員にお話しをしてくださいました。私も二度ほど直接お話しを聞いたことがあり、大石さんの核兵器廃絶にかける思いを感じました。
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大石さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

2020年度和光中学校卒業式 式辞

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2年続けて、コロナ禍の卒業式となりました。今年も縮小した形で行うことになりましたが、ひとり一人に卒業証書を渡すことができました。それぞれが新しく進む道で、4月からの生活が順調に始まることを祈っています。

2020年度和光中学校卒業式 式辞

今日、和光中学校は143名の卒業生を送り出します。卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、卒業生を今日まで見守ってきた保護者の皆さん、お子さんのこの3年間の成長を感じておられることでしょう。心よりお祝い申し上げます。
さて、この1年は、新型コロナウィルス感染症の対策のため、4月・5月は学校は休校、そして様々な行事も中止や延期、あるいは内容を変えて実施するという年になってしまいました。ここにいる皆さんの中には、3年生になったら、オリエンテーション運動会で、館山水泳合宿で上級生としての力を発揮したいと思っていた人もたくさんいると思います。しかし、それは叶いませんでした。そうではあっても、皆さんは先日行われた卒業演劇で、そして日常の生徒会活動の中で上級生の力を十分に発揮した、と私は思っています。
2月27日に、私は4クラスの卒業公演を観ました。それぞれのクラスから、伝えたいメッセージは何なのか、明確に受け取ることができました。音響や照明はタイミングがずれれば全てがぶち壊しですが、きっちりと合っていたように思いました。役者の人も、セリフが無くて物語の進行の上では他の役者たちが演じているような場面でも、状況を考えて舞台の上で黙って演技している姿が見られて流石だと思いました。あるクラスの1年生の感想に「さすが3年生はレべチ」とあって、2秒ほど私は意味が分からなかったのですが、レベルが段違いだと感じていたのですね。4クラス全ての劇を1・2年生に観てもらいたかったのですが、そうできなかったのは本当に残念でした。
振り返ってみると、3年生のみなさんとは劇を通じての関わりが多かったように思います。校長になって初めて行った秋田学習旅行で『いつだって青空』という劇をわらび座で一緒に観ました。その時、「文化の力」という話をしましたね。歌や踊りや演技ならメッセージが受け取りやすい、共感しやすい、人の心に訴えるものがある、という話をしたと思います。人間は、基本的に言葉によって思考、ものごとを考えていく、のですが、文化・芸術には言葉を越えて人の感情に直接訴えるものがあるのですね。
そして、今年1月の総合学習の時、大教室で釈迦内柩唄を一緒に観ました。生の
舞台の迫力に、私もですが皆さん圧倒されていたように思いますその後の俳優さんとの質問のやり取りの中でも多くを学んでいたように思いました。
世の中、バーチャル何とか、が流行っていますが、人間は、五感、五つの感覚ですね、視覚・聴覚に加え、触覚、味覚、嗅覚ということになりますが、五感を通じて経験したことの方が強い共感を感じる生き物のようです。だからこそ、1月の舞台に皆さんは気持ちを動かされ、2月の卒業演劇で1・2年生は皆さんの劇に感動したのでしょう。
実は演劇という行事はとても難易度の高いものだと私は思っています。キャスト、大道具、小道具、音響、照明と本番でやっている作業はバラバラ、それをひとつのものにより合わせていかねばなりません。そして、それを自分たちの力でやっていかねばならない。
その大変なことをみなさんはやり遂げ、下級生に示したのだと思っています。
最後の最後に私から卒業生の皆さんに伝えたいことが一つあります。今まで何度も話してきたことですが、新型コロナウイルス感染症の先行きがどうなるか、は誰にも分かりません。そういう中、これから先、生きていくのは不安になることもあるでしょう。ただでさえ、これから皆さんが進んでいく青春期は何かと不安を感じ、自分とは何者か分からず、もがき苦しむことは多々あるのです。そういう時、「自分は困っている」「不安に思っている」ということは外に出していい。「助けて」と言ってよいのです。そうすることで、あなたに共感してくれる人も出てくるかもしれない、智恵を出してくれる人も現れるかもしれない。社会というのは、本来そのように助けあうために存在しているのだ、と思います。私たち和光の教師たちも、みなさんが卒業した後であっても力になれることがあるでしょう。
和光中学校での3年間の経験を胸に、これからの未来、一歩一歩進んで欲しいと思います。どうぞお元気で。

2021年3月15日
和光中学校校長 橋本 暁

オンライン少人数学級推進署名へのご協力を

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和光学園親和会員の皆さまへ

~少人数学級推進オンライン署名ご協力のお願い~

和光学園校長会

和光鶴川幼稚園・和光鶴川小学校 校園長 加川 博道
和光幼稚園・和光小学校 校園長 北山ひと美
和光中学校・和光高等学校 校 長 橋本 暁

 

2学期が始まってしばらく経ち、各校・各園とも学び舎に子どもたちの元気な声が響いております。

さて、現在インターネット上で、少人数学級の実現を求める署名が行われています。少人数学級の実現は、私たち和光学園としても長い間その実現を願ってきたものでした。本署名の呼びかけ人には、昨年の和光デーで講演頂いた本田由紀先生、和光大学の山本由美先生、本学園の教育研究会でお世話になった佐藤学先生などが名を連ねています。また、全国知事会会長・全国市長会会長なども少人数学級の実施を求めています。文部科学大臣も「来年度から小中学校に、おいて少人数学級を段階的に導入することを検討していること」を明らかにした、との報道があります。この流れを加速し、確実にするという点で、私たちとしてもオンライン署名に協力していきたい、と考えます。親和会員のみなさまもぜひご賛同いただき署名に協力して頂ければ幸いです。

本学園では、長い期間にわたり、私学助成の拡充を中心として、ゆきとどいた教育を求める署名に取り組んできました。こちらの署名は、国会・都議会に直接提出しますが、議会で審議が行われる請願として取り組まれてきました。署名を集める過程で、対話があり人々に直接訴えることができ、また、提出の過程で議員の方々と話をしたりすることにより、流れをつくっていこうというものでした。こちらの署名運動も動きがスタートしています。こちらの署名への取り組みも併せてお願いいたします。

校長ブログ 入学式

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新入生が入学して2週間ほど経ちました。
まだまだ緊張した顔つきの生徒もいますが、少しずつ和光での生活に慣れてきているところだと思います。
入学式はわずか20分、その後のホームルームも含めて1時間弱というものでしたが、それでも生徒や保護者の皆さんの感想を読むと、一つの区切り、スタートとなっていたのだな、と改めて感じました。
入学式を何とか行って本当に良かったと感じました。

以下は当日の式辞です。

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新入生のみなさん、ようこそ和光中学校へ。やっと会えましたね。そして保護者の皆さん、お子さまのご入学おめでとうございます。中学校入学は決まっていても、実際に学校が始まらなくては、と思っていた方もおられるでしょう。本日、節目の日を迎えることができました。

さて、この2ヶ月に及ぶ休みの間、私は学校の意味というものをあれこれと考えることがありました。同じ勉強をするのでも、家で一人でやるのと学校でやるのと何が違うのだろう?と。違いが無いとすると、極端なことを言えば、学校って要らないんじゃないか、と考える人も出てくるんじゃないか、とか思っていました、もう少し具体的に言いましょう。例えば、計算の練習や漢字の練習とかだったら、どこでやったって変わらないだろうと思う人も皆さんの中にもいるでしょう。生徒の中には自分でスイスイ進められる人もいるようです。一方で、一人きりではなかなか進まない人もいます。学校という場に身体を運び、みんなと同じ時間を過ごす中で、学んでみようという気持ちが起こる人もいるということではないでしょうか。加えて、和光では他の人と意見や考えが違うことを前提にして、それを交流し、改めて自分の意見を組み立てていくということを求めています。そう考えれば、みんなで学ぶ意味はより積極的なものになります。

やっと学校は再開できましたが、コロナウィルスのことがどうなっていくか、はっきりしたことは誰にも言えません。そういう中でも大事なことは疑問を持つことです。一つ例をあげましょう。なぜ、コロナウィルスの感染拡大のスピードを落とさなければいけないのか、考えてみたことはありますか?すぐ思いつくこととしては、病院が大変なことにならないように、ということがあるでしょうか。難しい言葉で言えば、医療崩壊を起こさないようにということですね。

感染のスピードを落とすことにはもう一つ重要な意味があるそうです。どんなことでしょうか。それは、感染拡大のスピードが落ちないと、ウィルスが猛毒化する恐れが強くなるということです。何故なんでしょう?実は、毒性の強いウィルスはなかなか生き残れないんですね。毒性が強いので、自分が侵入した生物の命が尽きてしまえば、そこで終わってしまいます。しかし、次から次へと感染が広がっていれば、毒性の強いウィルスにも生存チャンスが増えるということになります。

自分の中で納得できれば、これからの生活の中で、体温を測るとか健康観察表を記入するとかちょっと面倒くさくても、やれそうな気がしませんか。こういう点からも疑問を持って考えるということは大切だと、私は思っています。

最後になりますが、2年生・3年生は、今日この場にはいませんが、みなさんのことを心から歓迎しようと思っていることを伝えたいと思います。今日は、都合で3年生のみとなりますが、皆さんへのメッセージもあります。みんなで過ごす学校としての和光中学校、今日は新入生のみなさんにとって、その1日目です。これからの1日、1日を大切にすごしていきましょう。

2020年6月3日 和光中学校 校長 橋本 暁

和光中学校の資料一式を無料で送付しています。

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