冬は東雲。ほのかに明るくなる空の色の階段。下から暖かい色が溢れていく…(オリジナル『春はあけぼの』2年国語)

Web担当K.M 学習

 2年生の国語では、3学期、古文を学習しています。平安時代に書かれた「春はあけぼの」を読み、今も昔も変わらない季節を味わう感性について、じっくりと学習を深めてきました。

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 そんな古文の締めくくりとして、先日、「オリジナルの『春はあけぼの』を書いてみよう」、という課題に挑戦しました。春夏秋冬の中で、どんなものに心を動かされるのか、自分の心に残っている風景や出来事は何か。最初は隣の人と「こういう景色がいいよね」「夏と言ったらさあ」など、わいわいとお互いの季節感を交流していましたが、気づけば教室はぴたりと静まり返り、黙々とペンを動かす音だけで満たされていきます。

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  出来上がった生徒の作品はどれも本当に個性的。やはり、生活が違えば見るものも違う、切り取る瞬間も違って、感じ取るものも違う。そんな文章をお互いに読みあいながら、「こういう感じ方があるのかあ」「この表現素敵だよね」と深く感心のため息をついたり、一方で「わかるわかる」と大きくうなずく生徒も。そうした新しい発見とお互いの共感を通して、季節を楽しむ感性をしっとりと味わう素敵な時間となりました。

 そんな中、生徒の書いた作品をいくつかご紹介します。冬の長夜のおともに、どうぞ。

  春は朝朝暮暮。朝起きて食べるものは、恒例のお米と漬物、そして味噌汁。外に出ると少し寒くまだ暗い。電柱の光はまだついていて、人がいなくても素振りに集中できる。何度見ても飽きることのない富士山の薄暗くてきれいな景色。

 夏は星月夜。鈴虫の鳴き声と一緒に聞こえてくる川の音。秋田の父さん母さんたちを思い出す。外に出て空を見ると、とてもきれいな星がたくさん光っていて、もうきれいすぎて夏の暑さまで忘れてしまいそうなきれいさ。たまらない。

 秋は黄昏。部活の帰り道、自転車に乗りながら見る夕日がかった高い山々。見ていると心が落ち着く。カラスの鳴き声も聞こえてくる。見飽きるほどの車のライト、もうさんざんだ。

 冬は朝ぼらけ。おばあちゃん家のきれいな海、空がほんのり明るくなってきて、太陽が出てくる。海もうっすら見えてきて、波の音も聞こえてくる。それと同時に見えてくる米軍基地、おじいちゃんは好きだが、僕は嫌いだ。それにしても、朝の海の風や砂の匂いもとても素敵だ。(2年生 男子生徒)

 

 春は暁。明るく白くなっていく静かな空に、遠くで聞こえ始める鳥の声がだんだんと増えていくのがいい。それから家の近くの草むらに咲いた小さな花が、たくさん風に揺れているのがいい。日が高くなってきて、鳥がだんだん木に集まってくると、たくさんの鳥の声が風に乗ってきて、もっと春らしくなるのがいい。

 夏は日盛り。車とか人の声が聞こえないくらい蝉の声がうるさくて、倒れそうなくらい暑い中を、日陰で休んだり、ぼーっとしながら歩くと、普段なら絶対見落としたり忘れたりしないようなことを平気で忘れてしまうのがいい。家に帰ってクーラーの下でアイスを食べたりしながら、熱中症で倒れた人のニュースを眺めているのも夏らしい。

 秋は夕景。綺麗に色付いたモミジやイチョウの葉っぱと、赤く染まった空の色、地面の落ち葉の茶色が混ざっていくのは時間を忘れて眺めていられる。日が落ちてきて空に紫色が出てきて、秋の涼しい風が吹いてくると、暗くなり始めた空に、どこかの家からか魚を焼く匂いが漂ってくるのが良い。

 冬は霜夜。家の中で暖房を入れると、窓ガラスが白く曇ってきて、指で模様を描くと水がしたたり落ちてきて窓辺がびしょぬれになるのが冬らしい。コートを着込んで外に出ると、真っ白な息が空に登って消えていくのがいい。夜が明けてきて、道を歩いていると、昨日までは何ともなかった花や草に白く霜がおりていて、一夜にして景色が変わってしまうのがいい。(2年生 女子生徒)

 春は昼中。爽やかな風が吹き、鳥がさえずる。少々の寒さも、冬を思い出して良い。少し汗が出るのも、夏からの便りとなって良い。日の暖かさが、また眠気を誘う。空にのびる雲と青い空が、春から夏へ向かう接続詞となる。

 夏は夕景。昼とは違う少し涼しい風が吹く。秋の虫からの招待状が耳に訪れる。エアコンなどの風ではない自然の風が、昼の暑さから心を溶かす。本を読みながら感じるも良し。ただ外を眺めるだけでも、秋の外を感じられる。皆より先に、秋をお味見。

 秋は朧夜。月の出る頃に始まるコンサート。第一部は虫の音と共に楽しむ甘味。食欲の秋に美味しいものを食べ、外を見る。第二部は虫の音と共に読書、自然の空気を味わいながら本を読む。読書の秋も、とても良いコンディション。夜も深くなると、月は見えなくとも、うっすら見える月の光。こんな贅沢、秋だからこそ。

 冬は東雲。ほのかに明るくなる空の色の階段。下から暖かい色が溢れていく。朝のもやも、外の寒さと相まってまるで天空のよう。雪の予報があれば、起きて雪が降っているか外を見るのもまた一つの楽しみ。雪が降れば、木に乗った雪が朝日でキラキラと光り、また美しい。澄んだ空を見に出る外は、キッとする寒さがパッと自分の目を覚ます。(2年生 男子生徒)

 

 春は昼下がり。昼食を終えほっと一息つく頃に、暖かく過ごしやすいこの時は、急ぎ足で行き交っていた人々もゆっくりと歩いていて、時がのんびり流れている。人々の鮮やかな服に合う淡い色の花たちが柔らかい太陽を浴びていて、自分も同じ太陽の大切さを感じながら、ゆっくり、のんびりと過ごすことができる。そんな周りの人や草木と分かち合う日差しは心地よい。

 夏は日盛り。気持ちを鼓舞するような音楽と激しい散水で全身濡れ切った後は、太陽の下で熱かった体が涼しくなり、心は熱くなっている。寒さを感じ、濡れた服を絞るといつの間にか乾いているのが嬉しいようで、もったいなくも思える。また、遠くで飛ぶ水しぶき、青空の下雨が降っているかのように辺り一帯が日傘で埋まってる、ありがたさを思わせる優しいうちわの風を感じるのもこの時。

 秋は朝ぼらけ。まだ暗い中家を出る。少しずつ空が若い林檎のような明るい色になり、美しい月が薄くなっていくのを眺めていると、冷たい空気に苦しんでいたが、だんだんと過ごしやすくなっていく。秋の初めに夜が明けていくと、熱い程になるが、だんだんと秋が終わりに向かうにつれ空が明るくなり、月が消えてゆく時間がしだいに遅れてゆき、寒さが残るようになる。秋という季節の中に季節があると思わせる。

 冬は聖夜。日が落ちた後は暖かさなど少しもなく、凍えてその時を身を縮めてひっそりと待つ。その時が来ると当たりの光が消え、闇に包まれるが、色とりどりの鮮やかな光が輝きだすと、突き付けられている恐ろしい冷たさや、夜の風に耐えてきた苦痛さえ忘れ、心から暖まる冬の世界へ導いてくれる。この時を願っていた周りにいた知らない全ての人たちが大切な仲間になる。その時が過ぎると、心の温かさは変わらないものの、今までの寒さが一度に吹き付け、歩くことが一苦労になるほど、足の感覚がなくなるのが辛い。(2年生 女子生徒)

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