和光小学校校園長ブログ「子どものなる木」「大小の成功体験をいくつも重ねていけるということが最大の魅力」~保護者が語る和光小学校~

幼稚園 北山校園長ブログ

2学期が始まって3週間が経ちます。様々な制限があった夏休みでしたが、それぞれのご家庭で工夫をして夏休みにしかできないことを体験させてあげたり、自由研究に付き合っていただいたりしたことが、各クラスで行われてきた「夏休み発表」から伝わってきます。

例年でしたら9月の学校説明会では、授業の様子と夏休みの作品を見ていただけるのですが、残念ながら緊急事態宣言中でもあり、オンラインでの説明会とさせていただきました。多くのみなさまにご参加いただいたこと、感謝しております。急遽ではありますが、9月25日(土)に夏休みの作品を見ていただく機会を設けました。詳しい時間帯など、学校HPをご覧ください。

 

さて先日オンラインで行った学校説明会では、事前に録画しておいた授業を観ていただき、授業者から授業についてのお話をさせていただきました。

その後、3人の保護者の方に来ていただいて、「わが子を和光小学校に入学させて」ということで保護者から見た和光小学校について率直に語っていただきました。

4人の男の子のお母さんであるSさん、ご長男は20歳になり、今、一番下のお子さんが6年生です。4人のお子さんを和光に通わせて、「時代が変わっても変わらないものが和光にはある」とおっしゃいます。特に運動会、いちょうまつり、沖縄学習旅行など、行事をくぐり抜けた後、我が子が頼もしくなったのを感じる、と言うのです。和光小学校の行事は、どれも子どもたちが夢中になって取り組みます。時には悔しかったり、辛い思いをしたり、楽しいばかりではない体験もしますが、“本気で”向かっていくことが子どもたちの中に確かな力を育むのでしょう。Sさんがお子さんたちから感じた「頼もしさ」はそういうことだと思いました。

Sさんのご次男は幼稚園から中学まで和光に通い、高校は行きたいところを自分で決め、自分で考えて準備を進めました。ご長男は高校の卒業式の日、ご両親に向かって「幼稚園から15年間、和光に入れてくれて感謝している」と話したそうです。子どもたちがそう思えるような経験をさせてくれる学校であり、これから小学校を考えているみなさんに、少し先の未来を共有できたらと思って、と語ってくださいました。

Hさんのお子さんは和光小学校の2年生です。Hさんご自身も小学校から和光に通っていました。お子さんが歩けるようになった頃、いちょうまつりを見に来て、そこで見た子どもたちの民舞、しなやかな動きと太鼓の音にワクワクしたそうです。ご自身も体験した民舞は、いくつになってもからだの中に刻まれたリズムが蘇ってくるのでしょう。2年生になったお子さんを見て、子どもと一緒にやりたいことがいっぱいあり、自分自身も満たされる、と言います。学校で学んでいること、取り組んでいることをもっと知りたい、自分も仲間に入れてもらいたい、と。そして、Hさんが和光小に通っていた特、Hさんのお母様も学校のことに関わってくれて、お母様も楽しかったのだろうな、と感じるのだそうです。今はお子さんから伝わってくる和光小学校での学習のひとつひとつが新しい世界との出会いであり、その出会いと日常の生活が頭の中ではじけています。在学中は、和光の中のことは当たり前のことだと思っていました。例えば教科書を使わないこと、教材を毎日先生が手作りしていること、リーダーやルールは自分たちで決めること、クラスの中でトラブルが起こると授業を中断して話し合いになること・・・でも和光から出たとき、世の中はそれだけじゃないということがわかりました。自分が体験してきたことはスペシャルなことだったのだと、母親になって再確認したそうです。たくさんの大人が応援してくれて今を生きていること、それは幸せなことで自分で自分をいいね!と言えることも感じていることです。子どもたちは多くの大人からたくさんの愛を受け育っていってほしいと思い、そのような和光の子どもたちはたくましい、と感じています。

同じく2年生にお子さんがいるTさん。お子さんが1年生の頃まで和光小学校からは1時間半ぐらいかかるところにお住まいでした。お知り合いの方に和光出身の方が何人かいらっしゃり、その方たちは、その親御さんも含めてみなさん「楽しかった」とおっしゃったそうです。和光出身の方たちは魅力的な方たちでした。進められるままに学校説明会に参加したとき、教室の机がコの字の形に並んでいたこと、話し合いが活発に行われていたことに驚いたと言います。一年生の漢字の授業ではその成り立ちから学び、一文字に一時間かけていました。算数の授業ではどうしてそう考えたかを話し合い、間違った答えも躊躇せず出し合い、答えを導き出すためのプロセスを大切にしていることが伝わってきました。小学校2年生でパンを作るために自分たちで研究していることも知り、私もこんな学校に通いたかった、と思ったそうです。和光小学校は大小の成功体験をいくつも重ねていけるということが最大の魅力だ、とおっしゃいます。説明会に来て、直感的に、ここがいい!と思ったそうです。そして、2年生になったお嬢さんは、1年生の終わりの頃から変わってきたことがあると話してくださいました。まず、自分の気持ちを話すとき、「なぜなら」を使うようになり、どうしてそう考えたのか、と話すようになったというのです。もう一つは、どこかで何かを体験することがあると、感想をびっしり書くようになったとのこと。やったことに対してやりっぱなしではなく、頑張ってフィードバックしようとしていることが伝わってくるそうです。

担任が発行する学級通信で、帰りの会で出された子どもたちのトラブルやその話し合いの様子などが共有され、子どもと親と先生とが同じベクトルに向かっていることを感じ、何か悩みがあって担任に相談するといつもいい方向に向かうと話してくれました。Tさんは、今年の運動会で1組が負けたときお子さんが大泣きしたことに驚いたと言います。本気になって向かっていたことをその姿から感じたのです。

毎年、学校説明会で語ってくださる保護者のみなさまのお話に、私たちの教育づくり、学校づくりを振り返り身の引き締まる思いがします。

 

今年8月末、和光学園の卒業生である国際ジャーナリストの堤未果さんが『デジタル・ファシズム~日本の資産と主権が消える~』(NHK出版新書)を出版されました。堤さんは和光高校卒業後ニューヨーク州立大学に進み、世界貿易センタービルにあった証券会社に勤務しているとき9・11を体験しました。今の社会、政治を鋭く見つめる数々のルポルタージュを発表しているので、みなさまもよくご存知だと思います。何度か研究会などに来ていただきお話をしていただくことがありましたが、事実を丹念に追って検証していくことで真実に近づくことができるということは、和光学園での学びで身に着けた、とおっしゃっていました。

この本は、社会全体がデジタル化されてきたことが私たちの未来をどのように変えてしまうのかを訴え、教育分野ではコロナ禍で急速に広まっているオンライン授業、文科省が打ち出している「一人一台端末」の「GIGAスクール構想」がこの先目指していることについても警鐘を鳴らしています。

文科省の公式プロポーション動画では「タブレットがないと全部自分で考えないといけない、でもこれがあれば、間違えたときすぐ説明されて前に進んでいけるんです」という小学生が出てきます。堤さんはこのことばを聞いたとき、不思議な気持ちになった、と書いています。

「私の母校である和光小学校には、タブレットどころか教科書自体がないからだ。知識を入れるためでなく、考えるための教材を先生が自分で探してきて、それをプリントにしたものが配られる。毎回授業のたびに数ページ配られる紙を自分で二つに折って、授業の最後にファイルに閉じてゆくので、一学期が終わる頃には一冊の教科書ができあがる。」そしてこれは「世界に一つしかない、自分だけの教科書だ。」といいます。

さらに「この学校の授業には、二つの特徴がある、として、「一つは“すぐに答えを教えてくれないこと”」。その例として理科の授業での一コマを紹介しています。「もう一つの特徴は、先生が生徒の答えに○×を付けないこと。」堤さんは、「正しいか正しくないかよりも、どうやってその答えにたどり着いたかの方に関心を持ってくれるのだ。」と書いています。

この本を読んで、もう30年以上前ですが私が4年生を担任していた時の算数、小数の割り算の授業を思い出しました。子どもたちの討論が白熱して時間が経つのを忘れてしまい、気が付いたら教室の後ろから音楽の先生が見守っていました。すでに次の音楽の時間の半分ぐらいまで過ぎていたのです。その時、子どもたちが音楽の先生に「もうちょっとだけ待ってて」と声をかけました。もちろん子どもたちは音楽の授業は大好きでしたが、討論の決着をつけたいと思ったのです。

和光小学校では、当時と同じように今も手作りの教育を進めています。一人一人の子どもたちが学びに向かい、仲間とともに考えあうことで学びが深まっていくこと、そのようなかけがえのない時間を学校生活の中で作り出していきたいと考えているからです。

 

昨年からの1年半は、コロナ禍での日々で、十分な教育活動を行うことができず、不自由な学校生活を余儀なくされています。その中でもワクワクすること、夢中になることに向かっていくことができるようにしなければならないと、自分自身に言い聞かせています。

 

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