第68回 和光高等学校卒業式 式辞

コロナウィルス感染の広がりが心配される中でしたが、規模を縮小し時間も短縮した上で、去る3月12日(木)に卒業式を行うことができました。保護者の皆さんと私たち教職員で、卒業生の門出を祝うことができて、本当に良かったと思っています。以下は当日の式辞です。卒業生の4月からの新しい生活が一刻も早くスムーズに始まることを祈るばかりです。
卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして、卒業生を今日まで見守ってきた保護者の皆さん、ご家族の皆さん、心よりお祝い申し上げます。
今日の卒業式は、卒業生のみなさんにとって、卒業という一つの区切りであると同時に、別な意味も付け加わった卒業式になりました。言うまでもありませんが、新型コロナウィルス感染対策の一環として、規模を縮小し在校生の参列がなく、合唱を省き、時間も短縮という形で行わざるを得ません。みなさんの心中を察するに、無念に思っている人も多いと思いますが、私たちとしても苦しい判断でした。どうか理解して欲しいと思います。
コロナウィルスの発生自体は、一つの自然現象に過ぎません。歴史的に見ればコレラや天然痘といった病気が大流行し社会に大きな影響を与えたことは過去にもあったのです。しかし、今の日本の社会で起きていることは、私たちの生きる世の中がどのようなものであるか、を考える材料となると思います。現在進行中の出来事ですが、しばらく後から振り返ってみれば、2011年の東日本大震災と原発事故級の大きな出来事になるのは間違いないことです。私は社会科の教師なので、そのことについて語りたい誘惑にもかられるのですが、こういう状況の中、可能な限り日常を取り戻すということも意味があることと思うので、敢えて元々皆さんに送りたいと考えていた話をしたいと思います。