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校長室から

和光中学・高等学校の教育(2009年度学園報 創立記念号より)

 和光鶴川幼稚園親和会のYさんから、「幼稚園の保護者向けに、高校卒業生から話を聞く会をもちたい」という要請が入りました。

 和光高校では20数年前から2年生行事として“卒業生と語る会”がもたれてきました。近年は親和会が「親だって“卒業生と語る会”」なる会を開くようになりました。今年1月には、高校親和会教研部主催でパネルディスカッション「和光卒業生に聞く……格差社会、就職氷河期といわれる時代、卒業後の10年をどう生きてきたか……」がもたれました。

 テーマ設定もそうですが、質問の数々に「和光生の我が子が、大学受験とその先の格差社会を乗り越えていけるのか?」といった不安が見え隠れしていました。

 高校生、あるいは中学生の保護者がこういう会を持つのは理解できます。しかし、幼稚園の保護者がなぜ、と思いました。「子育ての一番楽しいときに、何をそんなにあせっているのですか?」と、いったんはお断りしました。しかし、事は重大でした。鶴川幼稚園のあるクラスでは和光鶴川小学校への進学希望者がたった4人しかいないこと、その理由が「(テストで競争させない)和光中学・高校を卒業しても良い大学に進めないらしい」「和光高校卒業生は社会で通用しないらしい」といった風評にあるのではというのです。Yさんは和光中学高校の卒業生です。「私って社会に通用していないの?」と、心を痛めてもいたのでした。

 Yさんからは「あの人たちは特別、と思われてしまうようないかにも立派な人は選ばないでほしい」という注文がつけられていました。そして迎えた2月26日、卒業生4人は誤った風評を十二分にはねかえし、かといって「あの人たちは特別」とも思われず、Yさんの大満足を得られる会となりました。

 世田谷幼稚園親和会からも希望が寄せられ、7月に同様の会が開かれました。

 大盛況の2つの会を終えて思ったことは、世の中の「学力」「学力」の大合唱と「時間をかけ、たたきこみ、競争させなければ学力はつかない」という学力観が、いかに親を追いつめているかということです。和光両幼稚園の保護者にしてそうなのです。世の中一般の親はさらに追いつめられていると考えるべきでしょう。そして、もうひとつは和光中学・高等学校の教育に対する確信です。卒業生たちは実に個性的で魅力的でした。それぞれの持ち場で仲間と「ともに生きる力」を発揮していました。「自分さえ良ければ」ではありませんでした。個性的でありながら、そこは確かに共通しているのです。教育はそれぞれの学校で完結するものではありません。むしろその真価は、卒業後によって問われるべきでしょう。

 和光中学・高校の教育を和光両小学校、両幼稚園に向けて発信していきたいと思います。その思いは『育てたいね、こんな学力』(大月書店・7月発行)の中学、高校の章に凝縮させたつもりです。この出版をひとつの契機として、授業、生徒会、学級・学年、クラブ……さまざまな分野で、私たちの「和光教育」をさらに豊かに創造していきたいと思います。

 この夏休み中に、エアコン全面交換とトイレ全面改修の工事を行いました。2学期始業日に、生徒たちの驚喜の声が響きました。エアコンからは四方にやわらかな冷風が吹き降りてきます。トイレは「ホテル並み」「いや、それ以上」と議論がおこるほどの素晴らしさです。学校としては年度予算に1億8千万円計上しましたが、業者選定と補助金申請を通じてかなりの成果を得ることができました。寄付のお願いも行っています。

 中高親和会「エアコン交換産直バザー」の20年産米の注文は、1万5千kgを超えました。10月から「和光中高応援 産直バザー」と改称して、21年産米の取り組みを始めました。親和会からのこうした財政援助はいかにも心強く、ありがたいことです。

 和光学園松本研修センター(源泉掛け流し温泉つき)を保護者、同窓生だけでも利用できるようにしてから、グループ、家族での利用が徐々に増えてきました。利用していただくことは、学校への財政支援に直結します。よろしくお願いします。

日時: 2009年11月12日 17:59

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