和光高校入学式 240名の新入生のみなさん、入学おめでとう。
新入生のみなさん、たくさんある高校の中から和光高等学校を選んでくれて、ありがとう。こうして君たちと出会えたことを本当にうれしく思います。
ご参列いただいた保護者のみなさん、お子さんの入学おめでとうございます。
保護者のみなさんに対しても、心からの「ありがとうございます」を申し上げます。
今年の和光高校の入試は、かなりの倍率になりました。しかし、私たちは「入れてやった」というような思い上がりを厳に戒めています。生徒あっての学校です。生徒がいるから学校はつくられます。和光高校が「個性の尊重」「自主的精神の育成」という理想の旗をいくら高く掲げようと、選んでくれる生徒と保護者がいなければ、消えてなくなるだけです。
私たち和光高校の教職員は、生徒中心の学校づくりに励むことで、和光高校を選んでくれたみなさんの期待にこたえていきたいと考えています。
さて、みなさんはあの3月11日以来、何を考え、どう過ごしていましたか?
本当に恐ろしい巨大地震でした。そして、その直後に東北地方太平洋沿岸を襲った大津波の恐ろしさに驚いたのではないでしょうか?高さ10m、場所によっては20mを越す津波が押し寄せました。この体育館の床から天井までがざっと8mですから、そのすさまじさが想像できます。テレビで放送された映像、新聞や雑誌に掲載された写真を見て、息をのむ思いだったのではないでしょうか?
たくさんの人たちの命が奪われました。安否不明だった人たちが、毎日、毎日、瓦礫の下や海底から遺体として発見されています。
今こうしている間にも、被災地の人たちは、寒さや飢え、さまざまな不便とたたかっています。新聞を読んでいても、テレビを見ていても、食事をしていても、風呂に入っていても……、被災した人たちに対してなんだか申し訳ない気持ちになります。なにかしなければ、の思いにとらわれます。
日本中がそんな気分に包まれているなかで、春の甲子園=選抜高校野球大会が開かれました。開催すべきか否か、賛否両論ありました。どちらも説得力をもっていました。
そんな論争に決着をつけたのは、開会式での選手宣誓だったのではないでしょうか?岡山県・創志学園の野山慎介主将は
「今、東日本大震災で多くの尊い命が奪われ、私たちの心は悲しみでいっぱいです。被災地ではすべての方々が一丸となり、仲間とともに頑張っておられます。人は、仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができると信じています。私たちに今できること。それはこの大会を、精いっぱい元気を出して戦うことです。がんばろう!日本。生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓いま す」
と、宣誓しました。大きな感動を呼びました。
そして、それをすべてのチームが実践したのではないでしょうか?きびきびした攻守交替と全力プレーで、ナイスゲームがつづきました。
今日、和光高校に入学した君たちは、和光高校というグラウンドで、どのように全身全霊をもって、どのように正々堂々とプレーすれば良いのでしょうか?
和光高校は、自由な学校です。
校則はありますが、とても少ないです。頭髪も服装も自由です。「どうしてそうしなければならないのか?」と説明できないルールは1つとしてありません。
先生・学校が一方的にルールを作るということはありません。ルールを作るときには、生徒会と学校の二者でつくる学校協議会に諮るようにしています。そこで、「なぜ?」「どうして?」と質問できます。意見を言えます。要求を出すこともできます。
校則に従うことに馴らされてしまった人には、戸惑うことが多々あると思います。自由を「なんでもありの自由」と履き違えてしまう人もでてくると思います。「和光高校はなぜ、ルールが少ないのか?」を時あるごとに立ち止まって、考えるようにしてください。自分の頭で考え、自分の意見を持ち、行動できる人になってください。校則や罰則で縛らない和光の自由はそのためにあるのです。
和光高校というグラウンドで、正々堂々とプレーしてください。
和光高校の授業では
◆ 学ぶことは、本来、絶対的な喜び
◆ 「なぜ?」「どうして?」「本当か?」を考える学び
◆ ともに学ぶ横の関係のある学び
ということを大切にしています。ですから、たくさんの内容を一方的に教えこんで、テストをして順位をつけて競争させるようなことはしません。本来、学ぶことの嫌いな子どもは一人としていないはずなのに、この国の中学3年生の7~8割が勉強嫌いにさせられているのは、教え過ぎと競争主義だと考えているからです。
学ぶことは喜びであり、楽しいことなのだ、としっかり認識するところから和光高校の学びをスタートさせてください。そして、横の関係のある授業のなかで、「なぜ?」「どうして?」「本当か?」を読み解く学力を身につけてください。この学力がなければ、今、現在進行形で私たちを脅かしている原子力発電所問題を読み解くことはできません。
和光高校の学びの特色は選択講座の多さにあります。
2年生の4つの選択枠には全部で44の講座が設けられています。その組み合わせ、選びかたはなんと14,520通りになります。
3年生では10の選択枠があります。講座の総数は78もあります。10の枠すべてを選択すると、選びかたは6億通りを超えます。
どの講座を選択するかを考える中で、受け身ではない主体的な学びの姿勢がつくられ、進路を選びとる力がついていくと考えています。
そして、学ぶのは授業だけではありません。体育祭、文化祭……といった行事を通じて学ぶこともたくさんあります。クラブ活動を通じて学ぶこともあります。あの宣誓のなかで、野山君の言った「人は、仲間に支えられることで大きな困難を乗り越えることができる」ということを、支えたり支えられたりの経験を通じて学ぶはずです。
和光高校というグラウンドで、全身全霊で学んでください。
平和の砦=和光高校が、これから3年間プレーするグラウンドです。なにより全力プレーを心がけてください。フェアプレー精神を養ってください。自分の頭で考え行動することを積み重ねながら、精神的自立を図ってください。
ともに幸福になるためにともに学ぶ……そんな学校づくりのため、力をあわせていきましょう。
2011年4月9日
和光高等学校 校長 両角 憲二
日時: 2011年4月 9日 16:11
