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校長室から

2011年度 和光高校親和会広報誌「鶴川通信」寄稿文

 私はNHKの朝ドラ『おひさま』に今けっこうはまっています。大好きな安曇野が舞台であることと、脚本が和光高校卒業生の岡田惠和さん(『ちゅらさん』の脚本家)の手によることから、第1回目から見ています。

 まず、昭和初期の社会情勢や地域事情を知る楽しみを得ました。主人公・須藤陽子の成長につれ、当時の尋常小学校や女学校での教育事情を知る楽しみが加わりました。

 さらに陽子が女子師範学校を経て国民学校の教員になってからは、陽子と前和光学園長・丸木政臣先生が同い年であると推測されることから、丸木先生の初任者時代を追体験するような楽しさが加わりました。

 陽子が生徒たちに向かって「楽しくなければ学校ではない。友達に会うのが楽しくてしかたないという学校であってほしい」という場面では、「岡田さん、和光をイメージして脚本を書いていますね」と勝手な解釈をして、気がつくと「それはないか?」と苦笑している自分がいました。

 また、太平洋戦争へ突入していく時代の庶民の心模様も知ることができ、戦争と平和について考えさせられます。陽子の兄の春樹と茂樹は戦死するのだろうか、幼なじみのタケオはどこの戦地に行きどうやって帰還するのだろうか、などと今後の展開に気を揉みつつ、しかし、最後に考えることはやはり大震災と原発事故のことです。

 被災地復旧作業における自衛隊員の奮闘ぶりは、テレビを通じて十分すぎるほど知りました。応急の橋を架け、その上を重機が進むシーンには興奮すら覚えました。

 『おひさま』の今後を見るまでもなく、大きな犠牲を払った末に獲得した平和憲法です。被災地の人々の「ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」(憲法前文)を、一刻も早く保障すべきだと思います。憲法9条の解釈の違いを超えて、①自衛隊は最後まで復旧作業の先頭に立つこと、②新たな戦闘機や戦車の購入を当面やめ復興費にあてること、この2点では国民的合意を図れるのではないでしょうか?

【閑話休題(角替和枝さん御墨付)】
 『おひさま』でタケオを演じているのは、和光高校卒業生の柄本時生君です。そして、その母親役を演じているのは、時生君の実の母親・角替和枝さんです。  

 時生君は実にマイペースで、学習成績にはまったく頓着なしの生徒でした。「このままでは進級が……」の面接に同席したのはおとうさんの柄本明さんでした。

 柄本さんは椅子に座るなり上目づかいに私を凝視したままとなりました。私は極度の緊張感のなかで「まず、学ぶことの意味は……」と必死に話しました。のどはカラカラになりました。なにしろ当時のNHK大河ドラマで柄本さんは秀吉役をやっていたのです。衣装こそ違え、秀吉のオーラを存分に漂わせていました。私は何をどう話したものやら、とにかく「おとうさん、どうでしょうか?」までたどりつきました。  

 そのあとの一言が忘れられません。

 「なっ、時生。おとうさんがいつも言っていることと同じだろう?」  でした。

 秀吉が一瞬にして時生君のおとうさんになりました。

日時: 2011年7月25日 10:59

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