第65回和光高校卒業式式辞

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本日ここに、226名の卒業生を送り出します。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。そして今日の日を特別な思いで迎えられた保護者の皆さん、ご家族の皆さん、心よりお祝い申し上げます。

つい先日まで、真冬を思わせる寒さが続いていましたが、今日は皆さんの門出をお祝いするかのように、春の日差しがいっぱい皆さんを包んでいます。

卒業式は単なる通過儀礼ではありません。人生の大きな節目です。節目の今日、どんなことに思いを馳せ、何について考えるかによって、明日からの新たな人生が大きく変わっていくように感じます。そしてそれは卒業生の君たちだけのことではないのです。ご参列のご家族の皆さんや君たちと共に3年間過ごしてきた私たち教職員にとっても、今日の日は人生の節目なのです。

さて、卒業生の皆さん、君たちの3年間は波乱万丈でした。生徒会の年間方針案が総会で否決されたり、40年近くになる私の教師人生の中でも初めての経験がいくつもありました。私もこの学年が1年の時、担任のひとりとして、これまでにない経験をさせてもらいました。しかし不思議なことに、手を焼いたり、てこずったりしても君たちのことが嫌いにならない。むしろどんどん好きになっていくようにさえ感じられたのです。君たちの悩みや葛藤が少しずつ分かるような気がしてきたからでしょうか。

それだけではありません。私が悩んでいると、クラスの生徒が私にいろいろアドバイスをしてくれるのです。これは本当にありがたかった。英語が大の苦手なAさん。担当の教員と気持ちがすれ違ってしまい、授業中教室を飛び出してしまった。そうしたら何人かのクラスメイトが、Aさんを心配して一緒に教室を出ていき、彼女の言い分を一生懸命聞いてあげていたんです。当然、授業サボりとして問題になりました。しかしクラスの班長会は「授業を抜け出すのは良くないけど、授業を進める先生の方にも問題がある」として、英語の授業についてのクラスの要望をまとめ、担当の教員に提出しようとホームルームで話し合いをもったのです。

君たちの素晴らしいところ、私が大好きなところはこういうところです。つまり君たちは、つまずいた人や困っている人を決して見捨てたり切り捨てたりしない、我が事のように一緒に悩み、考えることができる人たちだということです。
現代は格差と競争の時代です。学校においてさえ、勝ち組になるために生徒たちは「競争」という名の鞭でしごかれています。勝者になることで本当に幸せになるのでしょうか。競争を勝ち抜くことで、大切な何かを失っていないのでしょうか。競争は孤独です。なぜなら周りがすべて敵だからです。競争は人と人との温かい繋がりや関係性を断ち切ります。他人を信じていては負けてしまうからです。

競争は排他主義を生み出します。自分にとってすぐに利益にならないものを切り捨てないと負けてしまうからです。排他主義は多様性を否定し、不寛容な社会をつくります。いま世界中に、排他主義と不寛容の嵐が吹き荒れています。

イスラム教を信じているということだけで、テロリスト扱いし入国を拒む大国の大統領。
20年も続く紛争から逃れ、生きたいと願うシリア難民を排斥する人々。
自分たちの静かな生活と豊かな自然を守りたいという一心で、米軍基地建設に抗議の声をあげている沖縄の人々に、「反日左翼」のレッテルを貼り、攻撃する人々。
福島から避難してきた中学生に「放射能がうつる」といってイジメる生徒たち。
「障害者は生きていても意味がない」と主張して、障害者を狙って刺殺した相模原市の事件。

君たちが明日から踏み出すこの社会は、弱者やマイノリティーの人々がとても生きづらいところだと言わなければなりません。でも私は希望を捨てていません。和光で育ち、鍛えられた君たちと共に、これからの日本と世界を作っていけるからです。

最後に個人的なことですが、卒業生の皆さんにお礼を言いたい。2年前、校長になった私が、くたびれた顔で廊下を歩いているとき、「まっちゃーん!」と声をかけて、励ましてくれました。校長室にタンポポの花束を届けてくれた人たちもいました。何より一緒にベランダで宇宙との交信につきあってくれた人、本当にありがとう!君たちとともに過ごしたこの3年間は、教師を育て成長させてくれるのは、君たち生徒たちなんだということを、改めて心に刻む日々でした。

君たちから頂いた勇気とエネルギーを糧に、私も明日から仕事に精をだしていく決意です。どうか君たちも健康に気をつけて、思う存分、羽ばたいていってください。

 2017年3月11日

和光高等学校校長 松山尚寿

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